第1話《転生》
はい、始まりました!!
異世界転生もの!!!
夜の帰り道。
会社からの帰り、男は歩いていた。
その時だった。
上に気配を感じて、見上げた瞬間。
一人の女の人が、ビルから飛び降りてきた。
「えっ──」
避ける間もなく、その人とぶつかってしまう。
視界が暗くなり、気がついたら白い空間に立っていた。
「……ここは?」
目の前には、不思議な光を纏った神様が立っていた。
神様は困った顔をして、深く頭を下げる。
「すまない。君は本来、死ぬ運命ではなかった。だが……飛び降りた女性の命と入れ替わるようにして、死んでしまったのだ」
男は目を丸くする。
神様は続けて言った。
「彼女は助かり、君は死んでしまった。これは完全に私の手違いだ。心から謝罪する」
「え、えええ!?じゃあ……俺、まだ生きられたはずなのに?」
「そうだ。すまない……」
男はしばらく黙ったあと、苦笑いした。
どこか、会社でよくある“上司のミス”に似ている気がしたからだ。
「……まあ、謝罪は分かりました。で、今後はどうなるんですか? 報告、連絡、相談。まずは状況把握をしないと」
神様は目を瞬き、そして少し笑った。
「報連相……?君はやはり“働き人”だな。選べる道は二つ。天国に行くか、別の世界に転生するかだ」
男は少し考え、手を上げた。
「じゃあ……転生でお願いします。美少女で!あと、チート能力もください!どんな願い事でも叶えられる能力で!」
「……美少女?チート?」
「ラノベの定番ですよ!メモ取ってください、神様!」
神様は苦笑しながら光の羽根ペンを出し、ちゃんとメモをとった。
「分かった……。ただし、願いの力は世界のバランスを壊してしまう。一日一回だけなら、どんな願いも叶えよう」
男はにやりと笑った。計画通り。
「一日一願って事ですね!じゃあそれで!」
神様は手をかざし、光が男を包む。
「では行くがよい。新しい人生で、“自由と明日”を願え」
次の瞬間、男の意識は遠のいていった。