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アルディナの魔力 〜封じられし真実編〜  作者: Z.P.ILY
第一章 紅月の封印

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39/367

第38話:聖地の記憶(後編)

《38,000PV 突破!!》

おかげさまで38,000PVを突破しました。

たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。

まだまだ冒険は続きます。引き続き皆様に楽しんでいただけるように、毎日少しずつ、サクッとアップしていきます。

よろしくお願いいたします!


**********


●主人公:アーヤ・アーデン

 彼女はアルディナ王国の王都アルディナで、神殿の職務にあたる神官。以前は巫女だったが、その力を見込まれ神職試験を経て神官となった。

 夫と子供二人を家族とし、仕事と家庭を両立するキャリアウーマン。清楚で真面目だが、心に秘めた好奇心と、誰にも言えない夢がある33歳である。

 太陽の神子として覚醒し、世界を作り変えるために、神が作り出した六魔王を導く宿命を持つ。


●ミラ・フィローネ

 アーヤが目をかけている後輩巫女。快活で素直な性格であり、神殿内の人間関係にも明るい。アーヤを姉のように慕う。巫女としての霊的な力や知識は持っているが、まだ未熟で成長過程。ショートの鮮やか赤い髪がカワイイ22歳。

 風の一族との関係がありそう。


●グレイ・リヴァント

 神殿騎士団の副長を務める高身長のイケメン38歳。

 筋肉質で短く整えられた黒髪は、鋭い青い目の視線を際立たせる。

 戦闘では冷静沈着で真面目な性格からは想像できない強さと熱さを発揮する。神殿では最も頼れる存在。

 アルディナの伝説の剣士の末裔。


●エリス

 王都の西に位置する街マクホカタの山の麓リアケーアにすむネコの獣族。白毛に赤茶の耳、しっぽの先も赤茶色。

 明るい性格でいつもおちゃらけているが、特別な獣族にのみ与えられる能力〈未来視〉を持つ。青氷色の左目と金色の右目、能力の違うオッドアイが獣族の未来を見る。時の魔王アッシャガの力を得て、時の継承者となった。好物はフィッシュバーガー。


●イアン・セリウス

学術都市ガネリーホに籍を置く、年齢不詳の研究者。

薄紫の長髪と灰色の瞳を持ち、常に静かな観察者として振る舞う。古代魔導理論や魔力の構造に精通し、その知識は一部の学者の間で知られているが、彼自身の過去や真の目的はほとんど語られない。物語の要所で現れ、核心を突く言葉を残す謎多き存在。見かけによらず熱い気持ちを持つ。


 ラースカ村の夜はまだ深く、暖炉の炎がゆらゆらと揺れる広間で、アーヤは水晶を握ったまま息を潜めていた。


 「エリス……あなたは、なぜこれを運んでいるの?」


 アーヤが静かに尋ねる。


 エリスはしばらく沈黙した後、声を絞り出すように答えた。


 「……オレは、導かれただけだ。水晶の中に残るライラ様の意思が、オレに道を示した。誰に言われたわけでもなく、ただ、気づけばここまで……」


 エリスの言葉には重みがあった。


 光の粒が指先で跳ねるたびに、アーヤの胸の高鳴りが反応する。


 隣に座るエリスもまた、水晶に注ぐ視線を逸らさず、微かに眉を寄せていた。


 アーヤは水晶の光を見つめながら、運命の糸を手繰るような感覚にとらわれる。


 「水晶が光るのは、触れる者の心と共鳴しているから……」


 ツバキが穏やかに言葉を添える。


 「エリスは無意識に、聖地と神子の力を結ぶ役割を担ったのよ。私たちはそのことを、ずっと以前から知っていた」


 アーヤは眉をひそめる。


 「ツバキ……あなたと、ここのキツネたちも……?」


 ツバキは頷いた。


 「えぇ。キツネたちは聖地を守るために、ライラ様の指示で存在しているの。私たちと同じように、使命感を持って行動しているのよ」


 カイが背筋をピンと伸ばして、アーヤたちを見つめる。


 「彼らがいなければ、カザズレイキの封印も成功しなかった……しかし、その力は太陽の神子には及ばず、封印は完全なものとはならなかった……」


 ツバキの声には、過去を振り返る哀惜と誇りが混じる。


 アーヤは水晶の中に見えた光景を思い返す。

 ライラが黒い霧に包まれ、魔王に挑む姿。

 その瞬間、キツネが石をかざしてカザズレイキの力を封じた。


 「あの石は、ライラが用意したもの……でも……ライラは……」


 アーヤの声が震える。


 「えぇ……彼女は最後まで、神子としての意志を貫き、魔王を封じることを選んだ。ライラ様は、カザズレイキを愛してたの。愛ゆえに、自分の手で封印できなかった…二人で全うする道を選んだのよ」


 「愛……」


 「そう……ライラ様は、その命をカザズレイキに助けられたの」


 「なぜ、魔王が……?」


 「定かではないけど、伝説上の存在とされている《魔王領エージェラ》、かつては魔族が治めた暗黒の地。そこに君臨した六人の魔王がいたの」


 「カザズレイキもその一人……ってこと?」


 「そう……その魔王の一人から奪われそうになった命を、ガザズレイキが救ったといわれているわ」


 「魔王同士の争い……」


 「そしてアーヤ、ライラ様はあなたの曾祖母にあたる人……」


 アーヤは混乱している。


 いろんな出来事がインプットされ、自分の頭で処理できる能力を超えていた。


 アーヤの目からは静かに涙が流れる……

 

 「そして私たちに託したの。聖地の守護も水晶も、その後のすべてを……」


 ツバキはゆっくりと水晶を手に取り、アーヤに向けて微笑む。


 「特別な瞳をもつ獣族、エリス。ライラ様が選んだキューピットは、強くて特別な存在。水晶があなたに触れることで、過去の力と現在が繋がる……それがライラ様の願いだったのよ」


 アーヤは涙を拭った。

 胸の奥に、知らなかった運命の重さがじわじわと沁み渡る。


 「エリス……ありがとう……あなたがいてくれて、ほんとうによかった」


 エリスは小さく笑みを浮かべる。


 「いや……オレはただ、導かれただけだニャ。でも、アーヤでよかった……」


 「ツバキもカイも……ありがとう……キツネたちもあなたたちみたいな戦士がいてとても心強いでしょうね」


 部屋の中に、柔らかな沈黙が流れた。

 水晶の光が徐々に落ち着き、やがて小さな揺らぎだけを残す。


 ツバキは続ける。


 「そして、覚えておいてアーヤ。聖地の力や封印は、私たちだけのものではない。選ばれし者たち、守るべき者の心と結びつくことで、初めて完全な力を発揮するの」


 「選ばれし者……」


 アーヤの声は小さくも確かな決意を帯びていた。


 ここに集う三人の獣族、そして、いっしょに旅をしてきた神殿の仲間、出会うことが宿命といわんばかりに深まる絆。


 「あなたが、次の太陽の神子として責任を果たすのよ」


 ツバキの言葉を、アーヤは胸の奥で噛みしめる。  


 「ツバキ……わたしにできるかな……」


 「……アーヤならできるわ。わたしもエリスもいる。グレイだって、ミラだって……みんながついてるわ」


 「わたしにも守りたいものがたくさんある……」


 アーヤの脳裏には、これまで関わってきたたくさんの人の顔が浮かぶ。

 

 暖炉の炎が最後の光を放ち、村全体に深い静寂が訪れた。

 外の風も、虫の声も、まるで聖地の過去と現在を祝福するかのように穏やかだった。

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                    Z.P.ILY

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