表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルディナの魔力  作者: Z.P.ILY
第一章 紅月の封印

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/107

第18話:乗船!

 船上は、潮の香りと湿った木の匂いが入り混じり、機械音と合わさってどこか不穏な気配が漂っている。


 「世話になるニャ」

 

 「お前の頼みなら仕方がない。ちょっと危ない橋だけど、なんとかなるだろうよ」

 

 「無理言ってすまないニャ」


 「こいつらは誰なんだ?」


 「あぁ、なんだか聖地に行きたいんだと」


 「聖地かぁ。あそこはもう何もないぞ」


 「オレも詳しくはしらないけど、封印がどうとかって言ってたニャ」


 「封印?」


 「とりあえず迷惑はかけないニャ」


 エリスは船長と会話したあと、三人の待つ甲板へ向かった。


 アーヤたち三人は、蒸気船からじわじわと離れる桟橋を見ながら、封印の綻びによる不安を隠せずにいた。


 「この先に……あの夢の答えが待っている……」


 アーヤは時折、あの夢の……碧い目の男を思い浮かべる。


 港から半刻ほど離れたあたりで、四人はゆっくりと動く船の甲板から船室に向かった。


 貨物船の中に、申し訳ない程度に作られた船室は、やはり狭かった。


 「狭いわね」


 「仕方ないさ。ママベントまでだ、我慢しよう」


 「とりあえず、荷物を置いて……っと」


 「オレはどこでも寝れるニャ。なんなら甲板でもいいニャ」

 

 「やっぱりネコだわ。木の上でも寝そう……」


 「なんか言ったか?……ニャ?」


 ミラは小声でエリスのネコぶりを囁いて、狭い部屋の隅に荷物を置いた。


 潮の香りと混じった油の匂いが鼻を突く。鋼鉄の床が揺れ、足元が不安定だった。


 「おっとっと。ちょっと揺れがひどいニャ」


 「天候が回復するまでは揺れるだろうな」


 「ちょっと気持ち悪くなりそう」


 「直になれるわよ」


 雨が降る航海は、バランスには自信があるエリスでさえ、揺れを強く感じるほど波が高く、船に乗り慣れない三人には堪えるものがあった。


 「ここが船内の拠点になるかニャ?」


 エリスが鋭い目で辺りを見回す。


 「ここなら人の目も届きにくいが、行動範囲が限られるな」


 グレイがエリスの意見に同調するように答える。


 アーヤは布袋を慎重に下ろし、周囲を警戒しながら荷解きを始めた。


 「見張りはどうする?」


 グレイが提案する。


 「私が見張る。雨の音に紛れて動けるわ」


 ミラが即答した。


 「ダメだ!お前はまだ寝てろ!体調を整えるんだ。」


 グレイは親が子を思うような強い口調でミラを遮った。


 「私だって、いつまでもお荷物じゃいられない。何か役に立ちたいんです……」


 ミラは涙ながらにグレイにお言葉を押し付けた。


 「聞かないか……わかった。……そのかわり、ムリはするな。何かあったらすぐに知らせるんだ」


 「はい!ありがとうございます」


 グレイはミラの気持ちに応えることにした。

 

 アーヤは二人を見ながら、小さく笑みを投げかけた。


 エリスはニャアと短く呟き、尾をゆっくりと揺らした。


 「それじゃ、オレは索敵に動くニャ。情報も集めてくるニャ。何かあればすぐ知らせるニャ」


 四人はそれぞれの役割を確認し、緊張感を保ちながら拠点を固めた。


 だが、不穏な気配がじわりと迫りつつああることに、四人はまだ気づいていないのだった。

「アルディナの魔力 第一章 紅月の封印」お読みいただきありがとうございます。

 今後の展開や、執筆における参考とさせていただきますので、是非、評価をお願いいたします。

 誤字や脱字がありましたら、遠慮なくフォームよりご報告ください。

 また、本作品へのご意見やご要望につきましては、メッセージ等で随時受け付けております。皆様からの忌憚のないご意見等をお待ちしております。

                   Z.P.ILY

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ