↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

深夜のダークエルフ



部屋に戻り電灯を点ける。

何度見ても変わらない懐かしき我が汚部屋。

男の時は特に気にしなかったがダークエルフ、それも女となった今では少々気になる。

特に匂い。

とりあえずイカ臭いゴミ箱の中身をビニール袋に移しておこう。

多少はマシになるはずだ。うへぇ…何かしっとりしてるぅ。


「あ、そうだ。どうせ自分の部屋なんだし、変身維持してなくてもいっか」


袋を縛り終えてハッと気が付く。

既に時計は午前様を回っており、当然家族は夢の中である。

少なくとも数時間はバレる心配は無いので、善は急げとばかりに変身を解除した。


「うぉう、胸がキッツい」


男物のTシャツが我が胸によりパッツパツに。

もう少し力んだら、どこぞの伝承者みたくビリビリに破けそうだ。

それとは正反対に腰回りはユルユルで、手で掴んでいないとずり落ちそう。

このままでは誰も得しないサービスシーンを披露しそうだ。

とりあえず間に合わせでアイテムボックスから異世界で着ていた普段着を出した。

そう何着もあるわけでは無いので、今度の休みにでもダークエルフ時の服を買いに行こう。

流行の最先端、世界のファッションが揃う老舗しま○らへ。


「んふふ、どれから読もうかなぁ」


着替え終わると僕は本棚の前に立つ。

目の前には僕が集めた蔵書(マンガ)の数々、並ぶのは往年の名作から新進気鋭の新作達。

世間の流行りに流されること無く、僕自身が心から面白いと思った作品を揃えたと自負している。

徐々に視線を落としていくと、かつて買い集めた夜の友が視界へと入った。

ソフトからハードまで幅広く且つ、作画やストーリーに拘って厳選した一品たちで、男時代には随分お世話になった。

少し懐かしくなり、久々なのでソフト系を読んでみて、そっとページを閉じた。


「…メス堕ちしたIFの自分を想像してしまった」


一概に其れがダメとは言わないが、なんとも受け入れ難いモノがある。

いわゆる男としての最後の一線みたいなヤツ。

世話になったがコイツらは古本屋に持っていこう。


エロ本を戻して、僕は本棚から幾つかチョイスする。

手にしたタイトルは「兄者はおしまい」「てんま1/2」の2作品。

どちらも人気作でアニメ化も果たしており、何と言っても主人公が女の子になっちゃうTSモノ。

フィクションとは言え今後の生活の参考になるはずだ。

適当に何冊か持って布団まで移動するとお腹が大きく鳴った。


「そういえば銀皇龍と戦ってから、何も食べてないな」


ぶっちゃけ結構な時間戦ってたと思う。

事実ボス部屋に入る前に、宿のおばちゃんに作って貰った弁当を平らげたし。

美味しかったな、おばちゃん特性ステーキサンド3人前。

ふかふかパンズに肉厚ジューシーなステーキを3枚も挟んだハイカロリーの化身。

アイテムボックスに入れてたから出来たてホヤホヤ、噛んだ瞬間熱々の肉汁と甘辛いソースが口内を蹂躙したっけ。


ギュルルルル…思い出したら余計にお腹が空いてきた。

鳴り止まない腹を黙らせる為、僕はアイテムボックスから干し肉を取り出す。

せっかく帰ってきたのでカップ麺でもと思ったが、台所で五月蠅くして家族を起すのは忍びない。

そして再び着替えて、また変身の作業が面倒くさい。

大人しく塩辛い干し肉を口に咥え、煎餅布団に寝転がって漫画を開いた。

日本語忘れてないかなと少し不安だったが、以外と人間覚えているモノである。

そうしてページを捲っていき物語に没入していった。


 

それから(NOW )しばらく(LOADING)して…



読み終わっては本棚に続きを取りに行くを繰り返し、気が付けば枕元には数十冊の(マンガ)が積み重なっていた。

今読んでいる所は弱体化した主人公が新たに会得した必殺技の段取りを組んでいる所。

あと一歩、相手を引きつければ逆転の一撃が放たれる。

そんなドキドキワクワクな展開を読み進めていると、突如としてスマホがけたたましい音を鳴らした。


「な、なんだ。襲撃か!?」


驚いてスマホを見てみると単なる目覚ましのアラーム。

窓を見ればカーテンの隙間から陽光が射し込んでおり、外からは近所の人達の活動する音が聞こえてきている。

そういえば28年前の自分は、この時間に起きていたなと思い出した。


「でも大概二度寝しちゃうから、業を煮やした母さんが起こしに来るんだよな」


気付かせる為に態とらしく大きく足音鳴らしてね。


――――ドスドスドス!!


そうそう、丁度今聞こえてきたみたいに…


「…やっべぇ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。