授業中、隣の席のコスモスさんが小声で僕に告白してきます。
「…正樹君、やっぱかっこよくて好きだな…」
……
え?
授業中。ぽそりと隣から聞こえてきた。ちらりと隣の席を見る。そこには、学年一の美少女と言われているコスモスさんこと、藤田秋桜さんは真剣にノートを取っていた。
…気のせいかな?
僕は聞き間違えたのかなと思い、再び黒板の方に視線を向け、ノートを取る。けど、程なくしてまた。
「…ノートを取ってる正樹君の横顔も素敵で好き…」
また、僕の隣からそんな声がして。僕は思わず、勢いよくコスモスさんの方に顔を向けた。けどやはり、コスモスさんは黒板の方に向いて、ノートを取っていた。
☆
キーンコーンカーンコーン…
「…僕は耳か頭でもおかしくなったのかな?」
放課後。帰りのホームルームが終わった後も、僕は帰らずに自席で俯せていた。その後も僕の隣からコスモスさんの声で「正樹君の隣の席になれて幸せ」「正樹君の音読の声好き」「正樹君とお付き合いできないかな?」そんな声がぽそぽそと聞こえてきた。
確かに僕はコスモスさんのことが好きだ。だけど、僕がコスモスさんに好意を持たれる理由がない。だって、最近隣の席になったばかりで、話なんてほとんどしたことがないし。かといって、僕はカッコいいとか勉強ができるとか、そういう魅力は持ってないし。
「何でそんな幻聴がするんだろ?しかも何で下の名前??」
僕が頭を抱えながら呟いていると。
「どうしたの、花沢君?頭痛いの?大丈夫?」
と、隣から可愛らしい声がした。その方を見るとコスモスさんが心配そうな目で僕のことを見ていた。
「コ…藤田さん」
僕を見つめるコスモスさん。やっぱり、可愛くて綺麗で。
…こんな可愛い子が、モブキャラみたいな僕のことなんて好きになるはずないよね。
そう、思っていた時だった。
「…正樹君と目があってる。ドキドキ、する。好きだな…」
ぽそりと。コスモスさんはカーディガンで萌え袖になってる右手で口元を隠しながら、言った。
「…え?コ…藤田さん?」
「…え?ま…花沢君?」
少し、沈黙が流れて。
「え、わ、私今、心の中で…え?」
コスモスさんは綺麗な大きな瞳をさらに大きくさせながら、驚いた顔をする。
「私の声…何か、聞こえた…?」
「あ、その…はい。あと、授業中もぽそぽそ僕の名前が聞こえてきました…よ?」
僕がそう言うと、コスモスさんは顔を真っ赤にした。
「藤田さん…は、僕のこと…好きなんですか?」
意を決してコスモスさんに聴くと、コスモスさんはこくんと頷いた。