雨
雨、が。
やまないといいなって、少しだけ思った。
ぽつりと窓ガラスに当たった一雫が、反射する自分の頬を滑り落ちて、まるで泣いてるみたい。
泣けない私と泣けないあなたが、笑えない笑顔で「またね」と嘘を吐いたのは、ほんの数十分前のこと。
あのとき泣いて縋ったら何か変わったのかな?
なんて、出来もしないのに考える。
最後だとわかっていた優しい時間。
私はきっと一生あなたに囚われたままなんだろう。
強くなってきた雨が、窓の向こうでまるで檻のよう。
ああ、でも一生あなたに囚われるなら、それはそれで私は幸せなのかもしれない。
この檻の中で、ずっとあなたを想えるならば。
雨が、やまないといいなって。
つよく、つよく想った。
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