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俺は丘の上に立つ屋敷に来た

俺は、とある屋敷の前に立っていた。ここは領主ランバートの息子、コーディの屋敷だ。


俺の名はエドワード、この国の第一王子だ。いや、だったと言うべきか…おれの王位継承権はおそらく抹消されたはずだ。


あの舞踏会の夜、置手紙を残して消えたエレーヌ。

父王、母王妃、ハバロッティ伯爵、伯爵夫人、皆がエレーヌをなじり、婚約を解消すると言った。


でも俺は信じなかった、きっとこれには何か事情があるはずだ。

協力してくれる者はいない、俺は周囲の反対を押し切ってエレーヌを探す旅に出た。

父王は「お前は王位継承者、失格だ」と言った。上等だ、もう周囲の人間に愛想笑いをふりまく事にもウンザリしていた。


いくつもの町や村を訪れたが、エレーヌの足取りはまるで掴めなかった。そのことが逆にエレーヌの身に何か起こっている事を想像させた。


俺は裏社会のギルドに接触し、ある有力な情報を入手する事に成功した。

それは『地方領主の息子が密偵組織を作り、その組織が城から伯爵令嬢を誘拐した』というものだった。


俺は確信した。そして、ここにやって来た。


正門を手で押すとギギギ…と音を立てて開いた、カンヌキは掛けられていなかった。

(罠かもしれない)夕日で赤く染まる屋敷はまるで燃えているようで、これから起こる事を予感させた。


屋敷に鍵は掛かっておらず、建物内は静まり返っていた。

俺は剣を抜くと部屋の扉をひとつずつ開けていった…


二階のある部屋の前に来た時、俺はただならぬ殺気を感じて立ち止まった。


俺は剣を握り直すと、思い切りドアを蹴り開けた。


逆光でシルエットしか判らないが、それは若い男だった。


「コーディ・ランバートだな?」


返事はない。目が慣れてくるとその男の顔が見えた、やつれているが眼光は鋭い。


「エレーヌはどこだ、返答次第では…お前を切る!」


「なぜここに来た…君はエレーヌに振られたんだ、諦めろよ」


「お前の悪だくみだという事はもう分かっているんだ。さあ、エレーヌを返せ」


「君にはいくらでも代わりがいるじゃないか、なんでエレーヌに拘るんだ?」


「お前に俺とエレーヌの何が分かる?俺が愛を伝えたのはエレーヌだけだ!」


 * * *


学院の食堂、俺はクラスの悪友たちと昼食を食べていた。


「じゃあ昼飯代を誰が払うかジャンケンしようぜ!」


ジャックが言い出した、まあ、いつもの事だ。


「たまには飯代以外のものを賭けないか?」


ビルがいたずらっぽく言った。


「面白そうだな、何を賭ける?」


俺は話に乗った。


「負けた奴が女子に告白するってのは?」


ビルの提案に俺達は賛成した。


「じゃあいくよ。ジャーンケーン…ポン!」


俺はグー、他の奴らはパーだった。


「…はめたな?」


「そんな事はないさ、偶然だよ」


ビルは笑いをこらえながら言った。


「さあ、王子様は誰がお好きなのかな?」


ジャックが俺をからかった。


ここで怒って無かった事にしてしまうのも無粋というものだ、かと言って俺もそれなりに女子人気がある、特定の女子に告白すれば大騒ぎになるのは目に見えていた。


さて、どうしたものか?俺は考えた。


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