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84.おさんぽ

 やっほー、リマロンだよ。

 やっとコブンたちの波が捌けたよ。

 報告をじーっと聞くだけでも結構しんどいんだぁ。

 第二(ウェイブ)が来る前に気晴らしにお散歩でも行こうかな。


 「コップス、少し開けるからコブン共の応対、よろしくっ!」

 「ウゥ」


 コップスはうちにいる2匹のホブラビブリンの1匹。

 最近名前を付けたんだ。

 真面目で優秀な頼れる子なんだよ。

 でも、唸るように鳴く癖のせいで他のコブン共からちょっぴり怖がられてるんだよね。

 まーこの子に任せとけば一時はダイジョブでしょ。


 さぁ、おさぼり……じゃなかった。

 こーゆーのはタイギメイブンが大事って聞いた気もする。

 ということで、臨時パトロールの時間だよっ。

 これならOKだよね?

 

 「コッコッコッコ」


 おっ、コッコ先輩!

 コッコ先輩じゃん!

 なんとこのコッコ先輩はこのダンジョンで私よりも古株の唯一のモンスターなのです。

 ボスから聞いたロックゴーレム相手への大立ち回り、私、とっても勇気をもらいました。


 なのに……そっか。

 後輩たちはどんどんマンドラコッコに変異して出世、たくさんいたお嫁さんたちはあのエロ鶏猫(ガリア)に寝取られて、今、居場所がないんだね……。

 よしよし、今日は一緒にお散歩……じゃなかった、パトロールに行こうか。


 さてさてどこに行こうかな。

 んーと、そうだ、ピエターをからかいにでも行こうかな。


 「よーし、目指すは育成林の予定地に決定。 しゅっぱーつ!」


 そんで着きました育成林の予定地。

 ここは元・串刺しの遺跡だったエリアだけど、今は天井が撤去されて青空が広がっています。

 おっ、もう苗木が植わってる。

 流石ピエターおじさん、仕事が早い。


 ボスは私、ピエター、ソイちゃんにそれぞれお仕事を振りました。

 ピエターのお仕事は林の育成と工房の作製。

 コブンたちの技術力が上がらないことに悩んでいるボスにピエターが言いました。

 スキルが伸びないのはそもそも加工しやすい材料が少ないのさ、って。

 確かに地上には木材いっぱいって聞くけど、ダンジョンにはあんまりないもんね。

 それで言い出しっぺってことでピエターが材木をたくさん育てることなったのです。


 ピエターはボスから力をもらう前からここに住む気満々だったからね。

 木の種とか土をよくするミミズとかいろいろ準備してたみたい。

 今はとっても張り切って、毎晩毎晩笛を吹き乱れております。

 あつ、そういえば今の時間は寝てるや。

 からかえないじゃん。


 「コッコッコッコ!」


 ん。どした先輩?

 あっ、サイズミンク。

 苗木に悪さする気だね。

 悪い子はこうだ。ストーンバレット!

 ふっふっふ。

 いまさらランクD+のモンスターなんてワンパンで十分よ。

 なにせ、こっちはキング!

 ラビブリンの王なんだからね。

 ソイちゃんにメスなのにキングなのって聞かれたけど、ラビブリンにはメスしかいないからキングでいいのです。


 あー、あっちにインプの気配もするなぁ。

 案外ここを拠点にしたいモンスターって案外多いのかもね。

 害獣ちゃんたちのおうちも考えなきゃって言われてるし、候補の一つだね。

 あと、警備のコブンはもっと増やした方がいいかな。

 せっかくの材木にいたずらされたくないし。

 改めてピエターが起きてる時間に相談に来ますかぁ。

 あーあ、リフレッシュのつもりが仕事増やしちゃったよ。

 他の場所に行こっと。


 てなわけで、来ましたハーブエリア。

 ここは畑の巨大化のせいで一緒に育てられなくなったヨモギーとかドクダミとか、その辺の薬草をまとめて植えて替えて作っております。

 ここにはソイちゃんのお仕事である食堂が作られる予定なんだけど……。


 全く進んでない!

 植物の方は火彩岩をレンガ替わりに使った花壇まで作ってあるのに。

 わぁ、なんか見たことない植物もいっぱい植わってる。

 てか、明らかにモンスターなの混ざってる。

 飼ってるのかな?

 いやいや、それ絶対食堂の準備に関係ないでしょ。


 「コンニチワ、リマロン」


 地面からぬるっと骸骨頭が真っ黒なマントと共に生えてきた。


 「ちょっとジョッシュ! 食堂の準備、ぜんぜん進んでないじゃん」


 この子はジョッシュ。

 蟻塚に住んでいたやんちゃなキノコさんが立派な姿に変異しました。

 名付け親のソイちゃんはジョッシュじゃなくて助手よ、って突っ込みいれるけど、もうみんなの中ではジョッシュで定着しちゃってます。


 「ゴシュジン、ケンキュウ……シテル」

 「はぁ? 研究って何してるのよ。みんなのごはんの方が大事だよ!」

 「ガシャシャ……ボク二、イワレテモ。ムツカシイコト、ワカンナイ」


 コブン増えすぎ問題のせいで食べ物の管理が今以上に大事なんだよ。

 食堂があれば便利だね必要だねってみんなで話したじゃん! 

 これはソイちゃんとお話しなきゃだ。


 「ジョッシュ。ソイちゃんは今どこにいるの?」

 「オシエチャダメッテ……ゴシュジンガ」

 「ふーん。このダンジョンで私に逆らうんだぁ?」

 「ゴシュジン、ガンバッテル。ジャマ、シナイデ……ネ」


 うわ~地面の下に気配がうようよと。

 コブンの魔茸(バケマッシュ)を呼んで完全に迎撃態勢じゃん。

 どうしよっかな。

 さすがにあっちのコブン付きでジョッシュを相手にするのは面倒だな~。

 一応シャベル取り出してやる気満々に見せてるけど、正直引きたい。

 よく見るとジョッシュ震えてる。

 あれ? あっちも引きたいのでは?


 「ウゥ、ウサウサ!」


 コップスが何か抱えて走ってきた。

 コップス、ナイス!

 手にはぐったりしたコブンの姿が。

 酷いケガ!

 害獣?

 それとも事故?


 「ウサウーサウサウサ!」


 はぁ? 畑でマポテージョに襲われたって?

 それも負傷者多数って。

 なにが起こってるの? 早く案内して。

 このダンジョンで回復魔法できるの私だけなんだから。


 「コッコッコッコ」


 コッコ先輩、気遣いありがと。

 先輩もアースヒールが使えたらお手伝いできるんだけど、ここは親分に任せて!

 ボスが大変な時くらい、私が頑張んなきゃ。

 よーし、事件の現場に急行だー!

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