第二話 第一次攻撃隊発進
第2話更新です!
<1941年12月7日 ハワイ島沖合>
ここでは小沢治三郎中将率いる小沢機動艦隊が行動していた。
この小沢機動艦隊は太平洋戦争への第一撃を任された、現在での世界最大規模の機動艦隊である。
戦艦から改装した大型空母2隻をはじめとした、正規空母8隻を中心にした機動艦隊である。
小沢艦隊の兵力は以下の通りである。
小沢機動艦隊
航空母艦
赤城(赤城型航空母艦)、加賀(加賀型航空母艦)、飛龍(飛龍型航空母艦)、蒼龍(蒼龍型航空母艦)、翔鶴、瑞鶴、黄鶴、槍鶴(翔鶴型航空母艦)
航空部隊
零式艦上戦闘機二一型156機、九九式艦上爆撃機一二型189機、九七式艦上攻撃機一二型198機=計543機
戦艦
金剛、比叡、榛名、霧島(金剛型戦艦)
重巡洋艦
利根、筑摩(利根型重巡洋艦)
軽巡洋艦
阿武隈(長良型軽巡洋艦)
駆逐艦
各12隻
小沢機動艦隊補給部隊
油槽船6隻
駆逐艦4隻
史実の艦隊に加え、圧倒的工業力を駆使し増産した翔鶴型二隻を編入したことにより航空兵力は543機にまで上がり、航空部隊もまた練度兵力共に世界最大級であった。
史実では榛名霧島のみだった戦艦は和泉のとある提言により南方方面に向かわず小沢機動艦隊の近接主力として編入されていた。
そして真珠湾攻撃には543機から黄鶴と槍鶴の第六航空戦隊を除いた、言ってしまえば史実通りの真珠湾攻撃攻撃隊が発進することとなる。
そんな小沢機動艦隊の旗艦は赤城、その艦橋で小沢と草鹿が話をしていた。
「長官、なぜ和泉さんは六航戦を編入しなかったのでしょう?彼らの練度を疑問視しているのであれば問題はないと断言しますよ。」
小沢の参謀長を務める草鹿龍之介は不思議に思い質問する。
和泉は小沢に説明したとき草鹿が外していたためたまたま知らなかったのである。
「この真珠湾攻撃の主目標はお前も知っているように港湾設備の撃破と、敵主力艦の無力化だ。だがその主力艦というのはなんだ?」
「・・・戦艦でしょうか?真珠湾には相当数戦艦が配備されています。」
草鹿、小沢共に現の海軍では珍しい航空主兵論者であり、それも影響してやや不満そうに戦艦と答えた。
だが小沢は笑いながらそれを否定する。
「違う、和泉殿は我々と同じ航空主兵論者だった。そうでなければ山本さんの推薦した南雲さんをこの司令官に任せていただろうが、航空に理解のある俺を置いた時点でな。まあ、どうやら航空母艦が真珠湾にいなかった場合、最悪こぼす可能性が出て来る。だからまずは一航戦、二航戦、五航戦で奇襲をかけ、空母の確認ができた場合第二次攻撃隊と共に六航戦も発進、逆に発見できなかった場合六航戦を敵空母の索敵と攻撃を任せる。」
「・・・確かに敵空母は不定期に訓練及び作戦行動をしているとスパイから入手していますが・・・まさかそんな運のないことが起きますか?」
「可能性は・・・ある。」
そういうと小沢は艦橋から甲板を見下ろし、すでに暖機運転に入った航空隊を見て微笑む。
「和泉殿が持ち込んだ不思議な装置、あれを使いこなせるのはほんと一握りらしいが、それでも効果は絶大で航空機関連の技術がかなり進んだらしい。」
「まあ、エンジン一つ変わるだけで航空機というのはまるで別物のような性能を手にします。九九艦爆は250kg爆弾しか積めませんでしたが、エンジンを変えたことによって500kgまで詰めるようになりましたから、性能的には大幅に向上したと言えるでしょう。」
「零戦も世界最強の戦闘機となるだろう。まあ、練度もさることながら今回に関しては心配無用だろうが、警戒だけは怠るなよ。」
「当然であります。」
そう会話して数分がたった、まだ日の出が上がらない時間帯に士官が報告に来る。
「第一次攻撃隊、全部隊準備完了いたしました!いつでも発進可能です!」
その言葉を聞き、小沢と草鹿は頷き、草鹿が命令を出した。
「第一次攻撃隊発進!第二次攻撃隊はいつでも命令に対応できるよう準備しておけ!」
そして士官が去り、すぐに発艦が始まった。
先頭は淵田美津雄中佐操る九七艦攻で、甲板をすぎると一旦甲板下まで高度を落としてから上昇を始めた。
そうして一時間を超える発艦作業を終え、第一次攻撃隊は真珠湾を目指した。
「あとは淵田さんを信じるだけです。」
「彼らならやり遂げるだろう。同時に南方部隊もうまくやってるか気になるがな。」
「・・・そこは陸軍が主力ですから海軍の我々には想像しえませんな。」
そうして点々となった攻撃隊を見つめ、小沢は敬礼をし、草鹿他艦橋要員もまた攻撃隊を目指し敬礼をする。
もうすでに東からは太陽の光が漏れ始めていた。
第1話から既に50ポイント近くいただけて感謝の気持ちでいっぱいです。これからもよろしくお願いします!