表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカイの沙汰も金次第$$$  作者: ゴールデン☆ガチゴリラ
異世界編:見習い修行編
26/32

第25話:模擬戦闘

昼食が終わると、カササギたちは城の裏手にある荒地に足を運んだ。


「戦闘訓練は基本ここでやってんだ。昨日みてーに壁ぶっ壊しちゃ、後処理がかなり大変だからな……。」


ツバメがカササギに軽く説明し、遠い目をする。


おそらく、昨日の過激な戦闘を鶴見か、まだ見ぬ悪魔にこってりと絞られたのだろう。


カササギは特に何も言われなかったものの、物理的に壁を壊した身のため、少し申し訳ない気分になった。


「さて、ここでやんのは戦闘訓練だ。俺とヒナ、カラスとカササギのペアで戦う。勿論、俺は手加減するし、そっちにはとりあえず俺の大気の攻略法が分かってるカササギがいる。ちったぁ戦えるはずだぜ。」


ツバメが言うが早いか、ヒナが俊敏な動きでツバメに抱きついた。


ツバメとヒナの相性は、本人同士の関係性はともかくとして、傍から見る分にはかなり良さそうだ。


ヒナが連携を意識できるのかは気になるところではあるが、仲が良いのはチームワークには欠かせないことだろう。


対して、カラスとカササギの相性は最悪と言っても良かった。


ツバメの強さは身を持って知っている。


カササギ一人が攻略法が分かった程度では、絶対に勝てない。


カササギは、先程カラスを煽ったことを早くも後悔し始めた。


「あ〜、カラス。ツバメ隊長の能力の弱点、教えてやろうか?」


最大限譲歩してカラスに話しかけてみる。


しかし、カラスには一蹴されてしまった。


「俺がお前に戦い方を教えるって言ったんだ。お前に教わることなんて無いな。」


「そうかよ……。」


結局、カラスとカササギはまともに話すことの無いまま、戦闘訓練が始まった。




「まずは私がいきます。ツバメ隊長は応援してて下さいねっ♡」


「お〜、頼むわ。」


ヒナが一歩前に出た。


どうやら、まだツバメが出る気はないらしい。


二人同時に戦ってはいけないというルールは無いが、ヒナは、ツバメが出るまでも無いと考えているようだった。


「俺も出る。お前はそこで見ているんだな。」


「はぁ!?……ったく、しゃーねぇな……。」


カササギのペアからは、カラスが先行することになった。


カササギは、ツバメについてはある程度分かっているものの、ヒナの力は未だ未知数だった。


カラスとの共闘が望めない以上、少しでもヒナの動きを観察して勝ち筋を見つけるしか無いように思われる。


といっても勿論、ただ見ているだけでは何にもならないため、入れそうな時はカラスのサポートに入るつもりだった。



しかし、実際はそんな余裕は無かった。


「カラス、悪いけど、隊長の前だし、ちゃんとやられてよね。」


「俺だってお前の動きくらい既に攻略出来ている。大人しく倒されてくれ。」


両者の間には、既知の者同士の独特の空気が漂っていた。


カラスは腰に下げていた訓練用の木刀を構え、ヒナは胸の前で拳をつくる。


どうやら、カラスは剣術、ヒナは体術を得意とするようだ。


二人の間を、風が吹き抜ける。



先に仕掛けたのはヒナだった。


右ストレートを放ったと思いきや、直ぐに腕を引っ込めて左脚で回し蹴りを繰り出す。


カラスは、それを正確に見分け、後ろに飛んで避けた。


間髪入れず、木刀を振り下ろす。


ヒナの腕が木刀を軽く受け止め、薙ぎ払う。


いなされた勢いでカラスがヒナの足を狙って蹴るも、ヒナはそれすら受け止め、弾いた。


カラスは受身を取って着地し、そのまま大きく飛んで、木刀のリーチに有利となる距離に移動する。


この一連の流れに、彼らは3秒も掛けていない。


一つ一つの動きが決定打に繋がる。


その決定打を、彼らは何度も捌いているのだ。


10秒、1分、時間は過ぎるものの、彼らの力は未だに拮抗している。


カササギの入る隙など、どこにも無かった。


(……でも、若干カラスが押され気味か……?)


カラスの額には汗が浮かんでいた。対して、ヒナは汗ひとつかいていない。


午前のマラソンでも判明したように、二人には持久力に差があるようだった。


それでも目で追うのがやっとの戦いを凝視しつつ、カササギは考える。


(でも、カラスはヒナの動きを読んでる。最初に避けられたのもそういうことだ。カラスが攻撃を避けてるのに対して、ヒナは受け止めてることが多い……つまり……?)


カササギは、元々考えるのが苦手な人間だ。


思考を纏めようにも、すぐに頭の中がいっぱいになってしまった。


「あーーーーっもう、めんどくせえ!!」


思考を放り投げたカササギは走り出し、ヒナの後ろに回った。


「挟み撃ちだカラス!!俺が後ろから押さえるから、お前は攻撃しろ!!」


カササギの声を聞き、カラスは顔を青くする。


「馬鹿!!見てろって言っただろ!!挟まれたのはお前だ!!」


「え……」


カラスが言い放った直後、カササギは、背後に大きな気配を感じた。


身体に空気が絡みつき、動くことが出来ない。


「1対2の構図で、しかも味方がピンチになっちゃあ、俺が出ねぇ訳にはいかねぇだろ。」


幼い声が聞こえる。


ヒナがカササギの背後をチラリと見て、頬を緩めた。


カラスはその瞬間を見逃さず木刀を振るうが、見えない何かが斬撃を押し退ける。



ツバメが、再びカササギの相手に回った。

Copyright (C) 2020-ゴールデン☆ガチゴリラ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ