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7.

「おぉぅ、2人揃って仲がいいなぁ!!」


グロヴァーさんは相変わらずの調子だ。

レオン殿下はこちらを睨みつけるとすぐに反論した。


「そんなんじゃない。それよりオニゴッコとは何だ?」


「新入団員が入隊してきたら必ずやる行事で、簡単に言えば追いかけっこの事です」


「追いかけっこ!?」

しまった、またハモってしまった。


「これをやると団結力が生まれるんですわ。親睦を深めるのにぴったりと思いましてね」


「特に親睦など求めていない」


「あら、レオン殿下。これから共に学んでいくのに親睦は必要です。やりましょう?オニゴッコ」

不適に笑って見せる。


「一月だけの学友とやらに親睦など必要ないが?」


「何を言っていますの?これから先、ずっとです。試験には私が勝つと申し上げた筈です」


本日2度目の睨み合いが始まってしまった。


「なんだなんだ?面白そうな話してるじゃないか!!サクラ、一月後の試験とはなんの事だ?」


グロヴァーさん、完全に面白がってるなぁ。


「一月後、レオン殿下と共に同じ試験を受け、私の方が1点でも勝ったら学友として認めてくださるそうです」


「そうか…」

グロヴァーさんは手で顎を弄り少し考え込む素振りをしたかと思うと直ぐにニコリと私達を見た。


「レオン殿下。その試験、私が考えてもよろしいですか?」


「グロヴァーがか?

いろんな分野の講師陣にそれぞれ作って貰おうと考えていたんだが…」



「最適な試験がありますよ」


「最適な試験とは?」


「一騎打ちですよ。勝ち負け分かりやすい方がいいでしょう?」


「私が女子と闘うと?」


「殿下、サクラをただの女子と侮っては足下をすくわれますよ。なかなか良い筋してるんですから」


「いや、筋が良いとは言え、女子だろう?」


「あら、殿下。私に負けるのが恐いのですか?」


「そんな事はない。女子に暴力を振るったとなれば私の評判に傷が付くと思ったまでだ」


「それならご安心を。私負けませんので」


「だ、か、ら、!!どこから来るんだその自信は!!」


「この三月もの間、私はレオン殿下の事ばかり(どう負かしてやろうか)考えておりました。なので負ける筈ありません」


「2人ともいつもと雰囲気が違うなぁ…。ま、今の方が面白くて私は好きだ!!」


だからグロヴァーさん、笑ってる場合じゃありません。


「2人とも平等をきすために同じ時間分、私が指導しよう。

喉もしくは心臓に先に剣を突き立てた方が勝ちだ。もちろん寸前で必ず止める事。審判には私と副団長のサファーが立ち会おう」


「分かった、それでいい」


「一月後が楽しみですね」

満面の笑みでレオン殿下を見た。

レオン殿下は相変わらず冷めた目をしている。


「それじゃぁ未来の学友になるかもしれないレオン殿下とサクラでオニゴッコをやろう。ルールは簡単。相手を追いかけて捕まえるだけだ」


「たったそれだけなのか?」


「今回は2人だけだから特別ルールとして10分間相手から逃げ切れたら勝ちにしましょう。どちらも逃げ切った、あるいは捕まった場合は引き分けとします」


「はい、分かりました。どちらが最初に追いかける役ですか?」


「コイントスで決めよう。今から私がコインを投げるから表面が出たらレオン殿下、裏面が出たらサクラが最初に追いかける方だ」


そう言ってグロヴァーさんが指で弾いたコインは空高く舞い上がり、再び戻って来て手の甲に落とすようにしてキャッチした。


「裏面だ。最初はサクラが追いかける方だ。殿下はまず30秒間逃げる時間が与えられます。サクラは30秒経ったら殿下を追いかけ始めてくれ」


「はい」

「分かった」


「準備はよろしいですかな?」


私も、レオン殿下も頷いた。


「それじゃぁ…よーい、始め」


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