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コロナ関連

コロナ危機から50年後

作者: なっとう

 2020年に世界的に起きた新型肺炎コロナウイルスの爆発感染。

 瞬く間に世界中に広がり各国に甚大な被害を与えた。人間の命ばかりでなく、感染予防のための外出規制によってあらゆる経済活動が停まってしまった。

 最初はエンタメ界から飲食業から始まり、次第に人が集まるイベント全てになり、あげくに一切の外出を禁止したので電車バスはもちろん自家用車から航空機までが完全に機能停止。エネルギーが動かず、あらゆる経済の素である石油関連産業が破綻し、ドミノ倒しのように関連倒産が続いた。

 食料生産にかかわる農業にも影響があった。人間に必要なものなのに何故と思うかもしれないが、当時の日本は海外からの技能実習生という移民によって成り立っていた。滞在期限が切れたり、契約終了によって帰国してから新規の労働力が確保できず、土地があっても何も生産できないまま過ぎて1年を持たずに廃業してしまった。

 全世界的な危機だったので海外から輸入するという道も絶たれてしまい、自家菜園のような自給自足生活になっていった。

 公務員以外の職はほとんど無くなり、結婚や出産など夢物語のようになり、50年後に半減と予想されていた人口も10年後に達してしまった。

 危機以前にあった文化はほとんど伝えられなくなった。残っているのは形があるものばかりになった。

 現在博物館に残されている(施設はあるが来館客のためではなく保存目的)今無き物は、和服を始めとする生活用品、和太鼓などの楽器とそれらの映像など、落語や歌舞伎、地方のお祭りの資料などになる。

 伝統食などというものも無くなった。もち米なども作られなくなった。

 日本酒もほとんどの蔵元は無くなり政府管轄のところがいくつかあるだけ。品薄なので一般人の口には入らないものになった。

 博物館とは別に歴史遺産として展示されているものが1つだけ残っている。正確には各市町村に1つだけに残されている。

 社会科の授業で一度は習うコロナ危機の遺産になる。

 ガラスケースの中に鎮座するように置かれているそれの前に刻まれた文章にはこう書かれている。

 「当時の政府がコロナウイルスと戦うために国民1人に2枚の布製マスクを配布した」

 そして追記するように少し大きな字体で書かれた文章が

 「この愚かな歴史を私達日本人は未来永劫忘れることがないよう子供たちに伝えていくために」

 歴史に「もしも」はないが、繰り返さないために。

  

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