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レポート零:美青年達の苦悶

 歓楽街から少し離れた、倉庫が立ち並ぶ港。そこには、一人の青年と死体がいた。

 

 闇夜にうかぶ金色(こんじき)の瞳

 夜に溶け込む黒い装束。

 暗闇に映えるダークブルーの髪。

 

 全てが黒に包まれた、表情の見えないその青年は、死体に手を(かざ)して何かを(とな)えた。それは、人間(ヒト)にはけして聞くことのできない言葉。


 何になら聞こえるのか? それは、全知全能の神に聞くといい。

 

 黒い青年の口から白い光が飛び出し、死体を包み込むようにして消えていった。冷たい風が黒い青年の肌を掠め、波がひときわ大きく揺らいだ。


そのとき、死体が淡く鈍い光りを放ち始めた。先程黒い青年からでてきた光のと比べると、月と蛍光灯の様だった。

 当たりを照らし、黒い青年の影を濃くしてゆくその光は、次第に小さくなっていき、黒い青年の手に収められた雪白(ゆきしろ)の箱に入れられた。死体は、以前と何も変わらずそこにいる。

 

 黒い青年はじっと箱を見つめ、「ふぅ」っと息を吹きかけた。

 

 するとどうだろうか、雪白の箱が淡い黄色を染み渡らせていくではないか。じわりじわりと(にじ)んでいくその色は、箱全体を夕日色に染め上げた。だが、それも一瞬のことで、あっという間に元の雪白に戻ってしまった。


 黒い青年は、その箱を内ポケットに丁寧に入れ、その場を去った。もちろん、死体は放って置いたまま。足音を殆ど立てずに、黒い青年は去っていく。


 と、その後をすごい勢いで追いかけていく人影が見える。それは、黒い青年と同様の造りの白い装束を着ており、フードを目深にかぶっている。だが、走ることでおきる風の抵抗で、フードは外された。

 それにより、人影の表情をみることができた。

 人影は、とても美しい顔をしているため、髪の長さによってようやく男という区別ができた。髪は白に近い金髪で、瞳は青かった。肌は程よく白い。黒い青年とは対照的に、全てが白で統一されていた。


 白い青年は黒い青年においつき、顔を覗き込んだ。

 すると、黒い青年の顔は苦悶の表情で埋め尽くされていたのだ。白い青年は心配になり、

「おい、どうしたんだ?」

 と息切れもしていない様子で問う。少し声変わりしているが、とても美しい声だった。

 だが、黒い青年は何も言わない。白い青年は、何も言わずに隣に並んだ。しばしの沈黙がながれ、白い青年が耐えかねたように言った。


「なぁ、もうあきらめろよ…。殺さないと、俺たちが殺される…。俺たちは、もう逃げられないんだ。此処から出られない…。どのみち俺たちは、既に犯罪に手を染めている……。お終いなんだよ…。それでも、俺が隣にいる…一人じゃないんだ……だからっ」

 ふと、黒い青年が白い青年の頭に手を乗せて言った。

「…大丈夫だ」

 それきり、二人の青年は黙って歩を進めた。


 闇の中を、二人支えあいながら―――――――――――――――

第2部となりました!狗駒です。

ぶっちゃけてしまうと、この話もプロローグみたいなものなんですよねぇ…番号零ですし。

主人公はでてきてないし?この人たちは誰なのかぁ〜?なんて思ってしまう作者ですし?

色んな理由があるんですけども、第3部から、本格的なストーリーが始まると思います。(あくまで予定ですけど)

ですので、これからも狗駒 青の世界を楽しんでいってください!!

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