#3 説明会のご案内
前回までのあらすじ
「ジェノサイド社」にエントリー!
ジェノサイド社へのエントリーを完了させてから5日ほど経っただろうか。エントリーの際に記載したメールアドレスに、「エントリーありがとうございました!」などといった返事は未だ来ない。普通ならすぐにエントリー完了メールが自動送信されるはずなのだ。
やはりイタズラの求人広告だったのだ。まぁ最初から信じてたわけじゃないが、内心少しガッカリした。こんなフィクションみたいなことが本当にあるのか、という非現実に触れたような気がしていたからだ。
しかし考えれば考えるほど、自分の幼稚さに気付いていく。デスゲームなんてマンガやアニメの中だけでの話であって、現実に起こる出来事なわけがないのだ。現実逃避にもほどがある。
デスゲームだなんてくだらないこと考えてないで就活しろ、就活。そんなもっともらしい説教を自分に浴びせながら、今日も俺はオンラインゲームの世界に入り浸る。
その日の夜のことだ。俺は一人暮らしをしているから、夜になったら母親が作ってくれるなんてことはない。だが、自炊をするのも面倒だ。だから俺は、飯を食うために外に出た。
ラッキーなことに俺は両親からの仕送りが過剰であるため、金には余裕がある。自炊などせず外食の限りを尽くしたところで、生活に支障を来すなんてことは一切ない。だからアルバイトもしないし、だからといって生活に制約をすることもなかった。
これを世間では「親のすねをかじる」行為だと呼ぶ。この言葉はマイナスな意味で捉えられがちかもしれないが、俺はそうとは思えない。なぜなら、俺は過剰な仕送りを懇願しているわけではないからだ。
過剰な仕送りは、両親が勝手にしていることだ。「仕送りたくさんほしいなぁ~」とか小さく根回しをしたわけでもない。両親が自分で仕送り金額を設定し、それを俺に送りつけているにすぎない。そして俺は、それをありがたく使わせてもらっているにすぎない。
両親と俺、双方が良いと思っているなら、それはそれで問題ないではないか。誰にも迷惑はかけていないのだから、わざわざ第三者が口を挟んでくることではない。
だが、両親は俺の将来に期待をこめて、過剰な仕送りをしてくれているのだろう。そう思うと、就活もロクにしないでオンラインゲームばかりしている自分が嫌になってくる。それは両親の思いに背く行為だ。両親を侮辱しているといっても過言ではないかもしれない。
俺は少し反省した。今の自分の姿を、両親に見せることなどできない。胸を張って誇ることもできない。だから、少しでも両親に誇れるように努力しようと思ったのだ。
外食はやめだ。家で何か作って食べる。そのほうが、食費はもっと安くつく。高い金を払わなくても満腹にはなる。贅沢はやめだ。
そして、もうちょっと現実に向き合おうと思った。そう、就活に対してである。何も準備していない自分だが、まだ間に合う。今からでも就活を始めれば手遅れなんかではない。そんなことを思いながら、俺は来た道を振り返り、帰路についた。
その直後、何者かに背後から殴られ、記憶はそこで途切れた。ここまでが、俺が謎の部屋で目を覚ますまでの簡単なあらすじになる。
就活あるある
とりあえずエントリーした企業からのメールがウザい