一話 誕生
昔々あるところに小さな研究所がありました。
小さな研究所に一人ぼっちの科学者がおりました。
科学者は小さな命を産み出しました。そう人工的ロボットの命です。
見た目も動きもしゃべり方も人と間違えてしまいそうなまるで一人の少女のようなロボットはまさに奇跡的な出来映えでした。
「…システムI起動します。」
「出来た…ようやくできたのか…長かったな。」
「はじめまして、マスター。これからよろしくお願いします。」
そうロボットはお辞儀すると笑顔をこちらに向けた。しかしこれはプログラム的な動作であり「心」からの動きではない。
この科学者の研究はここからであった。それはロボットに人の心を教えること。
人間に欠かせない心。
心情や真心の大切さを教えようとしていた。
「よし、Iよこれからよろしくな。」
そうして科学者の研究は始まった。そうここからが本番なのだ。
「おはようございます、マスター。今日は何をしますか?」
Iはそう言って科学者を起こした。毎朝これを習慣つけている。
「そうだな…今日はテレビゲームでもしようか。」
「…テレビゲーム?私が勝ってしまう確率が99.97%ですがよろしいですか…?」
「あぁ、まあ問題ない。」
実際勝ち負けはどうでもよかった。楽しいという感情を身に付けてほしかったのだ。
そう。科学者がたどり着いた結論。それは経験だ。感情をプログラムしたところでそれ以上の進展はない。様々な経験をすることでまた新たな感情が芽生えるのだ。
「じゃあこのゲームでもやろうか。」
「はい、マスター。」
・・・・・・・・・・・・・・
「当然の結果です。」
結局ぼこぼこにされた。すこし自信はあったのだが結局勝てるわけがなかった。流石はスーパーコンピュータである。
「…そうだな、楽しかったか?」
「ええまあ。一位で独走するのは気持ちがいいですね。」
「あ、ああそうか…それはよかった。」
科学者は試行錯誤を繰り返し色々な事をIにさせました。
そんな科学者と人口知能・Iの長く短い日常のお話…




