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落ちこぼれの召喚魔法士  作者: 雪結晶
3/3

劣等生は暗闇の中に




卒業式が終わった


周りを見渡すと、バカみたいにはしゃぎだす野郎ども


不滅の友情を誓う女子グループ




ーー彼らは、何を思い、笑っているのだろう


彼らは、何を思い、悲しむのだろう


楽しかった日々にか?

仲間と分かち合った、協力した思い出か?


そんなもの、僕なんか一つも知らない


たった一回も楽しいなんて思わなかった

僕はずっと蔑まれてきた

落ちこぼれ(役立たず)


僕が召喚士というのは、一部の限られた人間しか知らないが、どっちにしろ、魔力は、最高峰だが、適性がないため、ここでも劣等生と蔑まれてきた


たった一回も協力されなかった

邪魔ばかりされた

まるで、そこにいることが悪いとばかりに


僕は何もしてないのに、何も関わってないのに、相手が勝手にやってきて、僕の人生を、狂わせていく


「おい、落ちこぼれ、ちょっとこっち来いよ」


ほらまたやってきた


「なあなあ、落ちこぼれ、これから一緒にダンジョンにでも行かねーか」


今日まで散々僕のことを踏みにじってきたくせに、まだ、飽き足らないのか


今度は何をするつもりだ


「俺らはさぁ、高校では、Aクラスに合格したわけ、つまり、エリートなわけよ。そんな俺たちがEクラスに、めでたく合格した、落ちこぼれ(お前)のお祝いで、ダンジョンへ一緒に連れてってやろうかって話してたんだよ。やっべぇ、俺らってまじ優しいわ」


ーーギャハハハハ


そんな品のない笑い声が聞こえてきた



魔法士高校の入学試験は、適性、魔法の詠唱速度と威力、そして、魔力量で決められる

それによって、


S、A、B、C、D、E、の、6クラスに振り分けられる


実を言うと入学時のクラス分けは、適性に左右され、魔法の詠唱速度と威力、魔力量では、ほとんど変わらない


適性は、変えられないが、魔法の詠唱速度と威力、魔力量は、強化することができるからだ


そのため、適性が高い生徒を優先するのは、当然の事とも言える




魔法士高校は、全国に7校ある


7校しかないのは、日本国内の魔法士は、人口の1/25程度、実践的な魔法士は、そのさらに1/400程度の、約10000人だからだ


夏には、七光戦と呼ばれる、魔法の技術と戦術性を問う個人・団体競技の大会がある


この大会の、メンバーに選ばれ、活躍すること、また、優勝することを、各魔法士高校と、その生徒は、目標としており、毎年、白熱した闘いが繰り広げられる



また、冬には、七影戦と呼ばれるものがあり、こちらは、ただ単純に、各校の全生徒が他校の全生徒に、自分の全てを出し尽くして、勝利する大会となる


夏の六光戦と同様に個人・団体での出場の、二種類があり、トーナメント戦なので、運も必要であり、どこの(ペア)が、どこまで勝ち進むのかが注目される


また、上位に入った者は、来年度のクラス分けにも影響するので、夏の六光戦とは違った形で白熱した闘いとなる




「お前は俺たちのもと、安全(・・)に、Lv上げができる。俺らは、荷物持ち(サポーター)を使える。どうだ?win-winだろう?」


戦わせる?嘘をつくな

サポーターって言ってんじゃないか

サポーターは、基本的に、戦わない


倒した魔物の、素材として取引される部位をバッグの中に入れて、集めるだけだ


「まぁ、こないって言っても連れてくけどな。とりあえず、1時にここの近くのダンジョン前の魔法士連盟支部局の入り口に、集合な、…逃げんじゃねぇぞ?」


その時、僕の心の中で、何かが揺れ動いた気がした


「あぁ、わかった」


何かを守るように、僕はすぐさま、返事を返した





ーー ーー ーー





1時、集合した僕らは、魔法士登録をするため、魔法士連盟支部局の中に入った





ーー ーー ーー





ちなみに、本部は、京都にある

日本では、県の名前は変わっていない


国の首都は、相変わらず東京で、国魔研も、そこに設置されている


魔法士連盟と、国魔研は、表上、協力しているが、裏では、互いに競いあっている


だが、魔法士連盟は、世界各国の、魔法士のための組織と繋がっている他、優秀な魔法士、


(魔法士は、魔法士連盟への、登録が暗黙の了解で義務づけられ、多少の制限がかけられる)


また、その一族を抱えていて、この国の魔法面での守護をしているため、おいそれと、国も口を出すことはできない


何年もたつ間にパワーバランスは逆転してしまったのだ


ちなみに、世界各国は、併合・分裂を繰り返しているが、10年前程度から、ようやく落ち着いてきている





ーー ーー ーー





ダンジョンは、魔法士連盟が管理している


ダンジョンに入るのは、15歳以上、または、中学を卒業した者のみ入れる


身分証は、魔法と連動していて、また、人それぞれの魔力紋というのがあり、(指紋みたいなもん)偽造ができなくなった


それを提示すると、データーベースと照合され、ダンジョンプレートが発行される


このダンジョンプレートは、ダンジョン内にある、階段(入り口の階段と同様に階段の上と下とでは、次元が違う)の近くにある機械にかざすことで、到達層を記録できる


層とは、階段を降りた後、その次の下へ向かう階段を降りなければ、そこにある全てが同じ層となる

下に降りるたびに、層の難易度は上がり、層の数字も1ずつ大きくなっている

1層→2層みたいに


階段は一層ごとに、上へ向かう階段と下へ向かう階段が一つずつだけあり、階段の近く100mは、魔物が入れない、安全地帯となっていて、そこに機械が置いてある


これらは、全てのダンジョンに共通している


ちなみに、このダンジョンの最終層は、7層で、初心者用ダンジョンとして扱われている


ダンジョンに出入りする場合は、ダンジョンに入るとき、身分証を魔法士連盟に、預け、ダンジョンから出るとき、魔法士連盟に預けていた身分証を受け取ることになっている


これは、年齢を誤魔化さないように、

また、帰ってくる時を、申告をすることによって、救助隊を早めに派遣できるためである


そのため、申告した時までに帰ってこないことは、厳しめの罰が与えられる




…との説明を受けた翔達は、ダンジョンに潜った





ーー ーー ーー





ダンジョン1層、2層3層……と、順調にクリアしていく翔達


ダンジョンは、成長しない


突然できて、ずっとそのままだ

そのため、階段の位置と位置、最短ルートをマッピングすれば、すぐに下の層まで行ける


しかし、ダンジョンは、回復する

ダンジョンには、罠が仕掛けられている

ダンジョンには、魔物がいる


これらが、発見されて、時間が経ってもいくつもあるのは、ダンジョンの回復機能のせいだ


ダンジョンの内容は、下の層へいくほど、難しく、凶悪になる


ダンジョン内で出てくる魔物は、ダンジョンごとに違うし、同じ1層でも、難易度が違う


S、A、B、C、D、E、F 級のダンジョンがあり、このダンジョンは、F級となっている


つまり、1番簡単なダンジョンである


だからこそ、翔達は気を抜いていたのかもしれない


ダンジョン内に安全なんてないのに




7層へ到達した翔達は、探索している途中に、隠し扉を発見した


その扉は、魔法での隠蔽が、されており、探

知で発見することができないようになっていた


翔達が発見できたのも、手をついた場所がたまたま隠し扉だっただけ


「おい!ここに入ってみようぜ!きっとお宝があるんじゃないか」


「いや、僕たちだけじゃ危ないだろやめておこうよ」

と、翔


「ああ?別にいいぜ、お前はこなくても、だけど、一人で外まで帰れんのかなぁ、お前は。まぁ、お前が死んでも、俺らは、別にどっちでもいいけど、サポーターとしてちゃんと来いよ」


「くっ、仕方ないか。わかった、ついてく。でも、危ない真似はするなよ」


俺もお前らが死んでもいいけど、俺は死にたくないからな


進んだ先には、宝箱があった


ダンジョンでは、たまに宝箱が出る

宝箱の中には、レアな素材や、装備品、魔法道具が入っているため、売れば、莫大なお金にもなる


普通は、トラップがないか、確認する


だが、その前に、宝箱に触ってしまった


「あ、ちょっと待って、トラップが仕掛けられているか確かめ


ザァッ

宝箱を中心に、魔法陣のトラップが発動した


そこにいたものは、全員トラップに引っかかった

もちろん、止めるために足を踏み出していた、翔も


閉じていた、目を開くと、先ほどまでとは、確実に違う場所


「どこだ、ここ」


翔達は知らなかったが、トラップの魔法陣は、ジョブの賢者ですらあみ出さなかった、転移魔法陣だった


そして、転移魔法陣で、他の空間にとばされた翔達、翔が、一歩を踏み出すと、壁に掛けられていた、松明が燃え上がり、連鎖的になって、奥の松明へと燃え上がった


そこにあったのは、直径100m程度の巨大な円状の空洞、そこに掛けられているかのような横幅30m程度の、一本の通り道、そして一つ目鬼(サイクロプス)S、A、B、C、D、E、F、Gランク中の、Bランク魔物だった


「嘘、だろ」


誰かがぼそっとつぶやいた


魔物は、それぞれによって、対処法が違うが、サイクロプスは、普通の魔法士だったら、10人はいないと、倒せないと言われている


こんな凶悪な魔物が、こんなとこに(F級ダンジョン)にいるはずがない、


俺たちが勝てるわけがない


そうやって、思考放棄をしているなか、相手は、律儀に待つわけなんてない


「グォオオオオオゥ」


サイクロプスが、突進してきた


サイクロプスの対処法は簡単で、突進してきたサイクロプスの足元に土魔法で、段差を作り、転ばせる


その間に、魔法で、フルボッコにするだけ


だが、サイクロプスの、攻撃は、単純な分、力がとても強い


生半可な硬さじゃ、突進で蹴破られてしまうし、弱い魔法じゃ、サイクロプスの表皮は傷つけれない


だから、翔達は、もし対処法を知っていても、ダメージを与えられないし、まず、パニクっているこの状況じゃ、魔法は、使えない


魔法は、イメージだ

こんな雑念だらけでは、イメージを明確に思い浮かべることはできない


「散らばれ!!」


翔がそう言い放ってから、ほんの少しだけ後、サイクロプスの攻撃が、地面をえぐった


「おい見ろ!あそこに扉があるぞ、きっとあそこから出られるんだ!」


その言葉を聞き、奥へと駆け出す翔達


後ちょっとで、扉にたどり着くところで、サイクロプスも、追いついた


「グォオオオ」


本能的に横へ避けた


ーードゴォォン


その一撃は、なぜか、明らかに翔のみを狙っていた


「クソッタレがぁああ」


その後も、続くサイクロプスの攻撃、翔も、無魔法で、応戦するが、相手は、気にも留めずに、攻撃を続けてくる


端っこに、おいやられて行く


「あっ」


凸凹している地面に足が引っかかった


それは、致命的なミス、隙


本来なら当たるはずのなかった、サイクロプスの攻撃


跳ね上がってきた腕に、翔の体は、吹き飛ばされた

とっさに魔力での防御をしなかったら、その時点で、体の上半身と、下半身は、別れていたかもしれない


「かはっ…ぅぁ」


壁に激突して、そのまま、先の見えない暗闇の中に包まれた空洞へと、落ちていく


意識を失いかける寸前


翔は、自分を吹き飛ばしたサイクロプスと、扉に入る寸前に振り返って、安堵したような表情で自分を見てきた、あいつらが、霞んだ視界に映った


そのまま翔は意識を失い、深い深い闇の中へ落ちていった



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