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魔王さんちの再婚事情。  作者: タナカつかさ
魔王さんちの再婚事情。
6/41

「魔王、ナンパするってよ」

「――ナンパですか?」

「ああそうだ――私はこれまでナンパなどしたことが無いからな」

「え? あんな後宮どころか魔王城まで沢山の女の子たちを侍らせといて?」

 それは先代の仕事を引き継いだからだ。が、それを差し引いても、

「いや、私は後宮の妃たちに真摯に接し愛しているが、一度もそれらしく口説いたことは無い。常にお互いその気になったあとなので『結婚しよう』でゴールインだ――日常会話も普通に普通の内容でしかない」

 育てた庭園や畑、手製の織物、編み物、菓子を褒めたりめでたり、一緒にお茶を飲んで何も言わずに寄り添い合ったりだ。

「……それは確かに軟派とは言わないかもしれませんねえ……」

 男らしいし王様らしいけど、また妙なところを変な風に拗らせてるなあ、と、仮面魔導士は思った。

「ですがそれなら女性を口説く技量はむしろは上げなくてもいいのではないかと」

「いや、今回はわけが違う――私は一応おっさんだぞ? 相手は現役十代の若い子だぞ? それを積極的にアプローチ掛けて口説くなんて人生初だ。正直不安要素しかない」

 ここ数年、まともに相対した女性たちはタマ取りに来た暗殺者ぶっこみ女勇者カチコミだ。あとは心と体に傷を負った繊細な女の子たちと一緒に暮らしていたから、その辺の機微に敏感とはいえ、逆に一般人の感覚は全くわからない。

 彼女たちと同じように扱い普通に話していれば口説けるのだろうか?

 それでよかったとしても、しかし――

「それでは教師と生徒の垣根を超えることはできないだろう――まあそう言う訳で、とりあえず最近の若い子との付き合い方についてネガ出しだけでもしておいた方がいいんじゃないか? ただでさえ寿命の差もあるし」

「確かに、それは言えてますね……ただでさえ歳の差ってほんの一年違うだけで生活感覚や価値観ががらりと変わりますから」

 ちょっと寝よう――でたまに百年超えてるときもある。文明開化どころか完全に別世界になっていることもある。だがファッションと同じだ、人と一緒に居ないとその辺の感覚が平然とずれる。

 もう軽く十回は世界が終わったり始まったりするレベルの文明の生き死にもあったし。

 おかげで細かいことを気にしなくなったけど。

 その分人としての感性や生物としての感覚が希薄になり、長寿種は唯我独尊であったり非常識な者が多い。

「だから実質レベル上げというより、レベル合わせと言うべきなんだがな」

「なるほど、言い得て妙ですね」

 それがナンパでも人付き合いでも会話でも、相手のレベルに付いて行けるかどうかで人間関係が決まるだろう。以上でも以下でも中々うまくいかない。

 相手に合わせられなければまず上手くいかない。

 恋愛においてもそうだ。身分差、経済状況、知性、趣味の合う合わない、尊重が出来るか出来ないかは言い換えるなら相手のことをどれだけ理解できるかで決まる。

 対等になれるかどうかというのは、現実における個々の力関係というより、そこで理解を示せるかどうかなのだと思う。

 そして理解が出来るかどうかは対応が出来るかどうかだ。それができないということは、付き合いができないということではないだろうか?

 極端な話、理解し合えるモノ同士か、逆に全く理解せずともやっていける者同士でなければ付き合いは発生しない。

 そこには、どうやって相手を理解し、自分を理解してもらい、お互いを理解するという過程が必要になる。

 例えば、合わずとも一緒に居られるのはその時どちらかが我慢をしてくれているからである。それは人間なんて基本一人一人違うのだから全部合わせられなくて当然――という理解や、力の上下関係を理解し、出来る事と出来ないことを理解し、それを許容しているからで可能なことである。

 そんな理解だ。

「さてそこで、年の離れた生徒と教師、二人が晴れて恋愛関係に居たりゴールインするには――恋愛に必要なレベル、力量とはなんだと思う?」

「そうですねえ、コミュ力、顔、ファッションセンス、気遣いに始まる礼節や常識――デートを演出するロマンス力、何でもない日常を記念日にすら変える妄想力、と――色々あるんじゃないでしょうか?」

「その通りだ。引いてはそれを実践する才――表現力とでも言うべきものだ」

 インスタントのコーヒーをただ淹れるか。それともカップを一度温めてから淹れるか。

 これは知識があれば出来る事であるが、本当においしい温度、飲みやすい温度、というのはその道を嗜む者でなければ分からない。どこかで紹介された温度にしても、買ったコーヒーによっては微妙に異なる温度帯となる。そうでなくともその人が本当においしいと思う好みや、味覚の閾値の差や、猫舌で飲めないという人もいる。

 これは経験を積まなければわからない。一般的には良質なマナー、気遣いと呼ばれるそれがどうしようもなく合わない人もいる。いわゆる面倒な人と言われる人だが、それも出会いを重ねれば理解することが出来る。

 本当の心遣いとは、施すも施されるも寛容と共にある。なので、これが正しい! という拘りから離れることもときとして必要だ。

「それらを手に入れるために必要なことは何だと思う?」

「――経験値ですね」

「そう、だから私たちはこれからナンパをする」

 そこに異論はない――

 そう思い掛けた仮面魔導士だが、

「え? ……私達?」

「レベル1、仲間無しで冒険に出かけるほど無謀ではないぞ?」

 確かに勇者だってソロでは最弱のモンスターにすらボッコボコにされる。旅立つと言いながら最初の街を出たり入ってりして旅費と経験値を稼ぎながら数日過ごす。と、仮面魔導士は『この人一人でナンパするのが怖いとか恥かしいとか思ってるんじゃ』と口に出し掛けたそれをどうにか堪えた。

 というか、一人で放って置いて何かやらかされたらたまらない。とりあえず殺される事だけはないだろうがむしろそっちの方が心配。

 また変な称号を得たら――まあそれはそれでどうせ本人平気なのだが。

「――それとこういうアイテムを作って欲しいんだが――」

 魔王は仮面魔導士に仕様書を渡した。

「はい? ……これならどうにかなんとか出来ますが」

「じゃあ頼む」


 と、世界の運命を居酒屋で決めそんなふうに別れてから数日後――


 平日。

 昼間から暇している人間は残念ながらこの世界にはあまり居ない。休みとは金銭的余裕があるか体調を崩してどうしても動けなくなってから取るもの――

 働くとは、生きるために必要だからすること――

 それは庶民の考え。

 公務――王族や貴族の義務に属する仕事、それこそが本来他人の為に働いている高貴にして尊き仕事、だからこそ彼らは敬われていた。大なり小なり他人が必要とすることで仕事というものは存在しているが、それを体現している者は常に少ない――

 一部、汚職や癒着、腐敗に不正のオンパレードでその権威と威光は失われつつあるが、まだまだ世界では王制の貴族社会が主流だ。

 それはさておき。

 休日。

 魔王たちは街の中央公園で待ち合わせをしていた。あたりには屋台や大道芸人がまばらに並び、親に見守られながら子供たちが溌溂と遊んでいる。

 街の中は魔物からは守られるが人が脅威となる。安全の都合上、子供を一人にする親はあまりいない。しかし、頻度高めに巡回している警察隊――クロスロードはどの国家にも所属しない自由都市なので騎士ではないそれらのお陰で治安はいい。

 そんな朗らかでうららかな日常の中、

「すみません、お待たせしました」

「いや、今来たところだ――女相手に言いたいな」

「その通りです――頼まれたものですが作戦内容に合わせて少々昨日を追加させて頂きました。こちらになります」 

 仮面魔道士は懐から怪しげな楕円のケースを取り出し魔王に手渡した。

 その蓋を開け、魔王は中に鎮座していた黒縁眼鏡を摘み、元より掛けていた自分のそれと取り換える。

「使い方は?」

「軽く眼に意識を集中するか、設定で自動起動に切り替えられます。ただそれは魔力が常に消費されますのでお気を付け下さい」

「ふむ」

 早速、その辺を歩いている街娘に眼を合わせ、意識を凝らす。

 それは落ち着いた色合いで纏めたブラウスとスカートに白のエプロンを付けたどこかの売り子のようだが――

 すると、効果音が脳に直接響き、彼女の情報が表示された。


名前:タチアナ 18歳 種族:人間。

 身長:161cm B79 W56 H86。

職業:店員。

称号:看板娘。客寄せ効果1.5倍。

装備:タイトなシャツ、縞ブラ、縞パン、エプロン、ガータータイツ、可愛い革靴。

恋愛属性:ノーマル。

 勇者の資質:なし。恋愛経験多数の上、肉体経験有り。


 良い尻をしている。ふわりとしたスカートの上からでは分らないが、スレンダーな上半身で美尻がより際立つ体型の様だ。

 魔法のメガネの鑑定能力に限らず裸眼で目視確認する。

 と、

「ふむ、胸がいささか数値より大きいが――」

「きっとパット装備ですね」

「その健気さが逆にいい」

「同感です」

「……いや、なぜ下着やらスリーサイズまで分かるんだ? お前には対女勇者用のナンパ技術の為、仮面魔導士に渡した仕様書には勇者の資質、神のストライクゾーン【心も身体も純潔無垢パーフェクト・ヴァージン】であるかないかのみ分かるアイテムを頼んだのだが」

「急ぎだったので市販の鑑定道具を改造した為ですよ。この手のステータス鑑定のものは装備についての情報も出ます――その術式の中の根幹部分にまで手を出すことは出来なかったので」

 元は冒険者や勇者たちが魔物のステータスや能力を見るために使うもの、その亜流だ。ちなみに街では違法な持ち物や犯罪履歴を調べるために警備の人間や警察のみが使用できる。

「なのでとりあえず重要事項――勇者の資質に関しては世界記憶アカシックレコード参照できるようにしました。それに引っ張られているのでしょう」

「むう……まあ、それぐらいは仕方ないか……」

「裸が見えてしまうよりはいいでしょう。それと念の為、セクハラで訴えられないよう正式な所持者以外にはただの種族判別眼鏡としてしか機能しません。とりあえず名前は最上級斥候スカウターのメガネです」

 勝手に処女か非処女かを判定し、あまつさえ『初恋はまだか?』などと親父臭い言動を体現する様なセクハラメガネではある時点で色々とアウトだが。効率よく対女勇者対策を施したナンパ技術を習得するにはそれしかなかった。

 何故なら、休みの日はテストの採点とか講義に使う資料の作成とか――魔王として判を押さなければいけない書類の山とか色々あるのだ。市長の役目はそこそこ任せられる表向きのそれに分からない物だけおいておけと言ってあるが。ぶっちゃけかなり多忙である。

 もういっそ魔王らしくシンプルにクッ殺で寝取った方が楽なんじゃないかと思うが、そんなつもりには絶対になれなくて。

「――では、レベルを上げにいこうか」

「そうですね、張り切ってナンパしに行きましょう」

 


 広場は都市の主立った市場や観光地に繋がっている為、常に人でごった返していた。

 和気あいあいと休日の一時を楽しんでいる。

「……うーん、どの女の子にしようかな」

「若い子達の元気な姿を見るのはそれだけで癒されますねえ……」

 これなら勇者の資質を持つものが相応数いるだろう。もちろん普通の人間族だけでなく魔族の猫耳、犬耳、竜角とよりどりみどりの女の子たちが居るので属性に抜かりはない。

 その半分が男であることを除けば最高の光景だ。ナンパ日和としか言いようがない。

「笑顔がある。善い光景だな――」

「ええ。――人間社会における魔王の言っていいセリフじゃないですね」

「気にすることじゃないな」

 魔法の黒縁眼鏡を通して魔王は辺りを見渡した。

 そのレンズに写った女性の情報が意識の中に流れ込んで表示される。

 処女、処女、非処女、非処女。

 非処女純潔純潔不純無垢無垢汚れ汚れ汚れ婆婆婆――

 勇者の資質を持たないものを除外する、と、一気にその数が減った。さらにロリとペドを除外する。

 世界に女は十代女子が数人のみである。嘘だろう? これが神の視点か? バカな、こんな寂しい世界を奴は見ているというのか。

「――神は狂っている」

「何を見たんですか」

「神の視点では世界に女がほぼ居ない」

「貞操観念が悪化してるんですかね……今成人年齢って幾つでしたっけ?」

「男女ともに15歳の筈」

 旧世界における魔物の発生で人口が大幅に減ってからというもの、義務教育の価値は薄れ学業に時間を割くより戦える人間を増やす為にもと成人年齢が引き下げられたのだ。当然ながら人口の増加も視野に入れてのことである。

「……まあ、愛し合う人が居る、ということはいいことなんだがな」

「何言ってるんですか」

「分らないか?」

「なんとなく分りますが――これ以上は止めておきましょう」

 まあ、元より不純異性交遊と純粋な異性交遊には非常に曖昧な垣根があった。これは純粋な愛情行為と言えば――それをそうでないと証明することは難しく、搾取を防止するため精々社会的力を持つであろう成人が未成年に性交渉を行うことを禁止、とするしかなかった。だからといって未成年同士の純粋な愛情行為ならOKというのも大概だ。

 それはともかくターゲットはしぼれた。

 観光客、町娘A、B、C、屋台の売り子の五人、その内の町娘Cに行く。

 A、Bは二人組なのでこちらと人数が合うが待ち合わせ中、観光客も悪くないが道を探しているっぽいので遊んでいる暇はなさそう。屋台の売り子は仕事中なので迷惑を掛けるわけにはいかない。

 そんな親切プランで、

「よし決めた」

「決まりましたか」

「ああ」

「では私はここで待ちますね、健闘を祈ります(グッドラック)!」

 言いつつ仮面魔導士はその仮面の上から眼鏡を掛ける。

 その珍妙な光景に、

「……何をしているんだ?」

「あ、戦いが始まる前に、魔王様の恋愛ステータスもみれるのでご確認を」

「何? 俺もか?」

「自己の戦闘力の分析も必要でしょう――それからこちらとそちらの眼鏡で脳内通信が出来ますのでご利用ください。ついでに思考加速をし疑似的な時間停止や遅延化が可能なので、リアルタイムで作戦を練りながらこちらからもアドバイスが出来ます」

「そうか、それは頼もしいのだが……」

「なんですか」

「お前、ナンパしたことあるのか?」

「攻略本は所持しています。……では端っこにある項目、ステータス、を眼で選んで念じてください」

「おい」

 だから幼なじみが寝取られるんだよ――と、言いかけるが止めた。

 そして指示に従うと自身のステータスが意識の奥に浮かんだ。


 名前:無動幻真 HP35、MP25、種族、不明。

 身長:185cm 体重85kg 中・筋肉質。

 職業:教師。(隠蔽:魔王、魔界の国王としての意、称号とは別)。

 称号:【魔王】、夜の魔王他多数――ベッド上で全ステータスがMAXに。

 装備:無難なベストとシャツ、普通のズボン、使い慣れた革靴、魔法の黒縁眼鏡。


 知力45、体力50、魔力34、魅力44、器用32、財力50。

 

 魔王は思った。

 概ね間違えていないが、

「私のHPはこんなに低くないんだが?」

「それは通常ステータスですね。これはナンパにおける恋愛ステータスなのですが特に意味はなく見せ掛けだけです。実際には現実の貴方依存です。しかし街中でも使用できる演劇、芸能系、ほか多数の『恋の魔法』をナンパに使用できるようメガネに登録しておいたので、様子を見て良ければ使用してみてください」

「……恋愛魔法ねえ」

 一抹の不安を覚えるがいつまでも二の足を踏んでいるわけにもいかず、言われるまま魔王は町娘Cに向かった。

 何気ない様子を装い、彼女の元へ――

 そして、接触する。

 

 安っぽい電子音が響いた、どうやら戦闘開始らしい。

(いや、何故こんな音が突然脳内に)

(――演出です。ではこれより戦闘(ナンパ)に移りますので、そのチュートリアルをさせて頂きます)

(緊張がなんか台無しなんだが)

 魔王の正面、声を掛けようとした女性の動きが停止している。

 まるで時間が止まったようだが、それは確かに流れているのだろう、見た目では分らないほど微かに動いている。

 そして視界左下部には新たな表示枠が浮かんでいた。それには――

 はなす ちかづく よくみる おぼえる おもいだす。

 まほう とくぎ しょうかん おぼえたわざ。

 どうぐ ぼうぎょ さくせん にげる。

 とある。

(ではまず話し掛けてみましょう、はなす、です)

 仮面魔導士の声と共にカーソルが現れピコピコとそれを指示している。従い、魔王は意を決し町娘Cに無かい歩き出した。そして、

「あのー」

「? はい――なんですか?」

 ――魔王は町娘Cにはなしかけた!

 ――町娘Cは怪訝にこちらを窺っている。

 ――警戒している。いきなり口説き出すのは危険かもしれない。

 ――町娘Cのターン。

 話し掛けた瞬間だった、視界下部にそんなナレーションが表示された。

 そして、

「……」

「……」

 魔王は何も言わず時間が経過する。

「どうかしましたか?」

「え?」

 時間が遅延する。

(話す内容は自分で考えるのか?)

(これはゲームじゃありませんので)

 確かに。しかしナンパでどう誘えばいいのか――

 魔王は疑問する。毎日圧倒的多数の女性と暮らしてると一回一回丁寧に褒め言葉を探す事なんて出来ない。だいたい「今日も綺麗だよ」「愛してる」もしくは何も言わずにキスをするとか顔を見る度に抱き締めるとかのローテーションだ(義務ではなく超自然に)。

 それはやっちゃだめだろう。

 それ以外の初対面の相手には大体「ようこそ魔王城へ――中略――さあ、最後の戦いを始めようか!」なので、意外とボキャブラリーが少ない。

 ていうか、どれもこれも使い古した感があって、何の接点もない相手に何をどう話題を降ればいいのか分らない。今の娘ってどんな会話が好きなの?

 否――どう接点を共有すればいいのか。

(……何に誘えばいいと思う?)

(え、ノープランで声を掛けたんですか?)

(声を出せば自然に言葉が出て来ると思っていた)

 ありがちである。とりあえずやってみれば何とかなるだろう、と楽観視していた為何もも出来なかった。

 ここは無難にと、半音上がった窓口応対の声で、

「――あ、ああすいません、今お時間よろしいですか? もしよければ近くにある評判のケーキ屋に、」

 それがナンパと見るや、町娘Cは、

「ああこれから待ち合わせなんで、急いでるんで――」

「あ、はい」

 魔王は取り付く島もなく即行でフられた、5のダメージ。町娘Cに逃げられた。


 そして特に予告も演出もなく戦闘画面の表示枠が閉じた。

 魔王は仮面魔導士の元に戻り、地声で尋ねる。

「……で?」

「いや、終わりですけど」

「早くない?」

「割とこんなもんじゃないですか、ナンパって」

「普通に誘ったつもりだが物凄い普通に断られたんだが」

「ええ、メタルなスライム並みの速さでしたね」

 僅か一ターンで逃げられた。

「……なんとなく、これは男として由々しき事態であると感じるのだが」

「そうですね……一見、特に悪い所も無くさりとて良い所も無く……非の打ち所の必要性を感じます」

「最初は――さりげなく褒めるべきだったか? 美人のお嬢さん、もしよろしければ私と一緒に――とか」

「かもしれませんね、もしかしたら今のは少々性急だったのかもしれません。いきなりメリットを提示しことが『彼女は即物的なものに絆される』という読みを暗示し――常識と貞節、そして女性としての尊厳の否定になり、不信感や嫌悪感を与えたのかと推測されますが」

「じゃあ今度は褒め言葉からで――ついでに今度は二人で。――あ、さっきの町娘ABに行ってみよう」

「承知しました。では参りましょう」

 魔王と仮面魔導士はへこたれずに町娘ABへと向かった。


 接触距離まで行くと効果音と共に表示枠が現れる。

 戦闘開始と判断し魔王は二人に声を掛ける。

 自然に微笑みながら、

「そこの綺麗なお嬢さん方、少し時間いいかい?」

「はい?」

「?」

 Aが返事し、Bは瞬きをし様子を窺い始める。

 ――だが、既にやや後ろ足を引いている。

 魔王は既に危機を感じた。そこで即座に相方にも援護射撃を求める。

(おい)

(――あっ、町娘ABは既に逃げる準備をしている!)

(ナレーションお前がしてたのか?)

 それはどうでもいいが、仮面魔導士はあたふたと挙動不審な態度で混乱している。寝取られ失恋が尾を引いているのは間違いない、どうやら女性に恐怖心を抱いている様子だ。

 こりゃ駄目だと判断し、魔王は一人で攻勢に出る。

「これから一緒にお茶でもどうかな? 待ち合わせをしていたんだけど、予定が崩れてしまってね。二人分、そこの劇場のチケットが空いているんだけど」

 前回の反省を踏まえての口説き――

 だがしかし、相方の不審な態度が気になるのか、仮面の上に眼鏡を掛けたその奇行が気になるのか、さらには同じ眼鏡を掛けている魔王と合わせた眼鏡コンビを見た上で、彼女たちはアイコンタクトのみで頷き、

「――すいません、今日は二人で遊ぶって約束したんで」

「もう行かなくちゃ、ね?」

「うん。」

「――分りました。お時間取らせてしまってすみません。もしまた偶然があったらお誘いしても?」

「はい?」

「一度だけでは諦め切れませんし、迷惑も掛けたくありませんから。だからもしまた偶然あえたらそのときは――どうですか?」

 ほんのちょっと、心が揺れた。真摯な対応でありつつ、特別な好意を仄めかす。本当にもしそんな偶然が起きたら――と、想像してしまう。

 しかし隣の仮面に眼鏡の過積載の不審者を見て、これの同類項なのかと思うと。

 苦笑い――からの、そして苦笑い。

 二重の苦笑いにより引き攣った小皺――しかも引き気味のそれを浮かべ、

「――すみません、急いでるので」

「さようなら~」

 極めて自然を装いながらズダダダダ! と、音がしそうなくらいの早足で町娘ABは逃げ出した。

 物凄い危険――朗らかな中年の粘着質なストーカー気質を垣間見た気がして。

 戦闘画面が終了する。

「ダメでしたね」

「ほぼおまえの所為のような気もするが――だが若干会話時間は伸びたか?」

「しかし反省点を踏まえながらもそれ以外の点で不信感を得てしまったような」

「果たして今回は何を反省すればいいのだろうか……」

 


「――すみません、ちょっと歳が離れてると」

 直球で痛恨の一撃が見舞われた。

 とくに思い当たることが見当たらず、ぶっちゃけてどこがダメなのかを聞いてみた。

 仮面に眼鏡はないとはやはり言われたが。それ以上に気になるのはそこだということだ。

 あっけなく答えは出た。つまりは、

「……オッサンだからか!」

「確かに、そこを見落としていましたね――我々三十代は人間的にも社会的に最も脂がのった時期だとしても10代から見てただのおっさんおばさんです。それがいい年してナンパ――どう考えても落ち着きのない、その上性欲旺盛な野獣か援助交際、個人売春目当てと見られても仕方がありません」

「可能性として何一つ否定できないな」

 年齢差が二十もある様な男女関係ではむしろ――肉体及び金銭関係の無い信頼ってどうあるのかと思う。そこには何かしらの利害関係を孕んでいないだろうか? 上司の庇護下とか保護欲とか、それ以外の精神的なメリットだとしても。

 少なくとも対等な関係ではないだろう、親愛とは呼べても友情ではない事だけは確かだ。あとはそれこそ愛か――何かしらの逃避ではないかと。

 後宮で囲い守っている女性たちは、その親愛か、それこそ対価としてそれを行おうという者もいるが、女として出来ることをしているからここに居てもいい、という免罪符だ。それ無しだと逆に気を咎めて出て行こうとする者もいた。そんな子だからこそいじらしくも愛らしく――しかしそんな歪な愛ではなく、本当に愛し合うことの素晴らしさと幸せを与えるべく手加減抜きで情熱的なLOVE(心)を注ぐのだが!

 それとはまったく違う。

 今、虚しさを魔王は感じていた。

 ただ普通に、特によこしまな思いも無く一緒に遊ぼうとしただけで、変なおっさん扱いされる。

 という現実が、見えない風になって体の中を冷たく吹き抜けていく。

 認めたくない、自分がおっさんだということを、そして何より、ひょっとして自分は今かなり変態に足を踏み入れているんじゃないかということを。

「……今の子ってガード固いのかな?」

 風潮の所為にして、ちょっと現実逃避した。

「さあ? ただたとえイケメンでも初見じゃ見ず知らずの不審者に違いないということではないですか?」

「いや、イケメンていうほどじゃ」

「貴方がイケメンでないというのなら多分男性の三割から五割がブサイクもしくは普通ということになりますが」

「なんだその微妙な数字は」

「あくまで一ジャンル、という肯定と否定ですので」

 柔和でふんわり包容力の優男顔、しかし筋肉質(中)に長身のたくましさ、ダサ眼鏡が逆にとっつきやすさのアクセント――というそれぞれが潜在的なギャップ萌えの相乗効果を生み出している、平凡な筈なのに目を引く、妙味ともいえる風貌――派手さはないが一定の需要を満たす憎めない容貌をしている。

 カッコイイでも可愛いでも渋いでもない、色気だ、認知し辛い男の色気を持つのである。

 突き抜けたイケメンではないが、どこかで変貌しそうな――恋人として見れないのに、何故だか男としては見てしまい、値踏みして結婚なら考えるタイプ。

 どこかマの抜けた行動の所為でその大体が減衰もしくはマイナス化しているが。

「そもそも――ナンパなんて、金と性欲に飢えた女か、世間知らずか逆に飛んでも無く経験値が高くて慣れてる女かもはや菩薩のように懐が深いかくらいしか応じないんじゃないですかね? あとは運命の一目ぼれくらいか」

「確かに、どれも少数派マイノリティーだな、となると――」

「数ですね、数で補うしかありません。出会いは求めるなら数です」

「……よし、次行こうか」

「それしかありません、行きましょう」

 

 ……それは絶望的な戦いだった。


 町娘Dが現れた。また1ターンで逃げられた。魔王は心にややダメージを負った。

 町娘Eが現れた。魔王は彼女に眼を向ける。

 それだけで町娘Eは歩行の速度を上げた! 声を掛けるまでもなく逃げられてしまう!

 勝負にすらなっていない! しかし魔王たちは次から次へと声を掛ける!

 町娘F~Zまでが現れそして逃げられた! もう町娘アルファベットは残っていない! ここから先はまたA~Zに更に周回数が付くだけだ!

 だが魔王達は声をかけ続ける、掛け続ける、掛け続ける――!

 女性たちの犯罪者を見る目にめげず勇敢に立ち向かった……!

そして、

「無理ですね」

「ああ、無理だな」

「十人に一人、いえ、二十人に一人くらいは会話ぐらいは出来るんじゃないかと思っていたのですが」

「もはやそんな気もしないな」

「――そこで恋愛魔法です」

「忘れてたが、何か使えるものがあるのか?」

「どんな女性でも恋に落ちるであろう切っ掛けを作り出せる魔法があります」

「どんなの?」

「そうですね、ではまずは召喚魔法は如何ですか?ステータス画面を開いて項目を確認してください」

「ほうほう――」

 魔王は眼鏡を操作しメニューを開き、召喚魔法のヘルプを見た。

 初期から使用できるのは三つ――その召喚対象と効力の説明を確認する。

【捨てられた動物】

 どこからともなく弱々しい鳴き声が。天候が雨のとき効果が抜群! 特殊外来生物は捨ててはいけません。

【騒音を連れてくる何か】

 ハーレムを目指すなら必須。結論を迫られたらこれを使いましょう。魔法の回避呪文「え? なんだって?」を一緒に唱えるとさらに効果的です。

【空から何かが舞い降りる】

 ハンカチ、下着、もしくはメインヒロインが直接あなたの顔の上に。流れ星はロマンティックですが割と凶兆で遠くで誰かが死にます。

【馬車】

 轢かれそうになった女の子を颯爽と助けましょう。逆に轢かれれば運が良ければ生まれ変わって別の世界でやり直せます、強くてニューゲームが出来るかも。ただし悪ければ死ぬか病院の上で激痛と共に目覚めることに(要入院費もしくは葬儀費)。

魔王は達観した溜息を吐く。

「……おい」

「外さないでしょう? 空から何かが、を選べば賢い理由もなくあなたに惚れて運命的に結ばれるでしょう」

「それはもうナンパですらないだろう」

「では馬車トラックでしょうか。吊り橋効果でドッキドキです。運が悪いと異世界転移か転生かそのままお陀仏ですけど」

「女をわざと危険に晒すつもりか?」

「では動物ですね」

「……どうやって使うんだ?」

「鑑定とほぼ同じです。目で選んで意識でスイッチを押してください」

魔王はもう半ば投槍にカーソルを移動させポチッと押す。

 すると電子音がした。

 特に魔法陣が出るとか光が溢れだすとかもなく、ただ辺りが静まり返っている。

「……何も起こらないぞ?」

 辺りをきょろきょろと見まわす。

 すると、

 ……ズン。

「なんだ?」

 地面が揺れた。それほど遠くない震源のようで、それは周辺の建物への波及している。

 魔王は辺りを見回しながら思う。呼び出す際の住所を間違えでもしたのかと。

 そして、

 ――ズン!

 その音がまた響いた。今度は大きく――先程より近くから聞こえていた。

 近付いてきている。なにが? と思うそれが魔王の耳に届いている。

 そして向こうから、微かに阿鼻叫喚の声が聞こえる気がした。

 気のせいだろう、今日は呑気な休日だ。日常の騒がしさはあるがそんな切羽詰まった喧騒が聞こえるわけがない。しかしそれは徐々に大きな騒ぎに変化していった。怪訝に思うその音は段々と大きな地響きとなりそして徐々に歩幅を狭め大仰に加速してくる。大通りを行く人々もその不吉な予感に責められ辺りを見回しながら右往左往していた。

 ズン……ズン……ズン、ズン、ズン、ズンズンズン!

 何かが跳躍したように音が一旦下がり、そして急激に大きく揺れた。

 ――ズシィイイイイイン!

 そして、

「いやあああああああああああああああああああああ!?」

 悲鳴が爆発する。

 人の波が起った。

 蜘蛛の子を散らしそのおそらく巨大な何かから逃げようと奔走し、道が濁流と化し混乱が急激に街中を広まっていった。

 人が大量に流れている、まるで波濤の様だ。すると一人の女性がその勢いに抗い切れずに倒れ込んだ。

 魔王はさりげなくその防波堤になり彼女の目の前で庇うよう膝を下ろす。

「あっ」

「大丈夫?」

「す、すいません」

 手を引き起こして、行くように促す。

 だがその瞬間、息を潜めるような静寂が巻き起こる。

 ――何かが来る。

 それを感じ取った瞬間、魔王はヌッとした影に覆われた。

 路面を隙間なく覆い尽くしてもなお余りある黒い色――その影は影にも拘らずは質量を持った圧迫感さえ感じ、濃厚な熱気までももたらした。

 ……ていうか実際、口からちょろちょろ火を吹いている。

 それがなんなのかといえば、

「ふむ……ドラゴンか……」

 確かに動物だ。そして召喚魔法らしい。すでに庇った女性は目が白く失神している。スタン効果ありだ。

 鋼の盾を幾層も重ね合わせたようとても固そうな、緑の鱗――目の前にはでかい鼻穴と口に牙が見える。だがそれは愛くるしく尻尾をふりふりとしていた――岩をも軽く砕くような刺々しい尻尾が。

 道一杯に振り回され、両隣の建物をバガンガン破壊し路上に敷き詰めた石畳をギャリリリリ!と破砕している。が、見ようによっては無作為に愛嬌を振りまく子犬――に見えなくもない、仕草だけなら。

「……中々可愛いんじゃないか?」

 褒められたことが分るのか眼がキラキラしている。

 だがこれは、

「……いや、普通の攻撃魔法じゃないのかこれは」

「いえ、運送業用のお取り寄せ魔法をカスタムしたものなので攻撃力はありません」

「……これ、捨て子か?」

「だとしたらたぶんここまで大きくなるとは思わなかったんでしょう」

「……ありがちな理由だな」

 見た目は確かに育ったら大きくなりすぎたカメっぽい顔だが。

「……いや、一体誰だ、こんなの捨てたの」

「ごく一部の裕福層か……それとも生みの親でしょうかね?」

「育児放棄か……可哀想に――いや、まさか召喚魔法で誘拐したんじゃ」

「それは異世界勇者です。ちゃんと条件検索してヒットした迷子か捨て子ですよ」

「可哀想に……触っていいかい?」

 とりあえず、近寄って手を出す。いきなり触れるのではなく眼前で止め危険かどうかを判断させる。鼻先で軽く突き、匂いを嗅ぎ、顎を元の位置に戻した。

 そこで撫でる。表面はざらざらしている、鱗の状態はそんなに良くないみたいだ。

 ここまではいい。

「――で、これを拾えと? 物理的に? 抱き上げて? どうやって?」

「心で」

「上手いこと言ったつもりか?」

「普通に従魔契約してはどうですか? ええっと――ああ、竜精種ですね、とりあえずエサは魔力か地脈で大丈夫なタイプです」

「じゃ家に来るか?」

「しっかり養育して下さいよ?」

「あたりまえだ。が、もう二度とこの魔法は使わない」

 ドラゴンで済んだからいいが、それ以上の何かがガチャ的に出て来たらやばい。

魔王はドラゴンに向き直った。

「……じゃあ家に来るか?」

『がー』

 同意か、ドラゴンは腹を見せ尻尾を振った。

「あ」

 道の舗装が剥げ土煙が上がり、街が、建物が、更に破壊されていく。

 それを見て、周囲の人間がさらに騒動を大きくしていく。

 流石にまずい。魔王は腹を見せ甘えたがるドラゴンと素早く契約するとドラゴンは両手で抱えられる程度の大きさに縮まった。

 そのときだった。


 ――パラパラッパッパー!

 ――魔王は女の子のお持ち帰り(ゲット)に成功した! 

 ナンパが成立した! 魔王は竜の少女を堕とした! レベルが1上がった! ――包容力、魅力が2アップ――優しさ、かっこよさ、たくましさが、それぞれ1上がった。

 そんな軽快なラッパ音が脳内に鳴り響き、

「……え? なんだって?」

 魔王はとりあえずそう言った。

「空耳鈍感ですか?」

「――違う。この子♀だったのか?」

「そこですか?」

「……確かにそこじゃない。――なぜ召喚したドラゴンにナンパ判定が出ているんだ?」

「それはもちろん――恋に落ちたのではないですか?」

「……」

 筆舌尽しがたいが、魔王は腕の中を見る。見ればその腕の中でうっとりした子竜がいる。

 恋に堕ちて――いる? 種族と年齢の差を越えてしまった。

「……ロリコンでケモナーですか」

「おい」

「冗談です。で、こちらの女性はどうします?」

「……じゃあよろしく」

「え? 丸投げですか?」

 庇った女性は気絶している。そして怒号を上げて迫ってくる騎士やら警察やら冒険者たちの軍靴が迫っている。

 魔王は両手でドラゴン少女を抱え何も言わずに猛然と走り出す。

「ああ!?」

 仮面魔導士も慌てて女性を担ぎ、盛大な事故現場から逃亡した。


 その後、仮面魔導士に進められるたびに恋愛魔法を使い女を口説こうとした。

 恋のドキドキを演出する電撃魔法――髪が静電気で浮いて笑いをこらえた。特別な人は輝いて見える点描・光魔法は逆に眩しくて見えないというか眼が悪くなったのかと困惑された。見せ場で辺り一面に薔薇が生まれる植物魔法は大道芸の一発芸扱いされおひねりを貰った。

 アイテムの『芋けんぴ』を使用したが、割とサラサラで髪にも肩にも着かず地面に落ち鳩のエサになった。どうも夏、それも相当時間袋を開け放置したそれでなければ使用できないらしい。パンを咥えて走るが呼吸が鼻呼吸オンリーですぐに息が上がりぶつかる前にストップ、且つ中途半端に口が閉じられない上舌の上の糖分に反応し唾液が出る為口元から涎が酷いことに。

 どれもその悉くが空振りもしくは裏目になりトラブルを引き起こした。

 そして思う。

「……やっぱり真っ当な恋愛に魔法なんてトラブルの元だな」

「そうですね。フィクションはやはりフィクションなんですよ、無理なんですよ」

「普通に口説こう」

「じゃ、とりあえず鑑定能力だけ残して他は削除しますか」

「そうだな、とりあえずスリーサイズと下着だけ見れればいい」

「本音が出ましたね?」

 最近、裸を見るより数字を見てそれを想像する方がワクワクする。

 裸も、全て脱いでいるより下着を部分的に残していた方が盛り上がる。

 長生きしてエロのレベルだけは静かに上がっている、そんな魔王であった。



 


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