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魔王さんちの再婚事情。  作者: タナカつかさ
薔薇の勇者と百合の聖者。
25/41

娘、お母さんの下着を観察する。

 最近、お母さんが変わった。

 ちゃんとお化粧をするようになった、いままでは私が注意してもお肌のお手入れ、化粧品とかじゃなくお手製のヘチマ水とか精油をちょっと、くらいだったのに。

 鏡台の前でどきどき、そわそわ、ワクワク、ツヤツヤするようになった。

 友達のお姉さんやお母さんが服を選ぶときに似ている。私の服を選ぶときの顔と似ている――期待しているようで、キラキラしているようで、嬉しそうで、困ったような、幸せそうな顔……それと同じだ。

 前はそんなのドブに捨てちゃえ、くらいだったのに。

 毎日楽しそう。農家だけをしていたときは、面白そうな顔をしたり、男の人みたいな顔をしたり、真面目な顔で顔をくしゃくしゃにしていることも多かった。

 それはそれで自慢だったけど、いまのお母さんも私は好きだ。メチャクチャ美人なのにそれを隠してるのがホントはちょっとわからなかったから。

 お母さんは世界一綺麗だと思う。貴族とか、お姫様とか、踊り子さんとかもう眼じゃないくらいに。

 綺麗なのに可愛くて、そんで最近、大人っぽい、お母さんポイのとは違う。

 色気とか、そういう感じ。綺羅綺羅? ツヤツヤしてるのに、それが見えない――だからよく見ようとして眼が吸い込まれてくような感じ。

 もしかしたら、怪しい……ううん、妖しい? っていうのかもしれない。

 妖しい雰囲気――


 そんなお母さんの、下着の干し場所が変わった。


 そう、お母さんは怪しい……

 下着を、家の中でも見えない場所に干すようになった。

 それはたぶんお父さんが居るようになったからだ。これまではお風呂の脱衣所だったのに、こっそり二階の屋根裏、物置部屋に干している。元々家の中に干してたのは、外だと盗まれるかもしれないし、風に飛ばされることもあるし、日焼けすると色が悪くなるからだけど。

 お父さんに下着を見られるから、恥ずかしいらしい。

 お父さんとは朝になると裸で一緒に寝てるのに、オカシイ。

 聞いてみた、お父さんの体は熱いから、一緒だと夜は熱すぎるくらいだから下着は要らないらしい。

 確かに、お父さんと一緒に寝ると、最初はあったかいけど夜中、熱すぎて離れたくなる。

 ――でも、私は知っている。一日に二枚、夜の内に一枚干したものが、私が学校から帰って来る夕方には二枚になっていることをだ。

 夜に干すものは昼に穿いていたパンツだ。つまり新しく、もう一枚、昼の内に洗っている。

 何故、昼にパンツを追加で洗っているのか。

 つまり、夜に穿いて、朝、洗わなければいけないほど汚した? ということは、

 ――おねしょ。

 いや、私は知っている。

 もう、保健体育で習った。その前に、お母さんから教わった――女の子の秘密だ。

 男の子より早く教わる奴だ。どこがどうなるかは大体知ってる。

 つまり、いつの間にか一枚増えてるあれは、

 お母さんの勝負下着。

 ふぉおおおおおおお! 気付いてはいけないことに気付いてしまった!

 ラブラブだ! 超ラブラブだ! だって毎日二枚干されてる! お母さんはかわいい恰好や綺麗な格好を自分の為にはしない! つまりお父さんの為に頑張っちゃってるんだ! 

 すごい、普通週に二回か一回、多くても三回あるかないかって聞いてたのに、一〇年以上経ってるのにまだ超ラブラブだなんて!

 ……まあ、それは知ってたけどさ。だって、ずっと目の前でいちゃいちゃ愛のオーラ出してるもん。

 普通に私がいるのにチューを繰り広げることがあるもん。

 本人たちは上手く気付かれてないと思ってるんだろうけど、幾ら音を出さなくても、すぐ後ろなら気配でわかるもん、それまでイチャイチャしてたのに、急に音がしなくなったら逆に分かるもん。

 二人とも、お母さんの書いた小説どころじゃないラブラブ具合なんだよなあ……もう、言葉なんかいらない? デートなんか時間の無駄、それより何も言わずに誰よりも傍に居て欲しい、っていう感じで。

 多分……キスをすることすら邪魔? そんなことをしなくても愛を確かめ合える? 

 子供の私には理解しがたい、そんな境地に達してる感じだ。二人だけの歴史? 世界を感じる。

 

 ちょっとうらやましいと思う、生まれた時からお父さんが居たら、私もお父さんとそんな風になってたのかな?

 まあ、やきもちなんか妬かないけどさ……。

 だって、そんな暇ないし。

 お父さんとお母さんは二人でイチャつく以上に、隙あらば私をギューギューにしてくる。

 何かと私をどこかに連れて行こうとする、構おうとする。ハグする、おでこにキスする、毎日髪を梳かそうとする。ハグする、プレゼントする、ハグする、撫でる。ハグする。

 ――いや、もう正直、うざいくらい。友達と遊ぶ時間が無くなっちゃう、毎日ハグ、顔を合わせるたびに、出掛ける前と寝る前は必ず頬と髪とおでこの合計三回、キスして来る。

 もう……正直困ってる。本気で愛してくれているのも、私もお父さんとお母さんみたいに、何も言わなくても愛し合ってる事が伝わるようにならないとダメなのかな?

 ……それは、なんか嫌だ。恥ずかしい。

 それこそ、言わなくても分かって欲しいんだけどなあ……。

 うん、まあそれはいいか。

 

 ――今日の日課だ。

 私は帰ったら家事をする。

 担当は外の洗濯物の取り込みと、家の簡単な掃除、それに夕食の手伝い――これはお父さんが来てから加わった。ほんとうは朝、お母さんの仕事が大変な時は私が作っていた、それをお父さんがやるようになったからだ。

 本当は、娘の料理を父親に食べさせたい、褒めさせたいのだろう。お父さんはいつも、おいしい、とは言わない、けど『お母さんの味そっくりだな』という。そこはちょっと嬉しい、私は自分の料理がお母さんほどじゃないことぐらい分るから。

 嘘でも一度ぐらい、超おいしい、とか言って欲しいけど、言って欲しくない……複雑な感じだ。

 けど、それは結婚前夜ぐらいに爆発させてやろうと思っている。それまでとっておきを練習してやる。その時言うのだ『もうお母さんより上手になったから、お嫁さんに行ってもいいよね?』で、泣かしてやる。くっくっく。

 それはともかく。

 CHECKする。今日の――否、昨日のお母さんの、勝負下着を。

 家の中の簡単な掃除は終わった。庭の洗濯ものを取り込んで籠に入れ、シーツも脇に抱える。

 リビングで畳んで部屋ごとに仕分けする。

 オフェリアとリリーの分も増えた。二人とも申し訳なさそうだけど、二人ともこれから仕事がすごく大変そうだからいいんだよ~ よしよし、ってしたらハグされた。可愛い子(お子様)扱いは恥かしい、だから反撃におっぱいモミモミした。

 リリーは普通サイズ、でも知っている、形は綺麗でツンと上を向いている。

 服の上から抓ったら頭を叩かれた。オフェリアはほとんど――ごめん、全くないからお尻をワシワシした。こっちはちっちゃいけど、すごいプニプニだ。これはスライム越え。そして私相手に顔を真っ赤にしてへたり込んだ。可愛くて――なんか可哀想で止めた。これ以上やったらパンツまで脱がせたくなる。

 くっ、なんてヒロイン力だ、流石は勇者――

 背後から殺気を感じた。リリーの眼が人間を辞めた。わたしもモミモミを止める。

 リリーは涙目のオフェリアをハグして慰め出した、でも、その口が三日月のように笑っている。

 だから泣くまで止めなかったのかな? リリー。

 そして、屋根裏部屋に干してある下着だけ各自で取り込む。

 これは全員同じ、だから、誰よりも早く取り込みにいく。

 お父さんは立ち入り禁止、の、札を避けドアノブを捻る。

 開けて、さっと閉める。万が一お父さんに見せるわけにはいかないからだ。

 私のブラ――飾り少な目の子供ブラと、無地のパンツ――かぼちゃ以上、三角形未満の綿パンを取る。

 そして他の三つ――

 リリー、黒、ブラは寄せて谷間を作ってパッドで盛る奴、気にしてるのかな? でも下はスポーツ系――履き心地と動きやすさ重視? 不揃い、実利主義。

 オフェリア、なんとノーブラ・キャミソール……私でもブラを付けてるのに、下はドロワーズ、でもピンクと白で可愛くレースもフリルも沢山。

 もう大人なんだから、そろそろこういうのは止めた方がいいんじゃないかな? 似合ってるけど。それともお尻が冷えるのかな。

 さて本命――普段使いのちょっとくたびれた奴は置いておいて。

 お母さん、今日は白――純白の、ちょっとセクシーなやつ。

 これは、お尻が半分くらいしか隠れない、前の食い込みがきつそうだけど……割と普通だ。うん、普通になんかかっこいい奴、着こなせたらモデルみたいな――普通だけど普通の人は切れない奴だ。ブラもそれに合わせてるけど普通――いや、ワイヤーとパッドが無い、夜用の緩い奴だ。

 でもそれもすごい艶々して触り心地がいい、もちろんパンツの方もだ。

 見るからに、値段が高い、レースもあしらってて、綺麗……いいなあ……。

 お母さんはおっぱいもお尻もむちむちだから、子供っぽい可愛いのはちょっと選ばないんだよね。

 普段使いでも、前は服の上から透けにくい下着、ブラウンとかベージュとかで、汚れても目立たないのが多かった。品はいいけど野暮ったくておばちゃん臭いやつだった。最近はキレイなのものだけど、自分で選ぶときはすごいシンプルで無地な奴が多いんだよねえ……。

 だからこんなセクスィーなのは、きっとお父さんの趣味に合わせてだと思う――

 ……まあ、変な趣味はしてないんじゃない? お母さんにすごくよく似合ってる。

 お母さん、綺麗で、大人っぽくて、いいなあ……。

 あ、ガーターベルトとストッキングもあった。これも綺麗だけど、夜なのになんでストンキングを穿くのか、寒い時に毛糸の靴下とか腹巻ならわかるけど、やっぱり朝には穿いてなかったし。

 ……さて、お勉強終了。

 明日は何だろうな?


 わお、お尻に半分以上喰い込みそうだ。

 前も後ろもハイレグ、セクシ~。

 ちょっと服の上から合わせてみる……ふわ、すごい。


 今日は、上の方に逆三角形がちょこっとだけついてる奴だ。

 お尻の真ん中から、完全に食い込んでる。もうほとんどみえちゃってる、えっちだ。

 合わせてみる……こんなの私は穿けないよお……。

 

 今日は、本物の紐Tバックだった。私も大人になったら、ちょっと穿いてみたい――

 ……なんか、スース―する? サイズが合わないからかな? 

 痛くないのかな? それにしても、徐々に面積が減ってきている気がする。

 

 ほとんど紐になった。もう横と後ろが布で出来てない。

 前は辛うじてのハイレグだ――ちっちゃすぎて大変だと思う。

 ……うん、私ならまだちゃんと隠れるけど、お母さんじゃ色々はみ出ちゃいそう?


 これ以上先に進んだらどうなるんだと思う。

 まさか、布すらないパンツなんて出てこないよね? あるのはしってるけど。



 ……あれ? 今日は普通の奴だ。

 最初のセクシーな白の下着――リクエストでもあったのかな?

 お母さん、変身してないとお肌が凄い白いから、こういう綺麗過ぎるくらいの下着じゃないと映えないんだよねえ~。

 ……でも、ブラが小さくなった。

 半分くらいの奴だ。揺れたら先っちょが零れ――ううん、お母さんのサイズなら、揺れなくても丁度上のところに乗っちゃってそう。

 けど普通にある奴だ。おっぱいぼいーんなお母さんが悪い。


 半分の半分になった。

 うん、もうでちゃってる、お母さんのサイズじゃこれぜっったい零れる、っていうか、溢れ出しちゃってる。いや、普通の人でも出ちゃってる。

 これ以上小さくなったらどうなるんだろう?

 嫌な予感がする。

 

 ワクになった――

 恐れていたことが起きた。

 遂にこの小さな世界から布が消えた。もう隠すつもりも支えるつもりもない、着る意味があるように思えない。

 下着は大切なところを隠すための物なんじゃないの? これは逆に見せようとしているとしか思えない。

 つまり、これはおっぱいを見せる為のブラだ。

 布なんて飾りだ、おっぱいが綺麗に見えればいい、布なんていらない、偉い人にはそれが分らんのです――ブラジャーの形をした紐がそう語り掛けて来るような気がする。

 ――おっぱいを綺麗に見せる為にブラジャーは存在している。

 真理に到達した。

 割と間違えていないと思う。補正下着もパッドも、お尻とか胸、お腹周りをキレイに見せる為の物だし。

 ただの裸より裸を綺麗に見せる為、お花とかリボンで飾るみたいなもの? 

 ――芸術?

 ブラの外面そとづらをした紐飾りをみて。

 私はちょっと、大人になった気がした。

 お母さんはどう思ってるんだろ。

 でも、私は絶対着ない、こんな恥かしいのは、絶対にだ。

 ……うーん、大人になったら似合うのかな……?

 

 次の日。

 ――そしてパンツもついに面積が存在しなくなった。

 

 大人になったつもりだけどやっぱり無視できなかった。

 いや、穿く意味が分からないよ! もういっそ穿いてなければいいんだよ!

 なんでこんなものがこの世界に存在するの!? いったいいつからパンツは三次元でも二次元でもなく一次元の存在になったの!? お母さんはお父さんとそんなにえっちしたいの!? 

 そんなのなんかやだ!! 

 流石に怒った、お母さんに説教した。オフェリアもリリー(余所の家の人)もいるのにこんな恥かしい下着を一緒に干さないでよ!って。 

 え? 実際穿いてない人はいる? 女神がそう? 浴衣とか、種類によってはドレスも穿けない? 寝るときは関係ないでしょ! 

 ……お父さんが二人に目移りしないように、二人の入る隙間が無いことを教える為に毎日・・あえて見せていた?

 ……。

 なら、許す。

 お母さん()ちょっとやきもち妬いていたみたいだ。オフェリア、ちょっとお父さんに眼がキラキラしてるし、お父さんも、二人と馴染もうとしてだろうけど、優しくしてたもんね。

 ……うん? それ以上に、お父さんはお母さんに毎日ラブコールしてたような。

 それに二人が来る前から毎日干してあったような気がするけど、気の所為かな?

 まあ、これからは夫婦の寝室に干して、お父さんが帰ってくる前に片付けることになったからいいか。

 それにちゃんと面積がある奴、それも大きめの奴にするって約束したしね。

 

 約束通り、今日はちゃんと面積があった。……確かに大きい、ワンピース? ネグリジェって言う奴? 首から下、体中をすっぽり。

 ふわふわ、ひらひらで大きい。パンツも普通の形――スケスケの桃色、スケスケの純白、水の羽衣、スケスケの紫、スケスケの黒、スケスケの赤、緑、黄色……。

 ――全部透けてる。うん。

 全然隠れてないじゃない! 

 すっけすけだ。スッケスケダ、骨族スケルトンじゃないのにスケルトンだ! これじゃさきっちょもモジャモジャももうなんもかんも見えてるよ! ちゃんと隠れてるのに見えちゃうよ!

 裏切られた! 嘘を吐いた! 突撃した。

 え、うそじゃない? ちゃんと面積はある?

 屁理屈はいいから!

 え? これはお母さんのじゃない? じゃあ誰の!

 ……私のにしていい? 

 着ないし!

 ……え? ……だって? 


 服の上から合わせたり、脱いでちょっと穿いたりしてたでしょ? ……お母さんと同じのじゃなくて、お母さんのが欲しいのかなあって?



 ……。

 …………。

 …………………~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!?



 途中からは私を揶揄っていたらしい。

 そういうことに興味を持ちだしたのかと、他人の物を勝手に触って遊んだことを叱るつもりだったらしい。ただ、大人にはほんとうにああいう世界もあるから、もし男の人がそういうことを確認してきたら、何も知らない振りをして要注意するようにと言われた。

 お父さんに見せないように干して片付けてたのは、いつまでもドキドキしてほしいからだそうだ。恥ずかしがらない様になったら、女の子として終わりなんだとか。

 それは分かる。正直、私のお母さんだけをしていた時は、お母さんは女の子をめていた。

 女の子の中にも、そういうことを恥ずかしがる子はいる。けれど、それは綺麗になる秘訣を捨てているようなものなんだって。

 どきどき、はらはら、そわそわ、つやつやして、綺麗な物や可愛い物を欲しがったり、ちょっとエッチなもの……セクシーなものに憧れたりするのも、女の子の美学らしい。

 それから、そういうこと、に興味を持つのは普通だから、あんまり気にしなくていいらしい。ただ女の子だから、そういうことは出来るだけバレない様に調べなくちゃいけない、エッチなことに興味がある子だって思われたら悪い大人に目を付けられるからだそうだ。

 それも、悪い大人は男だけじゃなく、女の中にもいる――

 それぐらい分ってる、って言ったら、今度は保健体育の教科書じゃなくて、ちゃんと、大人の知識を教えてくれると約束してくれた。うまく知らない振りをする為だ。

 ほっとした。お母さんは私の事を子供扱いするけど、絶対子ども扱いしない。それが、他のお母さんたちより自慢――

 でも、お母さんはお父さんに着せられてるの? 着てるの? と尋ねると、両想いだからいいのよ、と言われた。男の人はエッチだけど、女の人の裸をキレイに思うのも本当だって、お父さんは毎日褒めてくれる、って。

 恥ずかしくないの? って聞いたら、

 ――恥かしいわよ? でも、それ以上に嬉しいから、許してしまうの、だって。

 要するに、愛があるか、らしい。

 

 

 最近、娘の視線が一層複雑な模様を描くようになった。

 文句がある様な、聞きたい事がある様な、でも言いたくない様な。

 チラ見して、見て見ぬふりをして、見ない様にしたり。

 なので夫は父親として妻に尋ねる。最近の、娘との微妙な距離感について、

「……どうかしたのかい?」

「ああ、それはですね? ――」

 母は、娘ににらまれ苦笑いを返す。むすめのおませな行動は、夫には内緒にする約束だ。だから夫には、

「ふふふ、……お母さんの口紅を真似したくなるあれです」

「ああー。……ふむ、今度は化粧箱でも見繕うかな……」

 また散財か、と思う反面、子煩悩で愛したがり屋な夫を見て、

「……そっとしてあげてください……大切な時期ですから」

 その言葉に、夫は眉を軽く上げ、

「……ふむ、お母さんの仕事かい?」

「ええ……これは、お父さんの仕事じゃありませんから」

 揚々と、妻は母親として釘を刺した。自分の楽しみを取るなと。そして、

「……ええー……」

「ふふっ、だめです。そんな顔したって、貴方は父親なんですからね?」

「むう……」

 そう、これは、娘が父親には聞けないことだ。

 父と娘だけでは、絶対に越えられない壁というものがある。

 だから母親は娘に話すのだ、そう、男と女の、愛の奥深さ、というものを……。

 


 

 最近、お母さんはえっちな下着を干さなくなった。

 その代わり、昔の道具や何やらを無限収納箱から取り出して陰干しするようになった。

 首輪……使役テイムした魔物用?

 荒縄……盗賊を縛ってたのかな。手枷、足枷もある。

 女勇者の鎧セットと、その下のぴっちりしたインナースーツ、どっちもところどころ破れたり壊れたりしてる。他にもタライとか、スライムの養育キットとか、長ーいリボンとか、色々ある。

 昔収納したまま、収納したことを忘れていたらしい。


 最近、お父さんとお母さんの事をエッチだと思っていたけど、そうじゃなかった。

 そう、お父さんとお母さんは――……。


 

タライで何をするのか分る人、このHENTAI!

褒め言葉です。

あと、この話を不快に思われたら大変申し訳ございません。

m(_ _)m

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