表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ABSOLUTEYE  作者: 703
魔神
8/12

妨害

-1月16日 AM7:35 首相官邸-


『笑見町近くの道路が一部決壊

幸い怪我人はいません』


「ああ、わかっている」


部下の報告に落ち着いた声で応える

日本総理大臣。見たところ、まだ20代半ば

といった若々しい風貌だが、纏う雰囲気は

大物を感じさせる。



「これなら、終わる頃には

報道が忙しくなるな。私も覚悟しよう…」


そう言うと、個室の扉を開き

一人、歩き始める総理。



-同時刻 都心への道-


「フーッ」


「ビュー…」


「ブシュ…」


既にレクトの前には、更に現れた

三体の黒包帯が並び

緊迫した空気が渦巻いていた。



(コイツ等…気配を消せるのか!?)


これまでも、黒包帯達は何の前触れも無く

眼前に現れた。つまり、黒包帯達は

戦闘時以外はその邪悪な気配を

完全に消せるのだ。更に、今回は

黒包帯が三体。一体でも苦戦は必至の相手に

レクトも震えをこらえるのに必死だった。

…そして



「フーッ!!」


“風”-旋吹せんすい-


「く…ッ」


一体が左眼から放った強風を

道路を転がりかわすレクト。レクトの

スキル“反射”は物理攻撃に対しては

途轍とてつも無い防御力を誇るが、実体の無い

風や炎に対しては通用しない為

反撃が出来ない。


「ブシュシュ!」


“酸”-猟解りょうかい-


「チッ…」


続く二体目もレクトを狙い、左眼から

強力な酸を弾丸の様に吐き出す。

それを辛くも避けたレクトだが

強風に煽られた小さな酸までは避けられず

首筋に付いた雨粒ほどの酸をぬぐう。



(相性が悪い…!)


体勢を立て直し、左眼を緑に輝かせるが

自分のスキルが通用しない事を理解し

歯噛みするレクト。



「ビュー…!!」


“冷”-場固ばこ-


三体目の黒包帯は両手から吹雪を放ち

レクトの周囲の路面を凍結させ

逃走をも阻害する。



(コイツ等…さっきの黒包帯と目的が違う

オレを倒すのが目的じゃない…!)


三体の黒包帯は一通りスキルを使用した後

監視カメラの様にレクトを凝視したままだが

それ以上、何かするわけでもなく

一歩も動かず停止している。


(まさか、オレが倒した二体から

情報を得ているのか…?)


三体の行動から考えが閃き眼を見開く。

黒包帯達が機械的な物なのなら

ありえない話でない。



「…ッ」


早くも時間は5分以上経過している。

下手に動けば自分のスキルが効かないという

圧倒的不利な状況で強靭な身体能力を有する

黒包帯三体を同時に相手にしなくてはならず

それは自殺行為に等しい。だが、このまま

時間を浪費していれば、魔神を更に

野放しにしておく事になり、どっちにしろ

自分の特になる事は無い。



(だったら…ッ!)


“反射”-返壁-


「ハッ!!」


真下の地面に反射壁を設置すると

それにジャンプし飛翔。

凍結した路面から脱すると、後方に駐車した

TRICK・SHOT-Lに真上から飛び乗り

全速力で三体の黒包帯に突撃する。

…しかし



「フーーーッ!!」


「なッ!?」


黒包帯の一体が真正面から

TRICK・SHOT-Lを受け止める。

…さらに


“風”-山枯さんから-


「がッ!ぐぁ…!」


黒包帯の身体は前輪が押し付けられ

火花を散らすが、それも構わず

左眼から凄まじい爆風を放ち

バイクを押し戻す。


「ぐぅぅ…ッ!」


バイクから引き離されそうになるほどの

爆風はレクトの全身に衝突。レクトは

全身に力を入れ、俯きながらも眼を開き

TRICK・SHOT-Lに最大限の眼力を注ぐ。

…そして


「ぐッ…アアァァアアッ!!」


「フッ…フーーーッ!」


レクトの眼力が注がれ車体全てが

緑光に包まれたTRICK・SHOT-Lは

力を増し、前輪が黒包帯の身体を

駆け上がると左眼を破壊。更に黒包帯の

身体をジャンプ台にし空中へ駆け上がる。



「はぁぁぁ…!!」


力押しの勝負に勝ち、眼力を使い込んだ為

疲労で息を大きく吐き出す。

…その時


「ブシュ!!」


“酸”-空溶くうよう-


「がッ…!?」


突如の奇襲。先程まで傍観を続けていた

別の黒包帯がレクトの左脚に向け

酸を発射。バランスを崩したレクトは

眼力が尽き掛けていた事もあり

無残に地面に落下。更に、バイクと地面に

右脚を挟まれ、身動きも出来ない。

…すると



「ビューーーー」


“冷”-停行ていこう-


「ブシュシュシュ」


“酸”-悲涙ひるい-


「うッ…な…ッ…カッ…!?」


黒包帯二人は落下したレクトを見下ろし

一人はTRICK・SHOT-Lを中心に

氷の息を放つ。レクトもバイクも見る間に

白く凍え始め動きを封じると、更に

もう一方が酸をレクトの手足や頭に垂らす。



(なんてヤツ等だ…

一体を犠牲にして…オレが

全力を出し切るのを待ってたんだ…ッ

完全に勝てる事しかしてこない…!)



「うッ…」


屈辱を感じるほどの苦痛。あまりの

相手の残忍なやり口に両眼から

唯一温かい涙が溢れ始める。

…そして




「任務中に死ぬ事をABSLUTEYEでは

認めていないんだがな」


「!?」


地面に這って前を見ると、黒包帯とは違う

者がおり、恐らく自分に向かって言う。



「よくここまで頑張ったな、レクト」



「総…理……社長……?」


辛うじて声を出すと、自分でも意味不明な

単語が二つ口から出る。眼の前にいる

二十代半ばの男の姿は見た事がある。

日本の総理大臣だ。そして、その声も

聞いた事がある。電話越しでの

会話だったがABSLUTEYEの社長だ。

その二つが同時に頭を流れた。

…つまり



「まさか…」


「喋るな、まずは治療だ」


レクトが驚愕の表情で言い掛けると

その言葉を制し、左手をレクトに向ける。

…すると



「ッ…!?」


温かい緑の光がレクトとバイクを包み

怪我や凍結が修復。更に眼力も

完全に回復する。


「これでいいだろう

さぁ、魔神の元へ向かえ」


バイクを起こし、レクトを引き上げると

強い言葉を投げかける。



「社長…ですが!」


社長に背を向け黒包帯達に向き直る。

…だが



「ブシュ…シュシュ…ッ」


「ビュ…ッ」



「ッ…なんだ…!?」


二体の黒包帯は社長から眼を離さず

その場で硬直。明らかに社長に対し

恐怖を露わにしている。



「ヤツ等はDOLL、人工スキュラだ」


「ドール…?」


社長の言葉に反応すると

眼線を社長に移し言葉を繰り返す。

…すると


《私達と敵対するスキュラが創り出した

人工生命体だ。異眼は人工物で

スキュラよりも眼力は劣るが、それを

驚異的な身体能力と命を厭わない機械的な

行動で補う。言わば、機械スキュラ

ちなみに、今の所9体は破壊している。

まぁ、情報はこれくらいでいいだろう。

魔神対処は出来れば私も手伝いたいのだが

表向きの仕事をこなさなければならない…

すまないな。だが、お前なら大丈夫だ。

自分の力をしっかり見つめろ》



「え…?」


社長と眼が合うと、頭の中に直接

言葉より速く情報が流れ込む。



「さぁ、行け。ここは私が引き受ける

DOLLの残りも少ないハズだ」


社長がレクトの前に立ち

DOLL達の前に立ちはだかる。



「ありがとうございます…!」


短く礼を言うと、TRICK・SHOT-Fに乗り

山道に向かい全速力で突き進む。



「ブシュ…!」


「ビュ…!」


それに憎々しげに声を上げるDOLL達。


「立場逆転だな。私を倒さねば

レクトを追うことは出来ないぞ?」


含み笑うと、DOLLを挑発する社長。


「私も最近は表向きの仕事しか

していなかったからな…まぁ手加減しても

お前達じゃ私の相手にもならないが」



-AM7:50 山道-


(バイクの性能が上がっている…)


山道をひた走りながら、いつもより

速度の出るTRICK・SHOT-Fに驚くレクト。

おそらく、社長の強い眼力にてられた

為だろう。眼力の高いスキュラが力を注げば

その分、バイクも力を増す。


「このまま進めば10分で着くな…よし」


木々が生い茂る、あまり整備されていない

山道を駆け抜け、改めて気合いを入れる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ