龍のおじさんの動揺
「こんにちは、今日はいい天気だね。」
「あ、幸風さん!お久しぶりです、暖かくていい日ですね♪」
訪ねてきたのは龍族の幸風だった。今日も着物を上手く着こなし、落ち着いた雰囲気をまとっている。その姿に少し見とれながら、華琳は返事をした。
「いつも綺麗な花がたくさんあって癒されるね。華琳ちゃんの咲かせる花は私は大好きだよ。」
「えへへ、ありがとうございます、照れちゃいますね…。え、えと、今日はどんなお花をお望みですか?」
「そうだな…今の季節に水辺に咲いている花…とか出来るかな?」
「もちろんです、お任せください♪ちょっと待っててくださいね、選んできます!」
そう言うと、華琳は長いメイド服を翻して奥へ走っていった。
華琳が花を選んでいる間、幸風はその後ろ姿を見ていた。
ちょこちょこと小走りで移動する小さい姿は可愛らしくて…。
そこまで考えて幸風は我に返って、少しずれた眼鏡をぎこちなく直した。
「華琳ちゃんは人間なのにな…。」
「へ?呼びましたか〜?」
「あ、いや、何でもないよ。気にしないで大丈夫だ。」
「そうですか?あ、出来ましたよ!こんな感じでいいですか?」
「うん、いつも通り素敵だ。ありがとう、また来るよ。」
「ありがとうございます、いつでもどうぞ!」
幸風が歩いていく姿をにこにこしながら見送った華琳は、少しさみしくなる気持ちを抑えながら店の中に入っていった。