one bad girl
レオナルドの豪邸に侵入するのはそう簡単ではない。
ましてや宅配便に変装して小包を送っても警備員に中身を確認されすぐにバレてしまう。
しかしその警備を免除される者が一人だけいた。
それはレオナルドが雇っている女性の家政婦ただ一人だけ。
レオンはその家政婦を何日か見張り行動を調べた。
レオナルドの豪邸にはバスで通っている。
少し手前で降り、約10分歩き向かっている。
レオンはその家政婦を待ち伏せ、わざとぶつかりその隙に女性の鞄にハッキングの装置を入れた。
クリスはパソコンでダウンロードの状況を確認する。
レオンはクリスに電話した。
「兄貴どうだ?」
「まだダウンロードは開始されていない」
「もうやつの巣に入ってるはずだ。もしかしてパソコンは鞄の近くに置かれてないってことか?」
「おそらくな・・・」
しばらくするとクリスが見ているパソコンの画面で変化があった。
「レオン!ダウンロードが開始されたぞ!」
メーターは1%・・・2%と徐々に上がっていく。
「レオンやったぞ!ダウンロードしてる」
しかしレオンからは予想外の答えが返ってきた。
「そんなはずはない・・・」
「なぜだ?」
「あの家政婦は今、鞄を持って家を出たぞ」
しかしクリスのパソコンでは未だにダウンロードしている。
そしてついに100%になった。
「データはコピーした。しかしあの装置が無いと意味がない!とりあえず家政婦の鞄を盗むんだ」
レオンはクリスの言う通りにした。
鞄をひったくり、離れた場所で中身を確認した。
「兄貴・・・あの装置が入ってないぞ」
クリスは一度戻ってくるようレオンに言った。
「どうしてあの装置がないんだ!?」
「多分あの家政婦が気付き、どこかの部屋に置いて来たんじゃないか?」
「でもあれは1メートル圏内しか使いものにならないはず」
「それじゃ、あの装置は今レオナルドの部屋にあるってことか・・・」
二人が話していると突然、自宅のチャイムが鳴る。
クリスとレオンは銃を持ち、ゆっくりと玄関に近づいた。
「誰だ?」
「え~と、このドアを開けてもらえれば分かると思うんだけど・・・」
声を聞いて女だと二人は確信した。
クリスは恐る恐るドアノブを握り、扉を開けた。
そこには一人の若い女性が立っていた。
見た感じ24、5歳で170cmくらいと背は高く白いワンピースを着ている。
二人はその女性と面識はなく、もう一度同じ質問をした。
「あんたは誰だ?」
その女性は笑って言った。
「私の父のお金を狙っているのに私の存在を知らないっての?」
「私の父・・・・だと?」
「えぇそうよ。レオナルド・コールドの娘、アシュリー・コールドよ」
そう言って女性はポケットから例の装置を取り出した。