決断の時
二人は怪しまれないようにとりあえず仕事場に行くことにした。
祖父さんの死体は家の裏の庭に埋めた。
とりあえず二人は現実に戻りしばらく考えることにした。
しかしクリスはその事ばかりを考えてしまい、仕事中足を滑らせ二階から転落してしまった。
左腕を骨折で済んだが、腕が使い物にならない者はいらないと仕事をクビにされた。
クリスはストレスからバーで酒を飲み続けた。
隣には知らない男が座っている。
そしてその男はクリスに話しかけてきた。
「あんた何かあったのか?」
「なぜそう思う?」
「あんたの顔を見ればすぐ分かるさ」
「仕事をクビになった・・・俺はまだ働けるのに!!」
その男は包帯巻の左腕を見て言った。
「そうだよな、俺にもその気持ちが分かる。すべてを捧げてきたのに使い物にならないとすぐに恩を忘れて捨てちまう」
「あんたに何がわかる?」
「分かるさ」と言い、義手をクリスに見せた。
「俺は陸軍に所属していたが、ある事故でこの通り失くしちまった。俺は命を賭けてこの国を守ったのに世間は俺のこの手を見て悲しい目で見る。そして国は俺を軽々しく捨てちまった」
「今では人を殺す銃ではなく、人を酔わす酒を握っているって訳か」
「笑っちまうだろ?ほら、見ろ」と男はテレビに目線を向けた。
クリスがテレビを見るとそこにはレオナルド・コールドが映っていた。
「あいつは今や世界一の大富豪とも言われている。そんな男が世界のために本気で取り組めば地球の半分は平和で貧困などいない地球になるんじゃないのか?でも、こいつは口だけで実際は道楽と女しか考えていない」
「どうしてそう断然できる?」
「言っただろ!俺は顔を見れば分かるって、こんな奴がいくら金を持っていても所詮、変わるのはこいつの女と趣味だけさ・・・どうしてこんな男が選ばれたんだろうな?」
「あぁ・・・たしかに」
クリスは決断した。
この男、レオナルド・コールドからすべてを奪うと一方、レオンにも決断の時期は迫っていた。
レオンはいつも通りトラックに荷物を乗せ運転していた。
しかしその道中地元警察による検問が行われていた。
「どうかしたんですか?」
「最近、麻薬の密輸が行われているとの情報があるので・・・中身拝見しますね」
警察はトラックの荷台の扉を開け、麻薬を嗅ぎ分ける警察犬を入れた。
レオンがサイドミラーで後ろを確認していると、犬の吠える声が聞こえた。
警察達はその荷物を外に出し、開けると中にはお菓子の袋だけ入っていた。
それを開けると中から大量の白い粉が発見された。
警察は直ちにレオンにトラックから降りるように指図した。
レオンは警察署で取り調べを受けたが何事もなく釈放された。
しかしその日の夜、突然携帯に見知らぬ者から電話がかかってくる。
「もしもし」
「レオン・ハヴィンドだな?」
「そうだが、お前は誰だ?」
「今日、お前の運転するトラックから麻薬が発見されたな?」
「どうしてその事を知っている?」
「それは俺達のブツだったんだ。それが無くなったのはすべてお前の責任だ」
「なんだと?」
「いいかよく聞け!いますぐ100万ドル用意しろ、さもないとお前の命で支払ってもらうぞ」
「何を言ってるんだ?そんなこと・・・」
レオンが家の前に着くとレオンの部屋には灯りがついていた。
しかもその部屋には数人の人影が見えた。
「あんたたち今どこにいる?」と恐る恐る尋ねた。
「お前の家だ」
それを聞いた瞬間、電話を切りすぐさまクリスに掛けあの家に集まるように言った。
二人は祖父さんの家で会い、お互い決断の理由を話し合った。
そして地下へと再び降りて行った。