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ギブ・マネー・バック  作者: yiyi
20/30

角を折られた悪魔

ドミニクの感情が静まったころ、脱獄の話を始めた。

「どうやって脱獄する?」

「シェフ・フランコって知ってるだろ?奴の房から脱獄する」

「今は順調か?」

「順調と言いたいが、どうやら相手に嫌われてしまってな」

「あいつはここのボスだからな、不可能と言われた脱獄よりいいんだろう」

「その築き上げた地位が崩れた場合は?」

「ここに居るのが嫌いになるだろうな」


クリスは両手をポケットに入れ、その場を去った。

そしてフランコの房へ向かった。

しばらく立っているとフランコがやって来た。

「またお前か?この前も言ったが・・・」

「あんたがボスでいられる要素はなんだ?」

「はっ?なんだと?」

「友情か?力か?それとも人物そのものか?」

「新入り・・・分かっていないようだな。ここでは・・・」

クリスはフランコを襲い掛かった。

クリスの拳はフランコに命中し、やがてフランコはその場に倒れた。

「俺があんたを倒したんだ。ここは好きに使わせてもらうぞ」

その行動を見て、周りの囚人が騒ぎ立てる。

フランコは立ち上がり言った。

「最後まで聞いてから殴るんだったな。ここでは俺に地位なんてないんだよ!」

フランコの大振りの拳がクリスのこめかみに当たり、クリスは膝をつけ倒れた。

「俺には自然と人が付いてくるんだ。お前の行動でお前はここではゴミと同じ扱いになるぞ」

ドミニクはクリスに近づきそっと一言だけ言った。

「終わったな」と。


クリスは何日も自分の房から出なかった。

そんなクリスを心配しドミニクがやって来た。

「入っても良いか?」

「あぁ・・・」

「落ち込んでいるようだが、俺に言ったことは嘘だったのか?」

クリスは笑ってドミニクを見た。

「俺が落ち込んでいるように見えるか?」

「違うのか?」

「俺はまだ諦めていないぜ。待ってるのさ・・・」

「待つって何を?」

「その時をだ」


クリスの言うその時はすぐに来た。

クリスの行為を見た者達はさらにフランコという神輿を担ぎ上げ、フランコに付く者は以前よりも増えた。

それにより他の房に人は居なくなる時間が増え、その隙に侵入して壁に穴を開ける作戦を行った。

しかし長い時間といっても1、2時間が限界で穴は壁にかかっている鏡を外した裏に開け、穴を開け続ければいつかはバレてしまう。

本来はフランコの部屋からが一番脱出ルートに近いのだが、仕方なく他の房からしか方法はなかった。

穴を毎日少しづつ開け続けて1週間後の頃だった。

フランコの元に一つのニュースが届いた。

それを聞いてフランコは一人でクリスの房へ訪れた。

クリスは驚いた顔でフランコを見つめた。

フランコは「ここから出たい」と予想もしない言葉を放った。

詳しく話を聞くとフランコの過去に別れた妻から刑務所に知らせがあり、子供が交通事故に合い、もう命は長くないということだった。

所長に相談したが凶悪な犯罪者をいくら護送付でも街に出すわけにはいかないっという事で会うことは却下された。

フランコは瞳に怒りと悲しみを表しクリスに伝えた。

「俺はここで築き上げたものより、まだ幼いのに死にそうな我が息子に会いたい」と言った。

クリスは了解し、休憩時間と時にフランコの房へ行き壁を壊し続けた。

それから3日後・・・ついに壁には人が通れるくらいの穴が開いた。


「いよいよだな」



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