ルートを知る者
「明日、貴様に紹介しよう。30年前あの刑務所から脱獄した男を・・・」
そんな状況になっているのを知らないクリスはドミニクと話していた。
「俺の力を借りてどうするんだ?」
「もう一度、奴から金を奪う」
「がははははっ!!お前はイカれてるな」
「貸してくれるか?」
「俺は見ての通り年老いた。もうこの刑務所でゆっくりしたいんだ」
「俺は奴の金を掴み損ねた。でも、あんたは違う。レオナルドは愚かなプライドで公表しなかったが、あんたは実際に掴んで自分のモノにしたんだろ?」
「あぁ、もう昔の話だ」
「今もその金は?」
「しつこいぞ!俺はもう足を洗ったんだ」
「そうか・・・」
クリスは房を出ようとした。
「おい・・・」
「なんだ?」
「名前は何と言ったか?」
「・・・クリス・ハヴィンド」
「クリスか、一つだけ言っといてやろう。奴の金はただの金じゃない・・・手にすれば地獄を見るぞ」
「覚えておくよ」
翌日、レオンはエドガー達と小さな小屋を訪れた。
コンコンッとドアを叩くと中から小太りで背の低い男が出てきた。
「ようエドガー元気か?」
「あぁ、あんたの方も変わってないようだな」
「まぁ~入れよ!短い話じゃないんだろ?」
レオン達はその小さな小屋へと入った。
「俺の名はキッドだ。よろしくな」
「俺はレオン・ハヴィンドだ」
「レオンか良い名前だ。で、要件は何だ?」
「あんたは本当に30年前バンクリオ州立刑務所から脱獄したのか?」
「あぁ本当だ。だから今もエドガーに助けてもらって逃亡中ってわけだ」
「もしそれが本当ならば、今脱獄させたい男がいるんだ」
「名は?」
「クリス・ハヴィンド・・・俺の兄貴だ」
「兄貴?どういうことだ?」
キッドはエドガーの顔を見た。
エドガーは混乱するキッドに説明した。
「つまりその兄貴を救い出す代わりに、レオナルドの金の在処を吐かせるってことか」
「できるか?」
「あの刑務所は脱獄不可能と言われており、これまで脱獄に成功したのは俺だけだ。30年前の脱獄で俺が考えたルートや建物は改善されてしまったが、逆を言えば30年前と変わらないものがある」
「そこを発見すれば・・・」
「おう!遊園地にある迷路の館のよう簡単に出口までたどり着けるさ」
数日後・・・
レオンはクリスと面会するために刑務所へ向かった。
クリスを待っていると奥から手錠をされてやってきた。
「久しぶりだな」
「兄貴・・・」
お互い鉄格子を挟んで再会した。
「あれからどうしてた?」
「アシュリーと連絡が取れないから、ぶらぶらしてたら・・・」
「してたら何だ?」
「ギャングどもに捕まってしまって、俺の命の代わりにレオナルドの金が必要になってしまって、それで俺とっさに兄貴が持っているって嘘ついてしまって・・・」
「で?俺をここから救い出して、奴らに金を渡すって約束になっているのか?」
「あぁ・・・実際、レオナルドの金なんてないんだろ?」
「まぁ~な、今はないが持ってないといえば嘘になる」
「え?じゃあ、あの時俺に言った計画通りって本当だったのか?」
「まぁーそんなところだ・・・で、いつ決行される?」
「それが・・・ルートを教えるから決行するのは兄貴自身がやるんだ。さすがに外からでは助けられないから」
「そうか分かった」
レオンはクリスに必死で脱獄のルートを伝えた。
クリスは忘れぬように必死でルートを覚えた。
「会えてよかったよ、兄貴」
「あぁ俺もだ・・・待っててくれ。必ずここから出て、次はこの手錠無しで会おうな!」




