王を知る者
ビー!!大きな音がなり、1時間の休憩になった。
「休憩の時間だ!」と看守の声と共に房の扉が開く。
すると大量の囚人が房から出て仲間の所へ向かう。
クリスは下の階にいるドミニクという男の所へ向かった。
ドミニクはベッドに座ってじっと壁を見つめていた。
「あんたドミニクだろ?」
「何の用だ?新入り・・・」
「少し話がしたいんだが」
「俺とはやめとけ」
「どうして?」
「俺は嫌われ者だからだ」
「それでも構わないさ、あんたとしかできない話があるんでね」
ドミニクはクリスを見て「入れ」と房の中へ誘った。
「で?話ってなんだ」
「レオナルド・コールドって男を知っているか?」
その言葉でドミニクはまたクリスを見た。
「知らないと言ったら?」
「いいや・・・あんたは知っているさ」
「なぜそう言いきれる?」
「俺はあんたの記事を見たんだ。かつてレオナルドと親友だったがあの男は金に染まり、あんたはそのレオナルドの金に染まった」
「その口ぶりだと知っているようだな」
「あぁ・・・あんたは俺と同じ奴の金を狙った者同士だからな」
ドミニクは笑って言った。
「だったら、なぜ俺に近づく?」
「あんたの力を借りたいからだ」
クリスが刑務所行きになってから、レオンは一人となった。
アシュリーからの連絡も無く、ただただ毎日酒を飲みぶらついていた。
しかしある晩、ある者達に背後から黒い布を顔に被され拉致された。
しばらくして布が外された。
明るい光が急に入り込み前は見えず、身体は椅子にロープで縛りつけられている。
徐々に光にも慣れ辺りの状況が理解できた。
「あんた達は・・・?」
「探したぜ~レオン・ハヴィンド」
そこには以前車で追ってきた世界最凶ギャングのセシルがいた。
「お前はどうやら麻薬代の100万ドルが左肩に乗っているな~そして右肩にはレオナルド・コールドの金って訳だな」
「なんのことだ?」
「とぼけるな!!俺らは両方欲しいんだよ~いや、左肩の重みはどうでもいいただ右肩の大金だけよこせ!」
「あいにくだが両方無いんだよ」
「そうか・・・」
セシルはレオンの右肩にナイフを刺した。
レオンは大声で叫んだ。
「ならば簡単な話をしてやる。奴の金はもういい・・・ただ100万ドルの金はお前の体のパーツを売ればチャラになるだろうな」
「ま、待て!」
レオンは大量の汗を掻いて、頭脳をフル回転させた。
「奴の金はある・・・ただ俺は持っていない」
「じゃあ、誰が持っている!?」
「俺の兄貴だ」
「お前の兄?・・・クリス・ハヴィンドか?あいつは確か・・・」
「刑務所の中だ。詳しく言えば15年は出られない鍵のかかった部屋の中だ」
「こいつ・・・なめやがって」
話していると奥から一人の男がやって来た。
「私を知っているかレオン?」
「あいにく俺はそっちの世界に興味がないんでね」
「そうか、私の名はエドガー・ジョンソンっと言えば分かるかね?」
「エドガー・・・もしかしてギャングの世界を仕切っている・・・架空の人物と思っていたのに」
「そうだ・・・まぁギャングのボスと言ったとこかな」
「またそんなお偉いさんがなんでだ?」
「まだ気づかないか?私がわざわざ出向くほど、お前達兄弟がやったことはデカいという事だ。」
「でも、俺はあの金を持ってないぞ」
「貴様の兄貴が持っているんだろ?では、簡単な話だ。その兄貴に直接聞くとしようか」
「一体どうやって?」
「ん~面会という手もあるが、それでは奴は口を割らんだろうな・・・では、お前の兄貴を脱獄させてやる」
「そんなことできるわけない」
「まだ分かっていないようだな・・・私の存在を・・・」




