BEAST
ピッピッ
四つ目の扉が開いた。
目の前にある部屋は白で統一されており、真ん中に台が一つあるだけだった。
「中に入っても何も起きないってことは、アシュリーは成功したってことか」
台に近づいてみると台の上に小さな箱が置いてあるのが分かる。
「やっぱりな、どれだけの金を所持しているか知らないが紙幣すべて置くなんて面倒なことはしないだろうな。おそらくこの箱の中に大金を収めれる機械が入ってるはず・・・」
クリスがその箱を持ち上げようとした瞬間、後ろから声が聞こえる。
「動くな!両手をゆっくりと挙げろ!」
クリスは指示に従い腕を挙げた。
「FBIか・・・思ったより早いな」
クリスは二人の男に拘束され、身体に何か隠してないか調べられた。
「この犯行はお前一人か?」
その質問をするってことはレオンは逃げれたか・・・
「あぁ、俺一人だ」
しばらくして外に出ると大勢の記者に警察、そして野次馬が居た。
クリスはゆっくりと階段を下り、警官の車まで連れて行かれる。
大勢の声の中からレオンの声が聞こえ、その聞こえた方向を向いた。
「兄貴!!」
人に押されるレオンの姿があった。
「俺は大丈夫だ!心配ない・・・計画通りだ!」
クリスはそう言って車の傍まで来た。
扉が開き乗り込もうとした瞬間、背後に嫌なオーラを感じた。
振り向くと階段の一番上にレオナルド・コールドが立っておりこちらを見て笑っている。
二人は数秒だけ睨み合った後、クリスは留置所へと送られた。
時は過ぎ、クリス・ハヴィンドの刑務所行きが決定した。
懲役は15年、行先は凶悪犯罪達が送られる場所、「バンクリオ州立刑務所」またの名を「BEAST」
凶暴な野獣達が潜むことからそう言われ、クリスはその地に足を踏み入れた。
手錠を外され、用意された服に着替え、看守に誘導され自分の牢へと入った。
牢の中は狭く、トイレと二段ベッドがありまた一人部屋ではなく同居人もいる。
その男はベッドの上で横になっている。
牢の灯りは豆電球一つなので起きているのかは分からない。
今日からここが住まいになるのだから、考えただけで嫌になり壁に背中をつけしゃがみこんだ。
周りの牢からの視線も気になる。
しばらく下を向いていると、横になっている男が話かけてくる。
「お前のベッドは俺の下だ、お前新入りだろ?少し休め」
顔を見ると30歳後半だろうか、意外と若く白人で黒髪の人だった。
「お前なんでこの刑務所に来た?人殺しか?」
「いや・・・窃盗かな」
「そんな軽い罪でここに来させられたのか?残念だな~」
「まぁ・・・窃盗と言っても狙ったものが大きいけどな」
「・・・もの?ダイヤモンドか?金貨か?」
クリスはその場に立ち上がり、その男を見て言った。
「レオナルド・コールドって知ってるか?そいつの金だ」
それを聞いて横になっていた男は起き上がった。
「まさか嘘だろ?そんなでっけぇ~ぶつを狙った奴なんて初めて聞いたぞ!」
「もう一歩って所だったんだがな」
「ん?レオナルド・コールド・・・そういえばそいつと知り合いなんてデマカセ言う奴がいたな~」
クリスは格子を両手で握り建物の中を見た。
「そいつの名は?」
「え~と、たしか・・・ドミニクっていう50過ぎたおやじだったかな」
「どこに行けば会える?」
「俺達と同じ建物の中だ、休憩時間になれば探すといい。お前そいつに用があるのか?」
「あぁ・・・俺はそいつに会うためにここに来たんだ」




