真実の扉
無事進むことができた二人の前に立ちはだかるのは、直接接触して手に入れた鍵で開けれる鉄格子。
鍵穴に型取った偽物の鍵をさしこんだ。
ギ・・・ギッ・・・
少し形が合わないらしく、力を入れないと回せないくらい一致しない。
一方、取り残されたホールにいる人達は二人が奥に向かったのを確認し、警報ベルを押した。
クリスは汗を流しながら力強く鍵が折れないように回した。
「カチャンッ」
鉄格子の鍵が開く音が聞こえる。
「やったなぁ!」レオンは下に置いたカバンを手に取りクリスに渡した。
クリスは静かに言った。
「お前はここまでだ・・・」
「えっ?」
クリスは扉を閉め、鍵を折った。
「何してんだよ!?」
「レオン・・・お前にここからは無理だ」
「はっ?俺ならできるさ!」
クリスは鉄格子の隙間からガスが発生するカプセルをレオンに渡した。
「ここからは俺一人で行く。そろそろ向こうの人達は行動を起こすはずだ。お前もそれを放ち煙に紛れてみんなと表へ出ろ!」
「兄貴はどうするんだよ?」
「俺なら大丈夫だ!ここから脱出できるから・・・」
クリスはカバンを背負い先に進んだ。
レオンはクリスの背中を見て兄貴には作戦がある・・・いや、なんかこのすべての真実を知っているように思えた。
ホールの方が騒がしくなったころ、レオンはカプセルを投げ込み煙を焚き他の人達と共に外へ出た。
クリスは6桁のパスワードを打ち込み三つ目の金属扉の鍵を解除した。
「最後の扉か・・・」
クリスはIDカードを取り出し機械にスライドさせた。
その頃、銃を向けたアシュリーはレオナルドに要求した。
「金のある部屋の機能を解除しろ!」
それを聞いてレオナルドは大声で笑った。
「まさか本当に私の金を狙っているのか?しかもあの建物にある金をか?」
「早く解除しろ!!」
レオナルドは椅子に座りキーボードに手をそえた。
「ははっ・・・そうか、そうか。また面白いことを・・・」
「終わったか?」
「あぁ、見てみるか?」
アシュリーはパソコンの画面を見た。
そこには「解除」と書かれていた。
「これで満足か?」
アシュリーは笑って銃を机の上に置いた。
「これで終わると思っているのか?バカが・・・」
「ほおぅ~まだ何かあるのか?」
「今から来るFBIにあんたがこれまでやってきた悪さをすべて伝えた」
「わざわざ調べたのか?」
「あんたに母と同じ空気を吸わせたくないからね」
「リサはもう死んでるじゃないか」
「黙れ!母さんはまだ墓の中で生きている!」
「ふん、私を刑務所に送るか・・・いいだろう」
レオナルドは銃を手に取り、アシュリーに向けた。
「では、私はリサと同じ場所にお前を送ってやろう」
アシュリーは苦笑いした。
「その中に弾は入ってないわよ」
その時、扉の方から足音が聞こえ振り返ると数人の男達が入って来ている。
「あなたたちFBIね?」
「あぁ・・・そうだ」
男は胸元から銃を取り出しアシュリーに向けた。
バン!バン!バン!
数発の銃声と共にアシュリーは地面に倒れ込んだ。
アシュリーの体からは血が大量に流れ、体はぴくぴくと痙攣している。
アシュリーの視界にレオナルドが見下ろしているのが見える。
「私は金でこの世界を買ったんだ・・・意味が分かるな?」
アシュリーは苦しい中必死で言葉をはなった。
「私はじつの・・・むす・・め・・なのに」
「娘か・・・そうだな・・・でも、それがどうした?私にすればお前などただの女だ」
アシュリーの荒い息は徐々に聞こえなくなった。
「私の手で殺したかったのだが・・・人を脅す時はちゃんと弾を入れておけ・・・バカ女が」




