決行の時
数日後・・・
レオナルド・コールドの金が眠る銀行の傍に一台の大きな車が停まる。
クリスとレオンは黒いコートに顔が見えないように深く帽子をかぶり、口元を隠すためにマスクをして手にはマシンガン銃を持ち、アシュリーの合図を待った。
アシュリーはと言うとレオナルドのいるオフィスへと向かっていた。
なぜなら、金がある部屋は25度という室温で保たれているため、それを解除するのはレオナルドの部屋にあるパソコンからしか解除することはできない。
アシュリーはロビーの受付人にレオナルドに会わせるように言った。
「少々お待ちを・・・」
そう言うとどこかに電話をかけ始める。
一方クリス達はいつ合図があるのか緊張していた。
心臓の鼓動は止まることなく、足の震えも上下に激しく揺れる。
「レオン、大丈夫だ!必ず成功する」
「あぁ・・・分かってるけど、もし失敗したら」
レオンの顔は少し青白く、平常心を保っていられるか分からない状態だった。
まだ心の準備が出来ていない時に小型機のランプが赤く光りアシュリーからの合図が来た。
「やるしかないんだ・・・もう悩むな!」
二人は車から降り、ゆっくりと銀行入り口へ向かった。
一歩ずつ一歩ずつ地面を踏みしめ、もうこの地を平然と歩くことはできないんだっと決心し近寄った。
入り口に立っている二人の警備員にコートから取り出した銃を突きつけた。
「声を出すな・・・静かにゆっくりと中に入れ」
銀行の大きな扉がゆっくりと開かれた。
またレオナルドがいる部屋のドアも秘書により開けられた。
そこには椅子に座るレオナルド・コールドの姿が見える。
「わざわざ私に会いに来て・・・何の用だ?」
アシュリーは沈黙を続けた。
「金か?金がいるのか?」
アシュリーは「あんたは終わりだよ・・・」と言いショートパンツの後ろから銃を取り出した。
レオナルドはその銃を見ても顔色ひとつ変えない。
「それで殺すか?よかろう・・・だが、私を殺すために用意したのではないだろう?」
「あんたの財産すべていただくよ」
クリスは銀行の入り口を鍵で閉めるように命令すると上に向かって一発弾を撃った。
中に居る一般客、警備員そして従業員全員の目線がクリス達に集まる。
そして叫び声が響く。
「全員床に伏せろ!」
バンッ!!
レオンがもう一発撃つと全員クリスの言う通り地面にしゃがんだ。
「銃を持っている者は俺達の方へ蹴って渡せ!」
いくつかの銃が地面に擦れて来る。
「もしまだ持っている者がいるならば、正直に渡せ!後で身体検査をした時に出てきた場合はこの中の一人を殺すぞ!」
すべての銃を回収するとクリスとレオンは受付の後ろにある扉まで向かった。
「いくぞ・・・」
「あぁ・・・」
レオナルドの指紋と目の形の照合をした。
「一致しました。ようこそレオナルド・コールド様・・・」と機械の音と共にゆっくりと一つ目の扉が開く。