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ブォォォォォォン
エンジンを拭く音とタイヤが小石を弾く小さな音がこの周りには何もない道に響く。
ハヴィンド達の後ろから三台の黒い車が追いかけてくる。
「兄貴!追いつかれちまう」
「そんなこと言っても必死でアクセル踏んでるぞ!」
アシュリーはカバンからあるモノを取り出すと窓を開け上半身を外に出した。
「お前なにやって・・・・」
バン!バン!バン!
アシュリーが持っている銃から数発の弾が飛び出て、後方の車に当たる。
「ちょっ、おまえ・・・それ銃かよ!?」
アシュリーはまた引きがねをひいて銃を発射させた。
しかし時速100キロは出てるため、照準は定まらず弾は車をかするだけだった。
後方の車の窓が開き銃を持った男が体を乗り出した。
「ヤバい伏せろ!」
大量の弾がハヴィンド達の車に当たる。
「くそ・・・レオン!何かボタン押せ」
レオンは適当にボタンを押した。
車のトランクの方から何やら音が聞こえる。
次の瞬間、一本の槍が発射され、追いかけてくる一台の車に突き刺さり大爆発を起こした。
「よし!いいぞ次だ!」
残り二台の車内では慌てふためいていた。
「何だ?何が起きた?」
「おい!見ろ!」
ハヴィンドの車の下部分から小さなものが転げ落ちている。
「何だこれ?」
その小さなものの上を通過した瞬間、車はスリップし反対にひっくり返った。
「はははっ!どうだぁ~」
クリスはハンドルの横にあるスイッチを押した。
すると車のスピードは一段と速くなり、バックミラーで確認すると後ろから炎が出ている。
速度はみるみる速くなり、おそらく200キロ以上は出ているかもしれない。
「ちょっとクリス!前見て!」
テンションが上がるクリスにアシュリーは前を見るよう注意した。
前方には道はなく、向かい側まで30メートル以上ある崖だった。
「ヤバい!どうする?」
後ろからは残り一台の車が追いかけてくる。
この速度ではいまさら止まることはできない。
「みんな掴まれぇぇぇぇぇぇ!!!」
車は天高く飛んだ。
ギャングの車は崖寸前で止まり、男たちが車から降りてクリス達の飛ぶ車を眺めている。
「あれゃ~死んだな」
飛んでいた車は徐々に下を向きつつ降下していった。
「ギャアァァァァァァ!!」
「レオンどうにかしろ~」
レオンはやみくもにボタンを押しまくった。
色々な道具やミサイルが落ちたり発射されたりする。
しかし運よく押したボタンがあり、四つのタイヤが収納されそこからジェット機らしき物が現れ、炎が出ると機体は一気に上へと上昇した。
その車は向かい側の地面へと斜めに落ちて行った。
大きな振動と共に着地した後、車はまた走り出した。
「ふぅ~助かった・・・」
アシュリーの顔は真っ青だった。
「おい大丈夫か?」
「何なのよ・・・この車」
それから3日後、ついに六桁のパスワードが発見された。
「もうこれはいらないわね」
アシュリーは火を焚いたドラム缶の中に装置を放り込み、捨てた。
三人は昼食を食べに町にある小さなレストランに入った。
「次は世界に二つしかないIDカードか・・・」
「確か一枚はレオナルド自身が持っているんだったな」
「じゃあ、もう一度接触するか?」
「いや、それはリスクがデカすぎる。見ただろ?この前の護衛と言い簡単には近づけない」
「それじゃ、もう一枚のIDカードを探すって言うのか?どこにあるかも知らないのに・・・」
悩む二人にアシュリーは小声で言った。
「わたし、そのもう一枚の在処知ってるわよ」
クリスとレオンはゆっくりとアシュリーを見た。
「それはどこにあるんだ?」
アシュリーは目を背けて言った。
「もう一枚の在処は・・・・私の死んだ母のお墓の中よ」