ハヴィンド兄弟
登場人物、地名はすべて架空のものです。
ここミゼルスは現在大きく経済成長をしており、貧困より富を掴んだ者の方が多いと言われている。
そんな国の中で楽してお金を稼ぎたいと考えている者はたくさんいる。
だが、それを実行する者は少ない。
しかしここに大富豪から金を奪い、一気に高い地位に上ろうとする二人の兄弟がいる。
兄の名はクリス・ハヴィンド、弟の名はレオン・ハヴィンド
ある日ハヴィンド兄弟のお祖父さんがこの世を去り、お祖父さんの部屋の遺品を整理していると一枚の紙切れが出てきた。それには誰も知らない部屋への扉の開け方が載っていた。その部屋にはありとあらゆる道具が置かれていた。
兄弟はその道具を使って何をするのか、お祖父さんは何を計画していたのか理解し人生を変える計画を練るのだが・・・ちょっとした作戦が世界を動かす大惨事になるとは誰も予想しなかった。
人間は過去の過ちをやり直したいと考える生き物である。
もし過去に戻れるならあの部屋からただの薄っぺらい紙切れを発見する運命を変えたいと手錠をされた刑務所の牢屋から思う。
俺が捕まったのはおそらく計画実行から約1ヶ月後だろう。
ならばすべての経緯を知るには紙に触れる3分前・・・いや、じいちゃんが俺達に伝えた最後の言葉から物語を始めたほうがいいかもしれない。
今から約一ヶ月と21日前
クリスは工事現場で働き、レオンは運送業のトラックの運転手
二人の父と母は幼い時に離婚しており、母一人で育てられてきたがそんな母も数年前に病でこの世を去った。
現在はバラバラに住み、二人が生まれた実家にはお祖父さん一人で住んでいる。
所詮、富を得るにはそれなりの能力が必要とされる。
二人はまだ26歳と25歳という若さで才能に恵まれてないと気づき大富豪の道を諦めた。
そんな二人に突然お祖父さんから電話がある。
内容は一日でいいから実家に来てくれということだった。
二人は年に数回都合が合えば、実家に帰っていた。
だから突然と言っても別に珍しくは無い。
三人はいつものように再会し、楽しくご飯を食べ、酒を飲み喋り明かした。
次の日、目を覚ましてお祖父さんの寝室を見るとそこには安らかに眠って死んでいるのを発見する。
二人は驚きあたふたするも何故か頭痛で苦しめられ、昨日の事が思い出せないでいる。
ただこの言葉だけが脳裏を何度も回り続けている。
「もしわしが死んだら封筒の中の手紙の言葉に従え」と冗談のように言っていた。
その封筒はお祖父さんが死んでいる部屋のテーブルの上に置かれていた。
クリスはその封筒の中の手紙を読んだ。
それには「赤に従えばすべては金に染まる」とだけ書かれていた。
クリスとレオンは部屋を見渡した。
部屋の中で赤色がひときわ目立つのは本棚にある一冊の本だけ。
それは「future(未来)」と書かれたタイトルだけ赤い。
レオンはその本を手に取り、しばらく読んだ。
クリスは電話で警察を呼ぼうとしたが、電話線は切られており携帯電話は何故か圏外になっている。
レオンは読み続けたが、何にも浮かび上がりそうな台詞や言葉は無かった。
それどころかまだ頭痛は続き、文字を見続けることが苦痛だった。
これは違うと思い仕方なく本を閉じ、元の場所に戻した。
その時「ガチャン」と音がした。
レオンはその音が気になり、本棚を調べてみると少し動くのが分かった。
レオンはクリスを呼び、一緒に大きな本棚を押した。
本棚の下には取っ手がついた扉があった。