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第5.4話 腕輪物語 ~世界の終焉ぶっ壊す!!~

リュークは豚の顔を捻りつぶした怪物と対峙していた。

「オイ!タム!何だこの剣全然切れない!!」



「だから言っただろリューク。君にはまだ早いって!!」

月に赤い隕石が向かっているのが見える。

タムがかなりイラついてる。

「わかってるよな?月が壊されたら魔力も落ちて終わりだぞ。」

「妖精王にもらったその剣は精神の成長が必須だって言ったはずだ!!まだ君には扱えないんだよ!!」


リュークはなかば破れかぶれでオークの親玉に向かっているが。

逆に特大大槌を攻撃を喰らいそうな位に体力を奪われている。

「何でだよ!!!あんなに修行したのに!!」

カミュは旅の途中で石化されローザについては魔法使いによって捕縛され行方知らずになっていた。


「君には二人が必要なんだよ。君だけでは冒険は出来ないよ。」


オークの魔術師部隊が戦闘の初めからかなり詠唱を続けていて何重にも魔法陣が空に浮かんでいて隕石を移動させて月にぶつけ様としている。タムは月からの魔力吸収が大きい。それを知っていて月を破壊しようとしているのだ。


ゆっくりと赤い隕石が月にぶつかる。


リュークの握っている剣はかなり刃こぼれが出ていて今にも折れそうだ。

「タム!!何とかならないのか?」

タムは穏やかに言った。

「……。なぁリューク。リンの事を覚えてるか?」

「ああ。それがどうした?」


その時オークは構わず特大大槌を振るった。

リュークは地面に倒れ込み足に大槌が巻き込まれていた。


全身に激しい電撃が走って脳が沸騰するような痛みに襲われた。

声にならない声をリュークはあげていた。


タムは瞬間的に回復魔法を唱えたがオークの素早い攻撃には耐えられそうにない。リュークの足を掴み天高くぶん投げたのだ。


月には赤い隕石が当たって月が壊れていく。

その瞬間冷たく大きな大きな大風が吹いてきた。


リュークは硬い岩に墜落してぶちあったった。

出血がひどい。


「おいリューク!!まだ死ぬな!!」


オークがブバヒャヒャと笑い転げている。

状況を楽しむかの様にしゃがみ込みでリュークの顔を覗き込んでいる。

オークは腕にある腕輪を見つけて慌てた顔をした。

それと同時に壊れた笑顔が噴き出した。


天空に月の破片が流れていく。

宇宙の始まりの様な光景が広がっていく。


リュークはどうして俺が世界を助けられるなんて考えたんだ。

と何度も何度も心の中でつぶやいていた。

タムにはその心の内面が手に取るようにわかっていた。


「なぁリュークわかるか?君一人では世界は助けられないんだよ。妖精王はそのことを見越して君にその剣を渡した。君は試されたんだよ。」


世界が真っ赤だ。

こんな奴も倒せないのか。


ローザを失った時にカミュの話をよく聞いておけばよかった。

腕輪の力も全く使えないまま終わるのか。


タムが弱々しく語り掛ける。今にも消えてしまいそうだ。

「なぁリューク。リンの事頼むよ。可愛い妹だ。おいらが結晶化したらそいつを思いっきり噛むんだぞ。後はなってみてからのお楽しみだ。きっと君の記憶は薄れていくだろう。けど。忘れないでくれよな。」


「おいクソオーク!!この顔を忘れるなよ!!おいらの妹とコイツがまた来るからな。その時はオーク汁にして食ってやるからな!!」

タムは額に流れるものを拭って大きく腕を広げた。

タムの体がクリスタルに変わりながら光に包まれる。

リュークの口の中に無理やり入り込んで言った。


「かみ砕け!!」


だがリュークの顎はすでに砕けていて噛めない。


オークがリュークの腕輪をはずそうとしている。


腕をもたれたまま片足で立ち上がると体全体を使って岩に顎をぶつけた。口の中のクリスタルがガシャッと音をたてた。



空に月の破片が流れている。

それは見たこともない美しい世界。

風がほのかに暖かい。


オークはリュークの体を眼の前まで近づけ、値踏みするように確認している。

リュークは腕輪を掴まれた体を何度も何度も捻じり、反動をつけた。大きく体を揺さぶり、右手に握りしめた折れた剣で、オークの右眼を深々と刺し貫いた。


「クソッタれ」


リュークは言葉にならない言葉を吐いてこと切れた。


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