第5.3話 腕輪物語 ~世界の終焉ぶっ壊す!!~
ギルド前につくといつも酔っぱらって壁にへばりついているおっさんがいる。着ている服は見たこともない東洋の服で髪を一つに結っている。
刀の鞘はボロボロでどんな物が入っているのかわからない。
「おい坊主。止まれ。」
いつも話しかけられないのに今日は話しかけられた。冷や汗が出る。感覚的にまずい気がした。瞬間的な殺気を感じる。
ローザが口火を切った。
「おじさんどうしたの?」
「坊主の腕につけてるものが気になる。動くな。」
カミュも続けた。
「これはリュークが姫様から貰ったものだよ。おじさんが気にするものじゃないよ!!」
「お前ら黙れ動くな。一歩も。」
東洋の服の男が一瞬動くか動かないか考える暇もなく
ギュ―――――――ン!!
男が刀を横に振りきれずリュークの腕輪が赤く光り始めた。
みるみるうちにリュークの腕は鱗状に変化していく。
リュークの腕がうずく「ウアアアアアアアアア!!」
刀が弾かれて鉄と鉄が風切り音とともに甲高い悲鳴が響いた金属音をがなり立てた。
騒ぎを聞きつけてギルドのパールさんが慌てて走ってきた。
「ちょっとなにしてるの!!」
ギルドのオヤジも外に出てきて一言はなった。
「大変なことになったぞ…。とにかく執務室に連れて来い。」
刀を振るった男はまた座り込んで酒を煽った…。
「小僧ども。すまねぇな…。」
執務室に入るとリュークを寝かせローザが本格的に治療に入った。リュークは腕を庇いながら疼いているようだ。
「リューク大丈夫?」
ギルドのオヤジが話し始める。
「そいつは姫様からもらったもんだろ?」
カミュは動揺しながら話す。
「どういうこと?さっきの鱗なに!!」
「そいつは邪竜の呪われた腕輪だ。」
「何でそんな物…。」
「姫様は予言者なんだよ。未来が見える。きっとリュークが持つことで未来が変わるんだろうさ。あのお人は予言に基づいてのことだろう。王がきっとああなってしまわれたのも関係してるかもしれないな。」
「なんだってリュークが…。」
3人は戦争孤児である。
対魔人一年戦争で両親とも失い戦死したと聞かされていた。
外にいた酔っ払いも一年戦争で巨竜を殲滅し活躍した人物だ。
ローザが話し始めた。
「ちょっとカミュ私だけじゃ無理みたい。時を遅くして。」
それを聞いたカミュはムニャニムニャと歌の様な呪文を詠唱する。ローザもカミュの詠唱は本気の時にしか詠唱しない。
カミュが鱗状の進行を一時的に遅くしてローザがリュークの体を元に戻す作戦だ。そばにいたパールさんも二人の肩に手を置き魔力を注ぎ込む。部屋が光に包まれた。
リュークが目を覚まして起き上がろうとする。
「おいおい待て待て。リュークお前さんまだ起き上がるな。」
「なぁ皆見たか?さっきの!!」
みんなキョトンとして顔を見合わせその後爆笑の渦が沸き起こった。
パールさんは心配そうに
「あなた竜になりかけてたのにそんな事言ってる場合?」
「だってパールさん見たことある?あの抜刀!!すげーよ!!」
ローザとカミュは呆れていた。
「治してくれてサンキュなー!!二人とも!あ。パールさんも」
カミュが続ける
「もう心配するだろう!」
ローザは
「あなたいつか甘いものを奢って貰うからね!!」
リュークの腕は完璧に戻っておらず鱗状の皮膚が残ったままだ。
腕輪が艶めかしく赤く輝いている。
何故か胸の奥も熱いものを感じる。高揚感…とは違う高鳴りだ。
ギルドのオヤジ曰くこういうことらしい。
姫様は予知夢を見る様で世界が終焉を迎えると仰っていたのだ。
ローザとカミュがリュークの側にいるのもきっと世界の壊変を抑える人物だからではないかという事。
ローザの治癒魔術もカミュの時魔法も世界を見渡しても数人しかいないのだ。
カミュは拾われた時既に耳の後ろにアザがあった。
痣のある者は世界の災いを防ぐ。という伝承があるようだ。
ドアが強く開く。心配そうな女将さんだ。
エルフのエリッサさんと村の長の爺ちゃんもいる。
エリッサさんは薬草屋でカミュの育て親だ。
因みに村の長のとこにはローザが住んでる。
「リューク大丈夫なのかい?」
リュークは強く肩を抱かれて動揺した。
「あんた心配ばっかりかけるんじゃないよ!!」
強く抱きしめられてリュークはポロっとこぼれるものがあった。
「ああ平気だよ女将さん。」




