第5.2話 腕輪物語 ~世界の終焉ぶっ壊す!!~
リュークはベッドで目を覚ました。
満点の朝日。希望の朝だ。
昨日は酷い目に遭ったな…。
「リューク目を覚ましたかい?降りておいで。」
女将さんの声が聞こえる。
「はーい今行きます!」
女将さんのところでお世話になってから4年ぐらいか。
ここの宿はまほろば亭と呼ばれている。
雑貨屋の上が宿屋になっていてるのだが俺が来てからは宿屋をやっていない。孤児だった俺に優しくしてくれたのはおかみさんが初めてだった。
雑貨屋に降りていくと店の奥にある食卓に向かった。
女将さんは昔冒険者だったらしく雑貨屋といっても色んな物が置いてある。
薬草・魔法書・薬の類・見たこともない鉱石なんかも置いてある。あれ。もしかして女将さんって魔法使いだっけ?
お店にある魔法書読んでもさっぱりわからない。だけど店の薬草や花の匂いはとてもいい香りがして店のなかはいつも楽しげだ。
そんな事を考えながら食卓に向かうと物凄くいい匂いがする!!
「これこれぇ!女将さんの飯は格別だもんなぁ!!」
「馬鹿な事言ってないで早くお食べよ。」
柔らかいパンに暖かいスープ。何気ないベーコンにフワフワの卵料理が本当に美味い。
「これ!野菜も食べな!!アンタはいくつになったら野菜が食べれるようになるのか。」呆れた顔で小言を言う女将さんの表情は優しい。
「はーい。」緑の野菜がいつまでたっても苦手だ。
女将さんが何気ない顔で言う。
「リュークその腕輪ちょっと見せてみな。」
竜のカッチョいい腕輪が男心をクスグル。
真っ赤に染まった宝石付きだ。姫様も乙な事を…。
「リューク。腕輪取ってみな。」
「あっあれ…。」腕輪が取れない。
あれあれれぇ…。カッチョいい腕輪もお風呂に入るときに取れないと痒くなりませんか?
「クハハハ。あんた姫様に一杯喰わされたね!」
「えぇ…どういう事?」
「この腕輪は伝説の腕輪さね。リュークアンタこれから大変だよ。朝ごはんが済んだらギルドに行くといい。酔っぱらった剣士に腕輪の事を聞いてみな。」
「それとリューク。ローザにもちゃんと礼を言うんだよ。」
「へーい。」スープのお代わりをついでもらってるお玉で頭をこずかれた。女将さんは言葉に厳しい。
「そういえば女将さんも冒険者だったんでしょ?」
「私はただの雑貨屋のおねいさんだよ!!」
「いいからさっさとギルドに行ってきな!!」
「はーい!!」
スープを飲み干してパンと野菜の挟まったパンをもう一個とって外に駆け出した。
外は雲一つない快晴の空が広がっている。とてもいい空気だ。
ローザとカミュが木の下で魔法の練習をしている。
「おーいオハヨウ!!」
「リューク良くなったのね!!よかった!!」
「僕も回復魔法が使えればああああ!!」
朝からにぎやかだ。平和な時間がとても嬉しい。
「ローザ昨日はあんがとー。」
「ゴラッ――――!!アンタ死にかけでそのお礼は何だい!!」
やべっ。
「ローザ!カミュ!さっさと逃げるぞ!!行き場所はギルドだ。ダッシュダッシュ!!」
言い終わるか終わらなかのところで窓からお玉が飛んできていてそれに気がついていたカミュはすんでのとこでお玉を空中に止めている。
カミュは魔法を使っている時に目が蒼くなる。カミュの魔法は時間や空間に関係してるらしいのだがよくわからない。
「コラカミュ!!アンタまたリューク庇って!!」
「ごっごめんなさい!!女将さんじゃまた!!」
3人はギルドの方向に駆けて行った。
「まてぇーいクソガキども―!!」
女将はリューク達の平和な時間が終わってしまうのだなと感じていた。あの子供達も旅立ちの日が近い。
女将の名前は真帆である。真帆もまた伝説級の冒険者であった。だが名前を知っている者は少ない。
いい冒険者は名前を残さない。輪郭すら残さない者も多い。
リュークは走りながら考えていた。腕輪は簡単に外れるだろうなと。だが腕輪の脈打つ鼓動を感じていたし、これから先の不安が何故か大きくなるのを感じていた。




