↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

第6.1話 腕輪物語



もう何やっても絶対逃げられない!!


王直属のミノタウロスに吹き飛ばされたラヴィーは、まだ立ちあがろうとしている。


流れるものを感じたライは鼻を拭う。血が出ていた。だがライは叫んだ。


「おい! ラヴィー、そこでじっとしてろ!!」


ラヴィーは呻き声と共に、何度も立とうとしている。


子分たちは吹き飛ばされて飲食店にあらぬ形で投げられていた。


3馬鹿トリオたちも動きがない。


目を充血させたミノタウロスはこちらをじっと見つめて、鼻息荒く構えている。


風が練れない。

風を練ると力み過ぎなのか鼻から血が出る。

ライは考えれば考えるほど肩に力が入った。



ミノタウロスはまたこちらに向かって突進してきた。


ライは風を片足だけに纏って一回転したが、片足を掴まれ、薬草屋の露店にぶん投げられた。


この野郎……。薬草屋の回復薬を勝手に頭からかぶって、またミノタウロスに対峙する。


「牛野郎!! お前の角だけは絶対に折ってやるからな!!!」


ミノタウロスは笑って言う。


「この歴戦の俺様の角を折るのか。良いだろう!!

盗人ライ、かかってこい。

貴様は我々の領地を荒らした盗賊に過ぎない。」


ライは反論した。


「仕方ないだろ、食い物がないんだから!!」


「この乱世でまともな飯が食いたいなら、稼ぐが良かろう。」


「うるせぇ! 仕事なんかどこにあるんだよ!!」


「どうだ小僧。わが軍に入るか?」


「入るわけねェだろ!」と言って、ミノタウロスを睨みつけた。


だが、もう限界に近い。ライは必死に考えた。

周りを見渡しても、これはもう詰んでるな…。


投降していっそのこと軍にでも入って飯の困らない生活をするのもいいかもしれない…。

なんで俺たちだけ…。

だがラヴィ達をあんな目に合わせたあいつは許せない…。

角の一本ぐらい折ってやらないと気が済まない!!



ミノタウロスはどでかい斧を持っているのに一度も使っていない。

斧を地面に突き刺してただただニチャついて笑っている。

腰の手斧すら使ってない。


こりゃ完敗だ…。

あんなにうまく行ってたのに…。


一息

目を瞑り

呼吸を整える。


スーッと息を吸い込んで練る。



怒りで練った風は、キーンという金属音と共にライの周囲に風が集まっていく。


ボロくなった塀の一部が、ゴドン。と音を立ててライの手元に吸われていく。


目一杯開いた両手をふんわり突き上げた。


岩は空高く飛んで行った。


へへっと笑って、ライは壁際で立ち尽くし手をクンクンとして挑発した。


ミノタウロスは構わずライ目掛けて突進した。


ガゴーン。という音と共に、壁に猛烈に突っ込んで角が突き刺さった。


ライはまた両足に風を這わせて宙を舞う。

牛に跨ったライは両手に風を練ることに全身全霊を掛けて、

パンと叩いて両手に力を込めていく。

目の前が真っ赤になる。目からも血が流れ出る。

ライはそれでもさらに力を込めた…。

頭の中で金属が鳴り響く音がしたとたん何かがはちきれた。


「この!!うらああああああああああああああああ」


片方の角を両手で握るとドクドクという感覚、キーンパチパチという音とともに

グッと壊れるイメージをした。すると角はグリッ。と乾いた音を立てて砕けた。


牛は構わず尻尾でライの足を掴み地面に叩きつけた。


「俺様の角が……」


ライはもう立てなかった。


「おい牛野郎!! これでも喰らえ。」

顔面からダバダバと流れる血を吐き出しながら必死につぶやいた。


強烈に空が真っ赤だ。

目を閉じた。



腹減ったなぁ。

あんなに練習したのに角を折ることしか出来ない。

もう少し戦い方があったんじゃないか…。

そうか。自分の事ばかり考えて…。

相手の足元に…


ドッという音とともに、ミノタウロスはひざ間づいた。


ミノタウロスは空に上がった岩に大当たりしたのだ。


遠くから何者かが駆けてくる音がする。


ジュッと音がした時には、ミノタウロスのもう一本の角は床に落ちていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。