13.【ロケット産業の常識を破ったSpaceXの革新と核熱推進のリアルな課題】
セサミン(小さな恐竜キャラ)
「博士! ロケットの『工芸品』体質って本当? メタン燃料も核熱エンジンも、なんで今まで誰もやらなかったの?」
ごま博士(白髪の研究者)
「実はそこには**『宇宙産業のタブー』を破る技術と勇気**が必要だったんだ。順を追って解説しよう!」
■ ロケットの「工芸品」体質とは?■
【従来の製造方法】
職人依存:
ボーイングやULAのロケットは**「手作り」に近い**(例:アトラスVのターボポンプは1基あたり6ヶ月の調整期間)。
部品の**98%**を外部調達→コスト膨張。
【SpaceXの革命】
革新点具体例効果
自動車式ライン生産ファルコン9を1週間/基で製造(従来は18ヶ月)コスト 70%減
3Dプリント技術エンジン部品を24時間連続印刷(従来の加工法比 1/100の時間)
共通化設計ファルコン9・ヘビー・スターシップでエンジン流用開発費 90%削減
セサミン
「ロケットを『レゴ』みたいに組み立てるんだね!」
ごま博士
「まさに! SpaceXは**『ロケットは消耗品』という常識**を覆したんだ。イーロン・マスクは『宇宙に行くコストは材料費の5%で済む』と言ってるよ」
■ メタン燃料エンジンが普及しなかった理由■
【技術的ハードル】
「エンジン焼損」問題:
メタンは燃焼温度が3500℃(ケロシンより200℃高い)→従来の冷却技術では耐えられなかった。
解決策:
SpaceXは**「チャンネルウォール冷却」**を開発(エンジン壁内に燃料を通して冷却)。
燃料調達の難しさ:
従来は液化メタンの宇宙用品質基準が未整備→**「火星でメタン製造(ISRU)」**を視野に規格化。
【産業構造の問題】
既得権益:
軍需産業(ULAなど)は**「ケロシン=実績あり」**で変更拒否。
リスク回避:
NASAも「有人飛行は実績ある燃料で」と保守的だった。
セサミン
「じゃあ、メタンがいっぱい採れるようになったからじゃないの?」
ごま博士
「実は逆だよ! SpaceXは**『火星でメタンを作る』ためにこのエンジンを選んだんだ。火星の大気(CO2)と水(H2O)からサバティエ反応**でメタン合成できるからね」
■ 核熱推進(NTP)の運用シナリオ■
【打ち上げ時:化学ロケットを使用】
理由:
NTPは推力が弱い(加速度0.5G)→地球重力圏脱出に不向き。
放射線遮蔽のため、大気圏内では原子炉を起動できない。
【宇宙空間でNTPを稼働】
化学ロケットで地球軌道まで到達。
NTPを起動→4ヶ月で火星軌道に到達。
火星着陸は再び化学ロケットを使用。
【CO2排出の比較】
方式打ち上げ1回あたりのCO2排出量
ケロシンロケット約3,000トン
メタンロケット約2,200トン(※メタンの燃焼効率向上)
NTP(宇宙空間のみ)実質ゼロ(水素は宇宙で補給可能)
セサミン
「NTPは宇宙でしか使えないのか…でもそれなら放射線も怖くないね!」
ごま博士
「そう。NTPの本当の価値は**『宇宙空間での長距離移動』**にあるんだ。地球-火星間の『宇宙フェリー』みたいなものさ」
■ 核熱推進の最大の壁■
【政治的問題】
「核」への抵抗感:
1960年代のNERVA計画も**「放射能汚染リスク」**で中止。
現在は**「打ち上げ前の原子炉未起動」**を条件に許可取得中。
【技術的課題】
水素貯蔵:
極低温(-253℃)の液体水素を数ヶ月保持する必要あり。
遮蔽重量:
遮蔽材で機体重量が20%増加→打ち上げコスト上昇。
【まとめ】「常識破り」が宇宙を変える
SpaceXの革新:
**「ロケットの家電製品化」**でコスト激減。
メタンエンジンは**「火星殖民」を見据えた賭け**。
核熱推進の現実:
宇宙空間専用だが、火星有人化を10年早める可能性。
セサミン
「僕らごまも宇宙で役立つなら、ロケットみたいに『進化』しなきゃ!」
ごま博士
「その心意気だ! 次は**『宇宙ごま農場』の設計図を一緒に描こう**じゃないか」