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第25話 冒険者ランクとステータス

「アイクさん、一旦冒険者ギルドに戻りましょう。冒険者ランクの件でお話があります。リリさんもです」


 頭を抱えて座り込んでいたミリアはなんとか復活したようで、すくっと立ち上げってそんなことを言ってきた。


 なぜか少しだけ怒っている表情な気もする。


 ……ここは素直に従っておこう。


「バングさん、ちょっとギルドの方に行ってきていいですか? あと、何体かちょっと回収しておきますね」


「はいよ。なんだ、全部解体しないでいいのか?」


 俺がキラーベアとワイドディア、ファングとブラックポークを一体ずつ回収すると、バングが不思議そうに首を傾けた。


 ここですぐに解体してもらってもいいのだが、今後のことを考えると解体前の状態も取っておいていいかもしれない。


 その辺含めて、一度バングとは話し合う必要があるだろう。


「そうですね。……ちょっと、そのことについてはまた後でお話しましょう」


 そんなことを考えて含みのある言葉を口にすると、バングは俺の考えを察してくれたようで静かに頷いた。


「……なるほど。了解だ。ギルドの方が終わったら、またこっちに顔を出しだしてくれ」


「分かりました。それじゃあ、少しだけ行ってきますね」


「おう」


 俺はバングに見送られて、ギルド裏にある倉庫を後にした。そして、場所は再び冒険者ギルド。


「一旦、もう一度ステータスを確認しますね。この水晶に手を置いてください」


「分かりました」


「私もですね」


 俺たちはそれぞれカウンターの上に置かれた水晶に手を置いた。


 ミリアは水晶を通して見ることのできる俺たちのステータスと、冒険者カードと見比べて小さく息を漏らした。


「……アイクさん達、また随分とステータス高くなりましたね。レベルも上がってますよ」


 ステータスの高さに呆れるような目で見られてしまったので、俺とリリは顔を見合わせた後に互いの水晶を覗き込んだ。


【名前 アイク】

【ジョブ 道化師】

【レベル 9】

【冒険者ランク F】

【ステータス 体力 5300 魔力 5620 攻撃力 5400 防御力 5200 素早さ 5800器用さ 6100  魅力 5850】

【ユニークスキル:道化師 全属性魔法 助手】

【アルティメットスキル:アイテムボックス(無限・時間停止) 投てきS 近接格闘S 剣技S 気配感知S 生産S 鑑定S 錬金S】


【名前 リリ】

【ジョブ 助手】

【レベル 4】

【冒険者ランク G】


【ステータス 体力 3710 魔力 3930 攻撃力 3780 防御力 3640 素早さ 4060器用さ 4270  魅力 4095】

【ユニークスキル:助手】

【スキル:アイテムボックス 投てきB 近接格闘B 剣技B 気配感知B 鑑定B 錬金C】


「お、結構レベル上がったな」


「アイクさん、私も強くなったみたいです」


「どれ……本当だ、凄いなリリ」


「えへへっ、アイクさんには負けますけどね」


 どうやら、俺と同様にリリも多くの魔物を相手にしたことでレベルとステータスが上がったらしい。


 それを褒めてあげると、リリは顔をほころばして喜んでいた。


取得したはずの【潜伏】のスキルが表示されないのは、【助手】の中にそのスキルが統合されているからだろうか?


俺も【潜伏】とかのスキルは【道化師】に統合されているみたいだし、そう考えるとリリも同じなのかもしれないな。


「このステータスで冒険者ランクをFとGにしておくと、変な誤解を生みそうですね。それと、冒険者ギルドの管理がずさんだと言われてしまう……」


「ミリアさん?」


 俺とリリがステータスの上昇に喜んでいると、ミリアは何やら神妙な面持ちでぶつぶつと言っていた。


 気になって話しかけてみると、ハッとしたように顔を上げた。


「あ、いえ、こっちの話です。すみません! えっと、また明日の朝までにお二人の冒険者ランクをどこまで上げるか会議しますので、また明日の朝に冒険者ランクの所は更新しましょう。それ以外の所は今更新しちゃいますね」


「あ、冒険者ランク上がるんですね」


「ええ、もちろんです。参考までに、キングディアを倒したときにどのくらい苦戦したか聞いてもいいですか?」


「苦戦、ですか。そんなにしませんでしたね。レベルは23だったと思いますけど」


 普通の魔物を倒すときよりは時間が掛かったが、そこまで苦戦した記憶はない。色々とスキルを試しながらだったし、倒すまでにあのくらいの時間がかかってしまうのは仕方がないことだろう。


「2、23レベルのキングディアに苦戦しなかったと。……な、なるほど」


「私は隠れてただけですけどね」


「それでも、冒険者登録した次の日にあれだけの魔物を倒したんですから、十分凄いですよ」


「えへへっ、まぁ、助手ですから」


 ミリアに褒められて嬉しそうに頬を緩めるリリを見て、俺も釣られるように笑みを浮かべるのだった。




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