11、『婚約破棄された令嬢、スピード結婚する溺愛包囲網がスゴ過ぎます♡』花菱ななみ著
『婚約破棄された令嬢、スピード結婚する溺愛包囲網がスゴ過ぎます♡』花菱ななみ著 SHABONイラスト 蜜猫文庫 株式会社竹書房 2023年6月
〜確かに溺愛包囲網で囲まれていた!〜
ロンダール王国にはドンピエール公爵家とカロリング公爵家二大派閥がある。両派閥は昔から犬猿の仲、貴族達分断され、派閥を超えた結婚はありえないはずだった。しかしドンピエール家次期公爵のジョセフに、ドンピエール家に従ってきた侯爵令嬢のカミーユは婚約破棄を言い渡される。ジョセフは婚約者を差し置いて、未亡人の夫人に魅了されっぱなしだった。自分の不貞現場を目撃したことをきっかけに、パーティで婚約破棄されるハメに。カミーユの体面も気にしないジョセフ。見咎めた敵対勢力のカロリング公爵家アイザックが結婚を申し込んできて……というストーリー。
物語はロミエットとジュリエット的な敵対派閥通しの結婚。ただしハッピーエンド。婚約破棄物の流れもあります。ただ婚約破棄って、どうしても破棄する元婚約者(この場合ジョセフ)が貧相な男になりがち問題があるんですが……加えてカミーユの親も小物感が半端ないのですよねぇ。贈り物であっさり懐柔されているので、ちょっとヒロインが不憫になります。
この物語は、敵対勢力だと思っていたのは実は……というところが大きなポイントで、ヒロインがほのぼのと溺愛されていく話を楽しむのがメインテーマ。そのため婚約破棄はありますが、ハラハラ度は低めです。
後半では幼馴染物の流れを汲み(昔会っていて互いに惹かれた関係だったという回想)、出来レースだったことも明かされていき……もはや敵対していたのはドンピエール側のごく一部の貴族だったんかなってくらいにあっさりと解決していきます。そして後半のジョセフの企みがこれまたヌルい。まぁこの男、終始ヌルいんですよね。そしてヒーローの派閥内での苦労もあっさり描かれてしまっていて、物語はライトな感じで展開し、ふんわり焼き菓子感が特徴です。
一部のサイトのレビューで誤字の指摘、あとは後半やや時間軸不明瞭さがありますが、軽いストーリーなのでまぁ許容範囲です。
ラブシーンはヒーローよく耐えたなというのが第一印象。『今回は「入れるの禁止」と「先っぽだけ」を組み込もうと』(P287)と
あるように、まぁそんな感じのラブシーンなのでラブ面での溺愛感は割と低めに感じるかもしれません。つまりラブシーン以外でのヒロインへの功徳(笑)を積み重ねていくタイプですね。
個人的にはあとがきが一番笑いました。むしろ初稿のバージョンのを見たかったなぁ。と思う作品でした。
甘々度 星3★★⭐︎⭐︎⭐︎
俺様度 星3★⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
現実離れ度 星5★★★⭐︎⭐︎
LOVE度 星4★★⭐︎⭐︎⭐︎