6/6 引き戸の開け方
うちのアパートはワンルーム。
玄関を入るとまずキッチンがあり、奥に居間がある。その間を人間でも結構開くのが重い引き戸が仕切っている。
先代ハルくんはこれを一瞬で開けた。完全に閉めても爪の入り込む隙間はあるので、そこに爪を差し込み、四本の脚すべてを使い、スパーン!という音とともに一瞬で、全開にした。
本当に、天才イタチであった。
ナッくんが引き戸を100%開けられるようになったようだ。少し前までは3回に一度程度だったのだが。
その開け方、見るたびにちょっと心配になる。
一切の無駄がなかったハルくんに較べると、無駄だらけ。ジタバタしている。
─ ナッくんの引き戸の開け方 ─
・まず、隙間に爪を突っ込みます。
・爪を差し入れた瞬間に次の動作に入っていたハルくんと違い、まずは前脚の力のみで開けてみようとするので、とても疲れるようです。
・何度かガシガシやって、ようやく数ミリ開きます(爪で戸に傷がつきそうで怖い)。ハルならもうとっくに開けています。
・少し引き戸に隙間ができたら、そこに鼻を突っ込みます。
・ぐいぐいぐいぐい、鼻を突っ込みます。
・前進の力で、なんとか前脚が入るぐらいまで、顔を突っ込んで無理やり開けます(顔が痛そう泣)。イタチの身体は前からお尻に行くにつれて太くなっているので、これだけでは通れません。
・前脚をそこに入れ、何度も何度も猫パンチのようなものを打ち込みます。
・『開けー! 開けー!』という声が聞こえて来そうです。
・引き戸が「スパーン!」と全開……ではなく「ゴガ……ゴ、ゴ、ゴン」とゆっくり開き、身体が通れるぐらいまで開いたら、ようやく猫パンチようなものが止まります。
・ここで私の見えないところで休憩が入ります。やはり相当疲れるようです。
・顔が入って来て、『入ってもいい?』と飼い主に聞きます。
・飼い主が答えなくても勝手に入って来ます。動きがだるそう。相当のエネルギーを消耗しているようだ。
・入って来ると、どこかに入り込んで、寝ました。
・おやすみ……。