6/2 ナッくん踏んじゃった
お風呂を上がり、体重計に乗り、下りた時にちょうどそこにナッくんがいた。
脇腹をぎゅーっと踏んでしまった!
「ああっ! ごめんナッくん大丈夫!?」
声も出さず、ショックを受けたような顔をすると、逃げるようにバタバタと駆け出し、ローボードの下に隠れるナッくん。後を追って覗くともういない。
仕事の準備を急いで済ませ、探すけどいない。どこにもいない。
「ナッくん? ナッくーん?」
どうしよう。このままじゃ仕事に行けない。容態を診るまでは心配で出掛けられない。
探して、探して、探しまくった末に……
いた。洗濯機の横に置いてある使ってないごみ箱の中で、拗ねたように丸くなってた。
「ナッくん……大丈夫?」
私が覗き込んで聞くと、悲しそうな目で見上げてくる。
ゆっくり手を伸ばし、抱き上げようとしたら、逃げられた。動きが重そう。
洗濯機の陰からまるで自分をいじめたやつを見るように、批難するような顔でじーっと見てくる。じーーーっと、見続けてる。
近づくと逃げようとした。なんとか首の後ろを捕まえ、抱き上げた。そっと、痛くないように。容態を診る。
っていうか、元気にくねくね暴れてる。
内出血してる様子もなく、触診しても異常なし。
お詫びにおやつをあげるとなんとか機嫌を直してくれた。っていうかいつも通りのナッくんに戻った。
ベタベタしてくる。抱きついてくる。噛みついてくる。安心した。
立って仕事の制服を着ていると、足元に来た。両足の間に入り込んで、伏せの姿勢になる。
……そうやっていつの間にか足元にいるから、さっきは踏まれたんだよ?
学習能力がないのかな……。って、なかったか(笑)
仕事に行くため玄関のドアを開けると、ついて来た。靴を履いた私の足元でウロチョロする。
「さっきはごめんね」
そう言いながら、抱き上げた。
「大好きだよ、ナッくん」
おでこにキスをして、玄関の中に下ろし、ドアを閉める時に、小さな顔が淋しそうな表情になるのが見えた。