5/23 ナッくんは大器晩成型!?
先代のハルくんは天才イタチだった。
初めてのフェレットだったから、普通はそんなものなのかもしれないが、私に何度も「そ、そんなこと出来るの!?」と言わせた。
人間の手でも結構重い引き戸を、手足全部を隙間に入れて、一瞬でスパン!と開けた。
後ろから押せば開く引き出しなら、後ろに回り込んで足を突っ張って、ガンガン開けた。
高くて行けないところに気になるものがあれば、踏み台になる段ボール箱などを引きずって来て、それを使って登った。
ナッくんは4月13日で2歳になるまで、それらすべて出来なかった。
引き戸を閉めれば摺りガラスの向こうでショボーンとしていた。
引き出しの中に触られたら困るものを隠しておけば安心できた。
高いところへは根性でよじ登るので、ハルくんよりも高いところまで登るが、踏み台を持って来るようなアタマはなかった。
今、私の前でナッくんが何やら頑張っている。
プラスチックの書類ケースの中に入れてあるUSBのアダプターが取りたくて仕方がないようだ。
おっと後ろへ回り込んだぞ?
ハルだったらこれは開けられない。足を踏ん張る壁がないので、力が入れられないのだ。
ナッくんは壁がない平な面に立つと、引き出しの後ろに両前脚を当てた。
まるで相撲取りのように……
突っ張る! 突っ張る!
音は『ガシガシシシシシ!』
少しずつながら、引き出しが動き出し、遂には中の物を取れるぐらいまで開いた!
『よし』という感じで中のUSBアダプターを探し、見つけ、口にくわえ、『取ったどー!』みたいに掲げて見せた。
ナッくんは大器晩成型なのかもしれない。
そのまま放置して観察していると、USBアダプターを掲げたまま、動きが止まった。
どうやら私が慌てて止めるのを待っているようだ。
小さなものだから仕舞ってあったが、別に使ってないし、好きにさせた。
ナッくんがとてもつまらなそうな顔をした。
引き出しの中に戻した。
走って行ったかと思うと、寝た。