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12/22 ナッくんは優しい
昔飼っていたシェルティー犬を、散歩に連れて行った時のこと──
私は手に串つきのフランクフルトを持っていた。
「あそこまで歩いたらあげるからね。おあずけ!」
そう言い聞かせる私の手から、シェルティーくんはしつこくフランクフルトを奪取しようとしていた。
私がつい、気を抜くと──
襲われた。
前足を私の腰にかけ、フランクフルトに噛みつくと、凄い力で引っ張る。
「こらっ! だめ!」
そう言っても聞かなかった。
唸りながら、歯を剥いて、後ろへ引っ張る力に負けて、遂には取られてしまった。
あっという間に貪り尽くす彼を、私は呆然と見ているしかできなかった。
かわいい子だったけど、正直しつけはなってなかった。
ナッくんがしつこく何か欲しがるので、高いところからツナピコをひとつ手に取った。
包装を剥き、ツナピコを手に持ったまま、私がちょっと他のことを始めると、ナッくんが私の手のツナピコをくんくんし、そして──
お座りして待った。
しつけはほとんどしていない。





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