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6/29 ククク……。ナッくんには開けられんよ
暑い─
暑い──
既に部屋のクーラーはつけっぱなしにした。
しかしナッくんが、相変わらず引き戸を開けてくれやがる。
冷気がキッチンへ逃げて、もわっとなる。
犯人は得意顔で一瞬こっちを見て、すぐにキッチンに置いてあるゴミ袋の中身を出す遊びにとりかかる。
どうにかせねば──
引き戸に箪笥を押しつけた。
上にから毛布を垂らし、引き戸と箪笥の間に挟み、ブレーキパッドのようにした。
ナッくんが苦戦している。
両手を引き戸にかけて、うんしょ! うんしょ! と根性で開けようとする。相当重いようだ。
それを眺めながら、私がほくそえむ。
「ククク……。ナッくんには開けられんよ」
遂に諦めた。
私の勝利だ。
さーて朝ごはんでも作ろうと、引き戸を開けようとすると──
私の力でも開かなかった……。





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