6/9 ナッくんの不思議
フィラリアの薬を投与する季節だ。
ナッくんの前に、フィラリアの薬をぽんと置いた。ジャーキーみたいな見た目をした薬だ。
クンクン匂いを嗅いで、がしっと咥えると、離れたところへ持っていった。
覗いてみると夢中で食べている。おいしい味がついているらしいので、大好きだ。
とりあえず──
フィラリアの薬は隠れて食べる。
ナッくんにおやつのジャーキーをあげた。
誤って噛んでしまうのを怖がるのか、私の手からは取れないので、お皿の中に置いてあげた。
がしっと咥えて、ちょっと離れたところで食べはじめる。私から丸見えなところだ。いつもこうだ。
つまり──
ジャーキーはちょっと離れたところへ持っていって食べる。
私がおちゃけを飲んでいると、横からナッくんが訴えてきた。
『なーなー、ツナピコあるか? あるならくれ』
味付けした乾燥まぐろをキャンディーみたいに個装にしたおつまみだ。調味料まみれなのであまりあげたくないのだが、ナッくんはこれが好きすぎる。
「1個だけだよー」
個装から出して、ころんとナッくんの前に落としてあげた。
その場で夢中で食べはじめた。
私の足に触れるぐらいの位置で。
ツナピコの時はいつもこうだ。
持っていかずに、その場で食べる。
どういうこだわりがあるのか……
いつも不思議だ。