6/1 ナッくんが私を信頼しすぎる
仕事でしばらく出ていて、炊飯器の中のごはんがヨレヨレになっていた。
すぐ仕事に持って出るけど、最近お弁当が傷むのが早くなってきている。
「よし、炒飯にしよう」
炒飯を作っていると、居間からナッくんがのそのそとやって来た。
ふと見ると私の足にべったりくっついて寝そべっている。
怖くないのだろうか……。
ナッくんは今まで4回ぐらい、私に踏まれている。
試しに足を上げて、うりうりと踏む真似をしてみると、ごろんと仰向けになって、足にじゃれつきはじめた。
「もー……。ナッくん、私を信頼しすぎ!」
しかしすぐに気づいた。
ナッくんがじゃれついているのは、私の、左足だ。
ナッくんは左足に対しては甘えるが、右足に対しては攻撃的だ。
試しに右足で踏む真似をしてみた。
ビビったように起き上がると、後ろ向きに凄いスピードで逃げていった。
覚えてないけど──
もしかしたら──
今まですべて、ナッくんを踏み潰していたのは右足だったかもしれない。
それで左足のことは怖がらないのか……。





by