684/701
5/22 こういうこと?
『おい、飼い主。毛づくろいしてやんよ』
後ろで偉そうなスフィンクス座りをしながら、ナッくんが私の後頭部をペロペロ舐める。
私の髪の毛はべつに綺麗に整ったりしないけど、舐められて湿っていく。
「ナッくん、おいでー」
飼い主がナッくんを膝の上に乗せる。
ブラシで毛づくろいしながら、てのひらでも撫でる。
『やめろ! やめろーー!』
ナッくんが嫌そうに口をおおきく開けて逃げ出した。
振り返って、文句を言う。
『あのな? オマエ、毛づくろいってのはな、格上のやつが格下のモンにしてやるものなんだぞ? わかってるか? お兄ちゃんが弟にしてやるようなものなんだ。それをなんだ、オマエ下僕のくせしやがって。おれに毛づくろいしようなんて、10年早えーんだよ!』
ナッくん……
キミと私の間には──
上下関係なんてないものだと思ってた……。