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5/7 学習能力のない飼い主
おれ、ナッくん。
おれ、いつも部屋の中を冒険してる。
歩いてると、面白いものがたまに落ちてるぞ。
今日も、部屋じゅうをトコトコ歩き回ってると──
『おっ?』
見つけた。
おれの大好きなやつ。
床の上に、コロンと丸まった、飼い主が脱ぎ捨てた靴下。
これ、いいんだよな──
寝床に運んで、枕にして寝ると、ふわふわするし、飼い主の匂いする。
早速、くわえて、持ち上げて──
寝床にせっせと運んでいった。
「ナッくーん? このへんに脱ぎ散らかしてた、あたしの靴下、知らん?」
『知るかよ』
「また寝床に持っていったんじゃないでしょーねっ?」
『知るかよ、バカ。おまえが脱ぎ散らかしてるからだろ』
「あー……。またナッくんの寝床、暴かないとだ」
『させるかよ。おまえに学習能力がないからだろ。おれのせいにするな』