3/23 ナッくんはふてくされる
ナッくんが安眠妨害しに来た。
若い頃よりは優しい。
飼い主の顔をペロペロ舐める。
『ミルクくれ、ミルクがほしい』と念じるように──
私が起きないと爪で掘りはじめる。
ちゃんと私が大して痛くない、しかしまったく痛くはない場所を知っていて、そこを掘る。主にふくらはぎ、背中、そして後頭部だ。
爪を切ってなかった──
後頭部をバリバリバリ! と尖った爪で掘られ、あまりの痛さに起きるなりナッくんを掴んだ。
「痛いわっ!」
『ミルク?』
時計を見ると5時前。
ほっといてトイレに行った。
ついて来た。
トイレのドアを外からカリカリカリカリ引っ掻く。
開けると期待マンマンの輝く目をして飼い主を見上げる。
ベッドに戻る飼い主に急いでついて来る。
私が再び布団に戻ると、絶望した顔で立ち尽くしていた。
それ以来安眠妨害はなかった。
どうやらふてくされたようだ。
7時半に起きた。
ミルクを求めて起きて来るかと思ったら──
よっぽどふてくされたのか、音もなくまだ寝ている。
そろそろミルクを作ってあげようかな……。
 





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