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2/14 ねこさん
アパートに帰ると駐車場にねこさんがいた。
白猫。かなり大柄な、たぶんメス。←ねこの性別がぱっと見てわかるやつ
「おいで、おいで」
車から降りて、しゃがんで、トゥットゥッと舌を鳴らしたら逃げられた。
犯罪者を見る顔をして逃げていった。
いいもん……。
部屋に帰ったらベタベタしてくれるやつがいるもん!
しかしナッくんは気まぐれだ。
ベタベタしてくれる日と、放置してくれる日と、その差が激しい。
ベタベタしてほしい気持ちで部屋に入り、荷物の片付けをしていると、いつの間にかこっちを向いてスフィンクス座りをしている白イタチがいた。
「ただいま、ナッくん」
居間に入るなりベタベタしてきた。
私のズボンのポケットに頭を突っ込んでくる。
私の膝に登って、顔を近づけてくる。
「あはは! ナッくん、ベタベタモードだね」
嬉しがる飼い主。
ベタベタし続けるナッくん。
ベタベタ──
ベタベタベタ──
ベタベタベタベタベタベタ──
「ああっ、もう! うざい!」
今日は飼い主のほうがナッくんを放置してお酒を飲みはじめた。