1/8 ハルくんの思い出
ナッくんは立って抱っこするととてもいい子にしています。
先代ハルくんは私に抱っこされることを拒否し、何が何でも脱け出そうとしました。
ナッくんは明るい公園に連れ出すと固まります。
私に捕まってぷるぷる震え、そろそろ帰ろうかと車へ向かって歩いていると、『早く車に乗りたい!』みたいに急に暴れ出します。
ハルくんはお外が大好きでした。
ナッくんとは真逆で、公園に着いて抱き上げた途端に暴れはじめました。
『早く! 早く地面に放せ!』というように──
抱っこして歩いていると、上へ上へとにゆるにゅる脱け出そうとしました。
手を離したら私の頭の上に乗ってそこからダイブしそうな勢い──
『……こらこら! ハルっ! じっとしなさい!』
どこまでも登って行こうとする彼を必死で押さえてました。
ちなみにナッくんは私のジャンパーの中に入って顔だけ出し、大人しくキョロキョロするだけです。いい子──
私がハルを必死で抱っこしていると、テニスをしていたお姉さんが「キャー!」と声を上げ、駆け寄ってきたことがありました。
「フェレットですかぁ? 初めて見た! かわいい!」
お姉さんがやって来るなり、ハルがピタッと大人しくなりました。
上へ上へ登ろうとしていたのをやめ、お姉さんのほうへ身を乗り出し、愛嬌を振りまきます。
私が抱いているハルをお姉さんが撫でます。
ハルは目を細めて、お姉さんの腕の中へ移動します。
お姉さんの胸に抱かれ、お姉さんの顔をペロペロしました。お姉さんは大喜び。
……外面のいい子でした。





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