12/22 ナッくんに学習能力があるとは思わなかったんです……
ペロペロと鼻を舐められる気配で目が覚めた。
ナッくんの顔がどアップで前にあった。
私が目を開けると嬉しそうにソワソワしだす。
『ミルク! ミルクが飲みたい!』
真剣そのものな顔がそう言っていた。
トイレに行くと、ついて来た。
抱っこして居間に戻ると時計を見た。
起きる予定の約2時間前。
寝なければ……。
ペットに対して徹底すべきことがある。
褒めるべきことをした時は褒める。けっして無視しない。
してはダメなことをした時にはけっして許さない。いつでも怒る、叱る。
安眠妨害した時には叱る。
けっしてミルクなんてあげてはいけない。
安眠妨害したらミルクがもらえると思うようになってしまうから。
でもナッくんって、学習能力がないからな……。
すごくミルク欲しがってるし──
ま、いっか。
眠い目をこすりながらミルクを作ってあげると、めっちゃ喜んだ。
ソワソワとそこら中を歩き回っては戻って来て、待ち切れなさそうに立ち上がる。
私が再びベッドに潜り込むと、しばらくピチャピチャと音がしていた。
うーん。眠い……。
結構時間が経ったような気がするのに、まだピチャピチャと音が聞こえる。まだ飲んでるのかよ……。
……
私が眠りの世界に入ろうとした時──
またナッくんが顔の前にやって来る気配がした。
ペロペロと鼻を舐めはじめた。
『こうすればミルクがもらえるんだ』
『おかわり! 早く起きて!』
『ミルク! ミルク!』
もう、絶対にやらないからな。安眠妨害したら……
って──もう、遅い?
まさかナッくんに学習能力があるなんて思わなかったんだ……。
ゴロンと顔を背けてもすぐに顔の前にやって来る。
ペロペロ、ペロペロ……
眠たかったので眠れたけど、ずっとペロペロされてた気がする。
もう、絶対にやらないからな──
ペロペロ、ペロペロペロ……





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